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第三話
発熱
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週明け、月曜の学園内は、寮に現れたスピリットアニマルの目撃譚で持ちきりだった。
特に、そのスピリットアニマルが、以前、学生が参加した空港警備の現場でも目撃されたこと。そのどちらの場にも、高等部随一のガイド、風見和人がいたこと。この2つの情報が、皆の興味を引いていた。
「急に騒がしくなったね」
熀が話しかける。
昼休みの食堂、熀と隆郎に光流が加わり、3人で日替り定食を食べていた。
渦中の和人は、昨夜、アルバイトから帰寮後に、体調を崩して、自室に篭っている。そのせいなのか、光流はどこか上の空だ。
「和人が気になる?」
「え、あ、いや ……」
隆郎に問われ、光流は我に返った。だが、熀の話を聞いていなかったため、返答に詰まる。
「仕方ないさ、オレだって熀が寝込んだら
気になって、食事どころじゃない」
隆郎ののろけに、熀が耳まで赤くなったことにも、光流は気がつかなかった。
昨夜、日曜の晩、和人が寮に戻ってきたのは、かなり遅い時間になってからだった。夕食どころか、大浴場の利用時間もとうに終わった頃だ。
これまでの和人は、どんなに遠出をしても、宿泊申請をしない限り、夕食時には帰寮していた。それが、この日に限って、戻ったのは夜遅くになってから。学園の寮は規制が厳しくないとはいえ、さすがに、寮監も心配しながら待っていたくらいだ。
夜の寮に寮監の声が響いた。
その声で光流は目を覚まし、そっと、ドアを開けて廊下に顔を出す。
ちょうどそこへ、寮監に謝りながら、和人が部屋へ戻ってきた。
遠目でも、廊下の薄暗い灯の下だというのに、和人の表情が硬く、顔色もよくないことがわかった。手足が青白いのに対し、顔は熱っぽくほんのりと赤く、目が少し虚ろに泳いでいるようにも見える。
光流はとっさに、廊下に出て和人に声をかけた。
「おかえり
遅かったね、大丈夫?」
「あ、あぁ ただいま」
和人は光流の姿を確認すると、安心したように緩んだ笑顔を見せる。それから、スッと手を伸ばし、光流を抱きしめ、彼の耳元でつぶやいた。
「………」
「え?」
和人の言葉を、光流は聞き直そうとする。が、和人はそれに答えず、ゆっくりと腕を緩め、体を離した。
「起こして、ゴメン」
それだけを言って、和人は自室へ入ってしまった。
翌朝、昨夜の様子が気になった光流は、朝食には少し早い時刻に、和人の部屋を訪ねることにした。
ドアを軽くノックし、和人の反応を待つ。
が、返事が、ない。
「和人くん、起きてる?」
声をかけ、ドアの前で待ってみる。しかし、やはり、反応がない。
昨夜が遅かったので、今朝はまだ、ゆっくり熟睡しているのかもしれない。そう考え、光流が自室へ戻ろうとした時、ガタンと屋内から大きな音が響いた。
驚いて、ドアを勝手に開いて中の様子を確認する。
ベッドの横に、和人が倒れているのが目に入った。
「和人!」
光流が、慌てて彼を抱き上げる。
パジャマ越しに和人に触れただけで、高熱を発しているのがわかった。光流は急いで和人を抱き上げ、ベッドに戻し、寮監を呼ぼうと立ち上がる。その、右腕を、和人が掴んだ。
「今、寮監さんを」
「…… ミツル ホンモノ? …」
「え?」
戸惑う光流の右手を、和人が両手で包むように優しく包み、頬ずりをした。
熱に浮かされているのだろう。そんな和人の手を振り解けなくなり、光流はポケットからスマートフォンを取り出して寮監へ電話をかけた。
すぐに寮監が現れ、対応をするのを、光流はただ眺めていた。それから、寮監に促されて仕方なく、光流は和人を残して、登校したのだ。
和人が発熱したことは、すぐに寮監から教員たちにも伝えられた。
学園に常駐する医師の診断結果を受け取り、ミシェルが前日の和人の行動をチェックさせる。
間もなく、和人の日曜午後の行動がトレースされ、ミシェルに報告された。学園内の覚醒者、特にガイドの統括はミシェルが受け持ち、重大なトラブルがあれば、タワーに報告するのも彼の役割でもある。
報告に目を通し、ミシェルはヨーコを呼び出した。
「ストレス性高体温症、とはねぇ」
ヨーコが、ミシェルから手渡された診断書を読んで、眉をしかめる。
「いわゆる、知恵熱、ってヤツだ
問題は、その原因だろう」
ミシェルがノートPCを動かし、ヨーコに防犯カメラの画像を見せる。
「ヨーコに確認してもらいたいのは、この人物だ」
ミシェルが最初に見せたのは、商店街を行き交う人混みを斜上横から写す白黒の荒い画像。和人のバイト先の書店の向かいにあるパチンコ屋の出入口を店内から映す防犯カメラのものだ。この映像は動画ではなく、3秒毎の静止画で、画面の右上には、撮影された日時がはっきりと残されている。
この連続した静止画に、バイトを終え、駅方向へ歩いて行く和人が映っていた。時間は、16時12分。
それから、ミシェルが次の画像、和人が書店を出た2枚後、6秒後の画像を拡大する。そこに、淡色のダボダボのスタジアムジャンパーを羽織り、濃色の、サイズが1回り大きな野球帽を目深に被った人物が映っている。
