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予期せぬ再会
⑤
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side 真理愛
「30万なんて、無理よ」
これ以上のお金が高校生に私に用意できるわけない。
そうすると方法は、ママかおじさんにお願いするか、どこかで盗むか・・・イヤ、さすがにそれはないか。
だからと言ってパパの様子は気になるから、無視することもできない。
どうしよう・・・
「はあー」
「どうしたの?家に帰らないの?」
店を出て、それでもうちに帰る気にはなれず、1人考え込んでいるところに声をかけられて振り返った。
あっ。
そこにいたのはさっき救急外来で会った杉原先生。
白衣を脱いだせいかな、その辺にいる若者に同化していて黙っていればお医者さんには見えない。
「何か、困っているの?」
心配そうに私を見た後、視線がチラッと携帯に移った。
マズイ。
ちょうど今、出会い系サイトを検索していたところだった。
さすがに援助交際でお金を稼ごうなんて考えているわけではないけれど、高校生の私がこっそりとお金を用意する方法は他にはない。
とりあえず覗いてみよう。そんな軽い気持ちで見ていた。
「大丈夫です」
「大丈夫には見えないけれど?」
ムッ。
私にだって事情があるのよ。
そう叫びたくて唇を噛む。
「何か手助けできることがあれば」
ほとんど初対面人間に『手助けできることがあれば』なんて言ってしまえることに驚いたけれど、せめてもの救いは彼が本物のお医者様で名前もわかっていること。訳の分からない出会い系サイトで知り合ったおじさんとは比べ物にならないくらい安全だと思える。
「お金が、必要なんです」
「え?」
一瞬、表情が固まった後、
「いくら?」
真っすぐに目を見て聞かれた。
「さ、30万」
さすがに声が震える。
「ずいぶん高額だね」
「ええ」
だからこそ困っている。
30万円なんて普通の高校生に用意できる金額ではないし、何かしなければ手に入るお金でもない。
じゃなければ、
「貸そうか?」
「はあ?」
からわれているのか、本気で私を買おうとしているのか、本心はわからない。
でも、本当にお金をくれるのなら、杉原先生なら、いいかもしれないと思う自分がいる。
「援交よりましだろ?」
うぅー。痛いところをついてくる。
だから医者って人種は嫌いなのよ。
「どうする?」
挑発的な口調。
「・・・いいですよ」
今の私にはほかに選択肢がない。
いくらママやおじさんがやかましくないからと言って、普段から遊び歩いているわけではない。
もちろん知らない人について行ったことも初めて。
それでも今は非常時で、贅沢言っていられる立場じゃない。
「うちに来る?消毒とシップくらいならできるよ」
私にとっては先生のお家でもその辺のホテルでも条件は変わらない。
30万円なんて大金を用立ててもらうからには文句は言わない。
「じゃあ、行こう」
私が肩にかけていたカバンをとり、腕を引き上げて立ち上がらせてくれる。
「あの、1人で」
歩けますからって言いたいのに、
「いいからおいで」
しっかりと腕をとられたまま歩き出した。
これは私が子供扱いさえているのか、それとも逃げ出さないように牽制されているのかはわからない。けれど、誰かに腕を引かれて歩いたことなんてなくてすごくはずかしいい。
「どうした?やめる?」
「いいえ、行きます」
もう、どうにでもなれ。
「30万なんて、無理よ」
これ以上のお金が高校生に私に用意できるわけない。
そうすると方法は、ママかおじさんにお願いするか、どこかで盗むか・・・イヤ、さすがにそれはないか。
だからと言ってパパの様子は気になるから、無視することもできない。
どうしよう・・・
「はあー」
「どうしたの?家に帰らないの?」
店を出て、それでもうちに帰る気にはなれず、1人考え込んでいるところに声をかけられて振り返った。
あっ。
そこにいたのはさっき救急外来で会った杉原先生。
白衣を脱いだせいかな、その辺にいる若者に同化していて黙っていればお医者さんには見えない。
「何か、困っているの?」
心配そうに私を見た後、視線がチラッと携帯に移った。
マズイ。
ちょうど今、出会い系サイトを検索していたところだった。
さすがに援助交際でお金を稼ごうなんて考えているわけではないけれど、高校生の私がこっそりとお金を用意する方法は他にはない。
とりあえず覗いてみよう。そんな軽い気持ちで見ていた。
「大丈夫です」
「大丈夫には見えないけれど?」
ムッ。
私にだって事情があるのよ。
そう叫びたくて唇を噛む。
「何か手助けできることがあれば」
ほとんど初対面人間に『手助けできることがあれば』なんて言ってしまえることに驚いたけれど、せめてもの救いは彼が本物のお医者様で名前もわかっていること。訳の分からない出会い系サイトで知り合ったおじさんとは比べ物にならないくらい安全だと思える。
「お金が、必要なんです」
「え?」
一瞬、表情が固まった後、
「いくら?」
真っすぐに目を見て聞かれた。
「さ、30万」
さすがに声が震える。
「ずいぶん高額だね」
「ええ」
だからこそ困っている。
30万円なんて普通の高校生に用意できる金額ではないし、何かしなければ手に入るお金でもない。
じゃなければ、
「貸そうか?」
「はあ?」
からわれているのか、本気で私を買おうとしているのか、本心はわからない。
でも、本当にお金をくれるのなら、杉原先生なら、いいかもしれないと思う自分がいる。
「援交よりましだろ?」
うぅー。痛いところをついてくる。
だから医者って人種は嫌いなのよ。
「どうする?」
挑発的な口調。
「・・・いいですよ」
今の私にはほかに選択肢がない。
いくらママやおじさんがやかましくないからと言って、普段から遊び歩いているわけではない。
もちろん知らない人について行ったことも初めて。
それでも今は非常時で、贅沢言っていられる立場じゃない。
「うちに来る?消毒とシップくらいならできるよ」
私にとっては先生のお家でもその辺のホテルでも条件は変わらない。
30万円なんて大金を用立ててもらうからには文句は言わない。
「じゃあ、行こう」
私が肩にかけていたカバンをとり、腕を引き上げて立ち上がらせてくれる。
「あの、1人で」
歩けますからって言いたいのに、
「いいからおいで」
しっかりと腕をとられたまま歩き出した。
これは私が子供扱いさえているのか、それとも逃げ出さないように牽制されているのかはわからない。けれど、誰かに腕を引かれて歩いたことなんてなくてすごくはずかしいい。
「どうした?やめる?」
「いいえ、行きます」
もう、どうにでもなれ。
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