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魔法使いと猫
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全知の森の中央部、人の出入りが全くと言っていいほどない、未開拓の土地に立つ大木の上に家が一軒。このツリーハウスはナナシの魔法使いと黒の化け猫の家である……
前置きはいいとしてここは私の家。広い家に黒の化け猫のネロと二人で暮らしているので、二人では部屋が有り余っている。ネロは不幸を運ぶ黒猫の化け猫で、忌み蔑まれていたところを私が拾った子である。
「ネロは相変わらずお料理が上手ですね……」
スープを啜りながらそういえばネロは「そんなことないでしょ」なんて謙遜。猫が謙遜するなんて変な話ではありますが彼は化け猫。人の心を持ち、会話のできる化け猫であれば有り得なくはないと私は結論づける。化ければ人間みたいな容姿になりますし…なんてちょっと反抗もつけて。
「今日は洋食にしてみたんだけど……?」
私に感想を求めるネロに「美味しいです。最後の晩餐はネロに頼むべきですね」と少し意地悪をしてみればネロは顔を歪めて「酷い人だな」なんて言った。確かに私は酷い人なのかもしれないと納得してしまうのはなぜなのだろうか…。考えても答えが見つかるはずなんてないのだけども。
「……そういえば、最近各地で魔女狩りが激しくなっているみたいですね……」
フォッカッチャを頬張りながらそういえば「…悲しい?」と聞かれた。あいにく私は他人が死のうとどうでもいいのだ。
「いえ、私にはネロがいれば十分ですし……」
ネロは少し悲しそうに「そっか」と笑った。悲しそうにしている理由は私には分からない。分からないなりに慰めようと思って頭を撫でればネロは照れた。私はふわふわと柔らかい毛の虜なのでやめろと言われるまでやめられない。静かに吹く風がサイドに結んだポニーテールを揺らし、髪がなびく。
この後、小一時間はネロを撫でていた。
前置きはいいとしてここは私の家。広い家に黒の化け猫のネロと二人で暮らしているので、二人では部屋が有り余っている。ネロは不幸を運ぶ黒猫の化け猫で、忌み蔑まれていたところを私が拾った子である。
「ネロは相変わらずお料理が上手ですね……」
スープを啜りながらそういえばネロは「そんなことないでしょ」なんて謙遜。猫が謙遜するなんて変な話ではありますが彼は化け猫。人の心を持ち、会話のできる化け猫であれば有り得なくはないと私は結論づける。化ければ人間みたいな容姿になりますし…なんてちょっと反抗もつけて。
「今日は洋食にしてみたんだけど……?」
私に感想を求めるネロに「美味しいです。最後の晩餐はネロに頼むべきですね」と少し意地悪をしてみればネロは顔を歪めて「酷い人だな」なんて言った。確かに私は酷い人なのかもしれないと納得してしまうのはなぜなのだろうか…。考えても答えが見つかるはずなんてないのだけども。
「……そういえば、最近各地で魔女狩りが激しくなっているみたいですね……」
フォッカッチャを頬張りながらそういえば「…悲しい?」と聞かれた。あいにく私は他人が死のうとどうでもいいのだ。
「いえ、私にはネロがいれば十分ですし……」
ネロは少し悲しそうに「そっか」と笑った。悲しそうにしている理由は私には分からない。分からないなりに慰めようと思って頭を撫でればネロは照れた。私はふわふわと柔らかい毛の虜なのでやめろと言われるまでやめられない。静かに吹く風がサイドに結んだポニーテールを揺らし、髪がなびく。
この後、小一時間はネロを撫でていた。
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