3 / 45
精霊に守られ世界最強の転生者になりました
三、お母さん
しおりを挟む
「お母さん!」
私はお母さんの方に走った。
「雪蘭!良かった、いたのね。」
「花琳姉さんが私のところに来て一緒に走ってくれたの」
「そうなの!良かったわ」
花琳姉さんには感謝。命の恩人だよ。
建物自体はあまり被害は受けてないけど。
「皆、とりあえず今日は近くの街に宿を借りたからそこに向かうよ!」
「「はい!」」
被害はないのに何故?しかもいつ?
私達は二里ほど先の街まで歩き、宿に入った。もう外は暗かった。雨も振りそうだ。
宿の中は遊女が来たと騒いでいた。
夜這いしに部屋に来る者も何人かいたらしい。
皆返されたが、強引にされた遊女がいて彼女は腰を強く痛めてしまった。
その遊女を襲った者は次の日の早朝、罰金するかしないかで騒動になっていた。
こっちも仕事なので労働力がなくなっては困るのだ。
まったく、早朝なのに広間に集められ、しかもとても騒がしい。
四歳児の体力には二里の道のりを歩き、夜も静かに寝られなくて寝不足の状態でこの騒動に耐えられるわけがない。
立ったまま寝ちゃいそうだ。
「………あなたにはこんな人生に、こんな将来に足を踏み入れて欲しくなかったわ。あなたのせいではないけれど…」
花琳姉さんは小声で私に言った。声が少し震えていた。
そういえばお母さんの姿が見当たらない。
皆起こされここにいるはずなのに。
まさか、お母さんも…?
私は走ってこの騒がしい場を通り抜け、お母さんがいる部屋に向かった。
コンコン、
「お母さん??いる?」
……返事がない。
ガラッ!!
私は勢い良く戸を開けた。
そこには窓の前に倒れ込んでいるお母さんの姿があった。
「お母さん!!!」
急いで駆け寄る。
呼び掛けても応答がない。
息をしているか調べる。
既に虫の息だった。
「誰か!!誰か来て!!」
あっちも大変なので誰にも聞こえていないようだ。
「どうしよう……」
頭が混乱する。心拍数が上昇する。
すると、どこからか不思議な声が耳に入ってきた。
『…これは何かの毒だよ。おそらく毒殺しようと試みた者がいるのだ。このままでは死んでしまう。』
「っ…!!」
言葉も出ない。
『助けてあげたいのならば、早く医者を呼べ』
医者……
「わかったわ。」
くるっと方向を変え、部屋から出ようとしたら、
『……待て!』
「…何?急がないと…」
『最後まで話を聞け。そこの医者では駄目だぞ。』
「何故?」
『彼女が遊女だと知ればあの医者は彼女を助けない。』
「どうして!?医者なのに!」
『彼女の立場が遊女…それだけだ。』
「なら私が助ける!どうすれば良い?」
一刻を争うんだ。
そんな医者を説得させ、来るまで待ちたくもない。
『お前に今すぐなんか助けられない。解毒剤はすぐには用意できない。』
そんな……っ…
私はガクンと膝をついた。
『まあ、活性炭があればできるが。』
活性炭…?
「炭?炭ね!!わかったわ!」
ダッダッダッダッ……
皆がいる広間に戻った。
「炭ある!?炭が今すぐ欲しいの!」
ざわざわざわざわ…
まあ、この忙しい時に四歳児なんかろくに相手してもらえないか…
「炭?お前、何に使うんだい?」
唯一話を聞いてくれたおばちゃんにしか頼れない!!
「お母さんが大変なの!毒を飲んだみたいで…もう虫の息なの!だから解毒剤に活性炭を!」
「毒?本当かね」
まあ、まだ世間知らずの四歳児に疑いをかけられるのは仕方の無い事だ。
「本当!炭、炭が無いと…」
言いかけた途端、またあの声が聞こえた
『早く…まず毒を吐かせるんだ。でも君の力では出来ない。大人の力を借りなければ…次に吐かせたら活性炭を…』
「どうした?何をぼけっとしている。」
おばちゃんが急に尋ねてきた。
ってことは周りには聞こえないのか。
なんてこの声の存在を説明しよう……
って、こんな事より!!お母さんだ!!
「ごめんなさい!えっと、とにかく炭が必要で、あと毒を吐かせるために誰か来てください!」
誰も名乗り出ない。
おばちゃんは炭を探しに行ったし、私じゃ無理…
………無理?なんで?
やってみないとわからないじゃない!
タッタッタッタッ………!
私はお母さんの元に戻った。
私に付いて来て状況を見に来た人もいた。
見ているだけで手は差し伸べてくれない。
私はなんとか毒を少しずつ吐かせることが出来た。
なんだ、私にもできるじゃん。
けれど、もう遅かった。
吐き出したとともに、お母さんは息を引き取った。
医者によるともうほぼ全身に毒がまわっていて、吐き出した毒はわずかだったそうだ。
私が未熟だったから……
『君のせいじゃないよ。彼女はもう生きる気力が無かったんだ。だからどんどん毒にやられていった。治療次第で治ったんだけどな。』
私が未熟だからだよ…
もっと大きくなって、大人をあっと言わせてやるほどの人になってやる…!
お母さんの葬儀が行われたあと、
「ねぇ、あなた、どこから解毒剤に活性炭を使うといいという情報を知ったの?」
雪麗姉さんだ…
「えっと…それは……」
なんて言えばいいのかな。
正直に言う?
