全知の魔法使いと黒猫の化け猫

aki

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意地悪

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私とネロは自給自足の叶わないもの...というか、娯楽になりそうなものを見て回り、家への道のりを歩く。
ここは水の国で水源が多い。そのため、水産業が盛んだ。同様に全知の森の水の国よりの場所も水生生物が沢山いる。魚料理に困ることは無い。なんでかと言われれば全知の森だからとしか言えない。人は魔女の住む森だからとも言うけども…。
「ネロ、買いたいものは買えましたか?」
私の質問にネロは「満足」と答えた。満足したなら何よりである。「逆に満足したか?」と聞かれたので笑って「大満足です」と言う。なぜかって今回の買い物で人気すぎてあまり出回っていない『魔女の末路』というちょっとドロドロとした重い話だと有名な小説を買えたのだ。一応私も魔女だけど、ドロドロとしていて重い話と有名なのに人気が高いなんて気になるのは当然だろう。
「……魔女の末路って、どんな話なんだ……?」
誰もが気になるであろう疑問に「名前からしていい話ではねぇと思うけど」と続けて言うネロに私は「魔女が死ぬ話です」と笑って答える。どのくらい笑顔かといえば満面の笑みと言えるくらいだと思う。
そんな私に対し、顔を歪めて嫌そうに「重いやつじゃん」というネロに「ええ、そうですね!」と言ってみれば体調不良を疑われた。ネロは怖い話やバッドエンドの話は苦手なのだ。
「……冗談ですよ、正直気は進みません。 でも、魔女狩りにあった魔女とその家族の話ですから、フィクションがあるとは言え読んでおいて損は無いでしょう?」
私の嘘に騙されオロオロとするネロを流石に不憫に思いそういえばネロは安堵の息を吐いた。「化け猫を騙すなんて何事だよ」と悪態をつきながら歩くネロに「すみません」と謝る。流石に意地悪の度が過ぎてしまった。
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