【完結】偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね!

kana

文字の大きさ
44 / 58

44

私に対する噂は少しづつ下火になってきた頃には3年生の卒業式の間際だった。

それでも、勘違いした上級生の男子生徒から声をかけられる度にゼガードとエドが間に入って対応してくれた。

今日は休日でいつものメンバーで我が家でお茶をしている。

「最近オルト嬢は王宮にも出入りしているそうだよ」

「父から聞いている。泊まる事もあるそうだと」

そう言えばエドのお父様って宰相だったわ。

「ええ、遊びでも問題なのに相手が男爵令嬢って事が問題になっているみたい」

リアのお父様も財務大臣だから、王宮で仕事していれば耳に入るよね。

「放っておけば彼女は自滅するでしょうが、自分の相手をユティ様に差し向けてますから何かしら企んでいるのは間違いないでしょう」

ゼガードって学園から離れると口調が固くなるわね。気を使わなくてもいいのに・・・

「ユティフローラちゃん、卒業式が終わったらさ、夜会が始まるよね。みんなで参加しようよ」

はぁ・・・ハリスンこそ何か企んらんでいる悪い顔ね。
ハリスンの顔を見てリアとエドまで何かに気づいたみたい。
同じような顔をしている。
だったら私の返事は決まっている。

「いいよ。夜会の始まりは王宮からし、皆んなが良ければ一緒に出ましょう?」

きっとその夜会で何かしら仕掛けてくる情報を手に入れたのでしょうね。
それなら私も迎え撃ってやる!
いい加減頭にきてたんだよね。

そうと決まれば急いでドレスを注文・・・
あ!この間、ジル兄様から届いたドレス!
濃紺に私とジル兄様と同じプラチナゴールドの刺繍がされた、子供っぽくもなく、かといって大人びた物ではなく上品な仕立ての素敵なドレス。
どうせならジル兄様に一番に見て欲しかったな。






~ディオリス殿下視点~

なぜ、別に好きでもないオルト嬢とこんな関係になってしまったのか・・・

あの時の彼女があまりにも辛そうで気持ちも関係なく流されるように抱いてしまった。
彼女が初めてなのか、そうでないのか経験のない私には分からなかったがあの日以来、彼女にお願いされると抱いてしまう。
最近は私の部屋に泊まっていくこともある。

私の妃の地位を狙っているなら男爵令嬢の立場で分不相応な願いだ。
一夫一婦制の我が国ではたとえ王族でも側妃も妾も認めて貰えない。
王族に嫁ぐには最低でも伯爵家以上の家格が必要だ。
そんな事は5歳の子供でも知っているだろう。

昔は見目の良い娘を養女にして王族に嫁がせようとする高位貴族もいたらしいが、教養もマナーも身に付けていない顔だけの女性を嫁がせようとする貴族の間で諍いが起こり死人が出て以来法律で高位貴族の家に下位貴族、または平民が養子に入っても王族に嫁ぐ権利はない。

なら、オルト嬢は何を狙っている?
彼女は私に思いを寄せていないことは分かっている。

・・・『ディオリス殿下、ラグーナ侯爵令嬢がわたくしを見る目が・・・』

『何かな?ラグーナ嬢がどうした?』

『その・・・睨んでいる気がするのです』

睨まれているとしたら、オルト嬢が彼女を貶めるような噂を流したからだろうが、オルト嬢にはその自覚はないのか?

『・・・彼女が君をそんな目で見る理由なんてないじゃないか』

『いえ、わたくしとディオリス殿下が一緒にいる時だけなんです』

一体何が言いたいんだ?

『きっとディオリス殿下の隣にいるわたくしが憎らしいのでしょう・・・ディオリス殿下も気付いているでしょう?だって・・・彼女は貴方に恋をしているでしょう?』

え?
本当か?
それが本当なら私が彼女を受け入れないという選択はない。
ラグーナ嬢は侯爵家の令嬢で王族に嫁ぐ家格はクリアしている。
しかも、あの美貌だ。
まだ婚約者の彼女を狙っている男は多い。

私も彼女に初めて会った日から気になっていた。
だが、いつも公爵家子息のエドワードが彼女を守るように睨みをきかせているから、なかなか近付く事ができないところへ、ソルトレグス帝国からの留学生までが彼女の傍から離れない。

彼らがいるからラグーナ嬢は私に思いを伝えられないのか?
だったら私から動こう。







「オルト嬢!どういう事だ!」

彼女ははっきりと私にそんな気持ちは一切ないと言い切った。
あれは照れているとか、誤魔化しているようには見えなかった。
きっと本心だろう。

「どうしましたの?そんな怒ったお顔をして」

当たり前だろ!
あんな公衆の面前で恥をかかされたんだ。

「ラグーナ嬢は私に対して恋慕をまったく抱いていないと言われたぞ!」

そんなはずはないと、オルト嬢は言う。
食堂なんて人目のつく場所で聞いたのが悪いと反対に女心が分かってないと怒られた。
ラグーナ嬢が私を慕っているのは間違いないとまで言う。
それなら次は2人きりになれるタイミングで聞けばいい。




それよりもだ。
私とオルト嬢の関係が噂になっているとは・・・
もう十分彼女を堪能した。
妾にもできない彼女とこれ以上関係を続けるのは不味い。

「君との関係を終わりにする。もう二度と誘ってこないでくれ」

そう、はっきりと告げたのに・・・
なぜ私はいま彼女を抱いているのだ・・・?

背を向けた私に縋り、背中に彼女の胸が当たろうが気にもとめなかったのに・・・

彼女から香る甘い匂いに私の身体が反応して抗えなかった。





なぜ私は彼女の矛盾に気付けなかったんだ?

私とラグーナ嬢を応援するようなことを言うくせに、私との関係を止めないオルト嬢の違和感に、なぜこの時の私は気づかなかったのだろう・・・
感想 101

あなたにおすすめの小説

虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?

リオール
恋愛
両親に虐げられ 姉に虐げられ 妹に虐げられ そして婚約者にも虐げられ 公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。 虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。 それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。 けれど彼らは知らない、誰も知らない。 彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を── そして今日も、彼女はひっそりと。 ざまあするのです。 そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか? ===== シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。 細かいことはあまり気にせずお読み下さい。 多分ハッピーエンド。 多分主人公だけはハッピーエンド。 あとは……

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。

火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。 王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。 そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。 エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。 それがこの国の終わりの始まりだった。

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

あなたが見放されたのは私のせいではありませんよ?

しゃーりん
恋愛
アヴリルは2年前、王太子殿下から婚約破棄を命じられた。 そして今日、第一王子殿下から離婚を命じられた。 第一王子殿下は、2年前に婚約破棄を命じた男でもある。そしてアヴリルの夫ではない。 周りは呆れて失笑。理由を聞いて爆笑。巻き込まれたアヴリルはため息といったお話です。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。