はぐらかす?
いや、もう、これしかない…
私はお母さんの方に走った。
「雪蘭!良かった、いたのね。」
「花琳姉さんが私のところに来て一緒に走ってくれたの」
「そうなの!良かったわ」
花琳姉さんには感謝。命の恩人だよ。
建物自体はあまり被害は受けてないけど。
「皆、とりあえず今日は近くの街に宿を借りたからそこに向かうよ!」
「「はい!」」
被害はないのに何故?しかもいつ?
私達は二里ほど先の街まで歩き、宿に入った。もう外は暗かった。雨も振りそうだ。
宿の中は遊女が来たと騒いでいた。
夜這いしに部屋に来る者も何人かいたらしい。
皆返されたが、強引にされた遊女がいて彼女は腰を強く痛めてしまった。
その遊女を襲った者は次の日の早朝、罰金するかしないかで騒動になっていた。
こっちも仕事なので労働力がなくなっては困るのだ。
まったく、早朝なのに広間に集められ、しかもとても騒がしい。
四歳児の体力には二里の道のりを歩き、夜も静かに寝られなくて寝不足の状態でこの騒動に耐えられるわけがない。
立ったまま寝ちゃいそうだ。
「………あなたにはこんな人生に、こんな将来に足を踏み入れて欲しくなかったわ。あなたのせいではないけれど…」
花琳姉さんは小声で私に言った。声が少し震えていた。
そういえばお母さんの姿が見当たらない。
皆起こされここにいるはずなのに。
まさか、お母さんも…?
私は走ってこの騒がしい場を通り抜け、お母さんがいる部屋に向かった。
コンコン、
「お母さん??いる?」
……返事がない。
ガラッ!!
私は勢い良く戸を開けた。
そこには窓の前に倒れ込んでいるお母さんの姿があった。
「お母さん!!!」
急いで駆け寄る。
呼び掛けても応答がない。
息をしているか調べる。
既に虫の息だった。
「誰か!!誰か来て!!」
あっちも大変なので誰にも聞こえていないようだ。
「どうしよう……」
頭が混乱する。心拍数が上昇する。
すると、どこからか不思議な声が耳に入ってきた。
『…これは何かの毒だよ。おそらく毒殺しようと試みた者がいるのだ。このままでは死んでしまう。』
「っ…!!」
言葉も出ない。
『助けてあげたいのならば、早く医者を呼べ』
医者……
「わかったわ。」
くるっと方向を変え、部屋から出ようとしたら、
『……待て!』
「…何?急がないと…」
『最後まで話を聞け。そこの医者では駄目だぞ。』
「何故?」
『彼女が遊女だと知ればあの医者は彼女を助けない。』
「どうして!?医者なのに!」
『彼女の立場が遊女…それだけだ。』
「なら私が助ける!どうすれば良い?」
一刻を争うんだ。
そんな医者を説得させ、来るまで待ちたくもない。
『お前に今すぐなんか助けられない。解毒剤はすぐには用意できない。』
そんな……っ…
私はガクンと膝をついた。
『まあ、活性炭があればできるが。』
活性炭…?
「炭?炭ね!!わかったわ!」
ダッダッダッダッ……
皆がいる広間に戻った。
「炭ある!?炭が今すぐ欲しいの!」
ざわざわざわざわ…
まあ、この忙しい時に四歳児なんかろくに相手してもらえないか…
「炭?お前、何に使うんだい?」
唯一話を聞いてくれたおばちゃんにしか頼れない!!
「お母さんが大変なの!毒を飲んだみたいで…もう虫の息なの!だから解毒剤に活性炭を!」
「毒?本当かね」
まあ、まだ世間知らずの四歳児に疑いをかけられるのは仕方の無い事だ。
「本当!炭、炭が無いと…」
言いかけた途端、またあの声が聞こえた
『早く…まず毒を吐かせるんだ。でも君の力では出来ない。大人の力を借りなければ…次に吐かせたら活性炭を…』
「どうした?何をぼけっとしている。」
おばちゃんが急に尋ねてきた。
ってことは周りには聞こえないのか。
なんてこの声の存在を説明しよう……
って、こんな事より!!お母さんだ!!
「ごめんなさい!えっと、とにかく炭が必要で、あと毒を吐かせるために誰か来てください!」
誰も名乗り出ない。
おばちゃんは炭を探しに行ったし、私じゃ無理…
………無理?なんで?
やってみないとわからないじゃない!
タッタッタッタッ………!
私はお母さんの元に戻った。
私に付いて来て状況を見に来た人もいた。
見ているだけで手は差し伸べてくれない。
私はなんとか毒を少しずつ吐かせることが出来た。
なんだ、私にもできるじゃん。
けれど、もう遅かった。
吐き出したとともに、お母さんは息を引き取った。
医者によるともうほぼ全身に毒がまわっていて、吐き出した毒はわずかだったそうだ。
私が未熟だったから……
『君のせいじゃないよ。彼女はもう生きる気力が無かったんだ。だからどんどん毒にやられていった。治療次第で治ったんだけどな。』
私が未熟だからだよ…
もっと大きくなって、大人をあっと言わせてやるほどの人になってやる…!
お母さんの葬儀が行われたあと、
「ねぇ、あなた、どこから解毒剤に活性炭を使うといいという情報を知ったの?」
雪麗姉さんだ…
「えっと…それは……」
なんて言えばいいのかな。
正直に言う?
はぐらかす?
いや、もう、これしかない…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
90
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる