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「ノア王女でしょう?」
「……はい。幼い頃から、ほぼ許嫁ということで話が進められていたと。」
許嫁??
それはゲームの設定にはないわ。
数回幼い頃から会っていたくらいだった気が……
「ノア王女の方はご存知で?」
「おそらく、同じく今日、知らされるのかと。」
結婚相手が決まってるなんて生きづらい人生だと思うけれど、これが当たり前なのでしょう。この世界じゃ…
「さ、準備完了です。朝食に向かいましょう。」
皆席に着いていた。
皆の視線が私の方を向いた。
な、なに……よ…
遅れてないわよね?
張り詰めた空気から緊張感が漂う。
私が席に着くのと同時に、
「それではいただきましょう。朝食後ここで話があります。」
お母様がそう言うと、皆、朝食を食べ始めた。
クリス様もいる。
熱は引けたのか、体調は悪くなさそうだ。食事も取れている。
ルイ様は…やはりいない…
朝食を食べ終え、使用人達が急いで食器を下げる。
テーブルクロスが替えられ、席には水が並べられた。
「では、始めます。
今日は、クリスの婚約相手が決まったので報告します。」
国王のお父様はただお母様が言う事を聞いていただけだった。
クリス様を見ると、驚いた表情をしている。当の本人には伝えられていなかったのか。
「相手はコスハレータ王国のノア王女です。相手の国とはノア王女を許嫁として幼い頃から親交を深めていました。……聞いていますか?クリス。」
「…はい。」
クリス様は少し俯き、目線は下を向いている。
「婚約は決定しましたが、相手の国の方針で彼女は二十歳までは国の王女です。正式な婚姻は二十歳になります。二年後ですね。」
二年後………?
二年後、二年後、
二年後に私は何をしているのだろうか。
私も、婚約相手が決められるのだろうか。
また、婚約破棄されてしまうのだろうか。
「マナ、これは、貴方のためでもあります。」
お母様は私の顔色をうかがいながら話す。
「私の……ためとおっしゃいますと?」
「貴方がこれ以上、クリスに好意を抱かないための。」
「…………。」
心外…とは言い切れないのが悔しい。
心のどこかでは、確かに周りとは違う意識を抱いていたのかもしれない。
下唇を噛み、涙を抑える。
でも、私がクリス様に好意を……?
自覚すらほとんどないのに誰が気がつくのでしょう。
家族会議は終わった。
お母様が一方的に話すだけでしたけれど。
私は扉を勢い良く開け、飛び出した。
長身の人とぶつかり、手首を掴まれて支えられた。
「おっと、……大丈夫?ごめんね。」
見上げると、ルイ王子だった。
前髪が長く、目元は隠れているが…
「申し訳ありません。感謝します。」
ルイ王子に礼をして、部屋に戻った。
悪役令嬢としての血が騒いで仕方がない。
「……はい。幼い頃から、ほぼ許嫁ということで話が進められていたと。」
許嫁??
それはゲームの設定にはないわ。
数回幼い頃から会っていたくらいだった気が……
「ノア王女の方はご存知で?」
「おそらく、同じく今日、知らされるのかと。」
結婚相手が決まってるなんて生きづらい人生だと思うけれど、これが当たり前なのでしょう。この世界じゃ…
「さ、準備完了です。朝食に向かいましょう。」
皆席に着いていた。
皆の視線が私の方を向いた。
な、なに……よ…
遅れてないわよね?
張り詰めた空気から緊張感が漂う。
私が席に着くのと同時に、
「それではいただきましょう。朝食後ここで話があります。」
お母様がそう言うと、皆、朝食を食べ始めた。
クリス様もいる。
熱は引けたのか、体調は悪くなさそうだ。食事も取れている。
ルイ様は…やはりいない…
朝食を食べ終え、使用人達が急いで食器を下げる。
テーブルクロスが替えられ、席には水が並べられた。
「では、始めます。
今日は、クリスの婚約相手が決まったので報告します。」
国王のお父様はただお母様が言う事を聞いていただけだった。
クリス様を見ると、驚いた表情をしている。当の本人には伝えられていなかったのか。
「相手はコスハレータ王国のノア王女です。相手の国とはノア王女を許嫁として幼い頃から親交を深めていました。……聞いていますか?クリス。」
「…はい。」
クリス様は少し俯き、目線は下を向いている。
「婚約は決定しましたが、相手の国の方針で彼女は二十歳までは国の王女です。正式な婚姻は二十歳になります。二年後ですね。」
二年後………?
二年後、二年後、
二年後に私は何をしているのだろうか。
私も、婚約相手が決められるのだろうか。
また、婚約破棄されてしまうのだろうか。
「マナ、これは、貴方のためでもあります。」
お母様は私の顔色をうかがいながら話す。
「私の……ためとおっしゃいますと?」
「貴方がこれ以上、クリスに好意を抱かないための。」
「…………。」
心外…とは言い切れないのが悔しい。
心のどこかでは、確かに周りとは違う意識を抱いていたのかもしれない。
下唇を噛み、涙を抑える。
でも、私がクリス様に好意を……?
自覚すらほとんどないのに誰が気がつくのでしょう。
家族会議は終わった。
お母様が一方的に話すだけでしたけれど。
私は扉を勢い良く開け、飛び出した。
長身の人とぶつかり、手首を掴まれて支えられた。
「おっと、……大丈夫?ごめんね。」
見上げると、ルイ王子だった。
前髪が長く、目元は隠れているが…
「申し訳ありません。感謝します。」
ルイ王子に礼をして、部屋に戻った。
悪役令嬢としての血が騒いで仕方がない。
応援ありがとうございます!
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とても面白いです!
続きが気になってムズムズします笑
更新楽しみに待ってます
そう言っていただけるととても励みになります!ご感想ありがとうございます(﹡ˆ ˆ﹡)