次に、商店街中程にあるコンビニの防犯カメラの画像が示された。この店舗はパチンコ店からは駅向かって70mほど離れた場所にある。こちらも秒毎の連続静止画だが、映像はカラーで、先ほどのものより人物の全体像が少しだけわかりやすい。
探すまでもなく、野球帽の人物が、和人の後ろを歩いているのがはっきりとわかった。時刻は16時13分。
その次は、商店街組合がアーケードに設置している防犯カメラ。商店街の人の流れを把握するための、俯瞰で通り全体を奥へ向かって映すカラー動画だ。駅側天井付近からの画像で、サイトで実況公開されているためか、顔まではわからない。が、それでも、服装からある程度は人物の判定ができる。
この動画にも、濃紺の野球帽を目深にかぶり、サイズの合わない銀色のスタジアムジャンパーで体型のわからない人物が、あまり距離を取らずに、和人を追って歩いているのが映っていた。
記された時刻は、16時14分から17分にかけての3分間。
「コイツ」
ヨーコがつぶやいた。
「間違いない、空港で千葉と藤塚に接触したヤツだ」
意図してやっているだろう、空港の時と全く同じ服装なのが、ヨーコたちの気に障った。
「やはり、狙いは風見和人か」
「コイツは、どうなった?」
ヨーコの問いに、ミシェルが首を振った。そして、彼は防犯カメラの映像を時系列に並べ、次の動画をヨーコに示す。公園近くの街頭防犯カメラの動画だ。
16時21分、駅に向かっていた和人が、追跡に気づいて公園脇の小道に入る。それを追って、この人物も小道に入った。が、その先、小道で何があったのかは、防犯カメラの死角と暗闇で、わからない。
17時25分、少し足元のおぼつかない和人が小道から出てきた姿が、公園横の防犯カメラに映る。和人は、そのまま公園のベンチに長時間座り、空を見上げて動かなかった。
20時57分、ようやく彼はベンチを立ち、寮への帰路に着いた。
しかし、銀ジャンパーの人物は、その前後、周囲の防犯カメラには一切映っていない。
そもそも、この人物が和人のバイト先へ現れる前の映像がない。周辺から集めた、書店から駅への道のりにある防犯カメラの映像のどこにも、シラミ潰しにあたったというのに、その姿が全く映ってないのだ。
「あの時と同じ、か」
ヨーコの言葉を聞いて、ミシェルが溜息をついた。
「知恵熱、で済めばいいな」
放課後、急いで帰寮した光流は、まっすぐに隣室へ向かった。寮監から、うつる病気ではない、と聞き出していたので、ためらう事なく、でも、音が響かないよう、小さくドアをノックする。
反応は、ない。
ゆっくりとノブを回し、そっと中を覗く。額に冷感ジェルシートを貼った和人が、ベッドで眠っていた。
光流は、小声で「入るよ」と告げ、和人のベッドに近づいた。
今朝よりは顔色が良くなっているようにも見える。光流は左手の甲を、そっと、和人の右頬にあてた。
熱も下がっているようだ。
安心し、和人を起こさないように、と光流が離れようとする。と、その左手を和人にしっかりと掴まれた。
「和人くん?」
「…………」
和人の唇が動く。が、眠ったままなのか、声は聞こえない。
光流の腕を掴んだのも、寝ぼけて、夢の中の何かを、なのかもしれない。それでも、光流は、今朝と同様、その手を振りほどけずに、中腰の姿勢で動けなくなった。
光流が困っていると、和人がうっすらと目を開いた。が、ぼんやりと天井を見上げたままで、瞳は焦点が合っていないようにも見える。
困りながらも、光流は和人の横顔を見つめていた。すると、和人がゆっくりと横を、光流の方を向く。
「…… よかった、ホンモノだ ……」
そう呟くと、和人はまた、瞳を閉じてしまった。光流を掴んでいた手からも、力が抜ける。
「和人くん?」
繰り返し尋ねても、やはり、返事がない。
光流が、解かれた左手の甲を、今度は、和人の鼻に近づける。
ほんのりと、暖かい息がかかった。
和人が眠ったのを確認し、光流はスポーツドリンクを取り出し、枕元に置く。
少しの間、真上から寝顔を見つめ、ほんの一瞬、光流の唇が和人に触れた。
「ホンモノだよ
ボクのガイドさん」
光流はそのまま、和人の部屋を後にした。
特に、そのスピリットアニマルが、以前、学生が参加した空港警備の現場でも目撃されたこと。そのどちらの場にも、高等部随一のガイド、風見和人がいたこと。この2つの情報が、皆の興味を引いていた。
「急に騒がしくなったね」
熀が話しかける。
昼休みの食堂、熀と隆郎に光流が加わり、3人で日替り定食を食べていた。
渦中の和人は、昨夜、アルバイトから帰寮後に、体調を崩して、自室に篭っている。そのせいなのか、光流はどこか上の空だ。
「和人が気になる?」
「え、あ、いや ……」
隆郎に問われ、光流は我に返った。だが、熀の話を聞いていなかったため、返答に詰まる。
「仕方ないさ、オレだって熀が寝込んだら
気になって、食事どころじゃない」
隆郎ののろけに、熀が耳まで赤くなったことにも、光流は気がつかなかった。
昨夜、日曜の晩、和人が寮に戻ってきたのは、かなり遅い時間になってからだった。夕食どころか、大浴場の利用時間もとうに終わった頃だ。
これまでの和人は、どんなに遠出をしても、宿泊申請をしない限り、夕食時には帰寮していた。それが、この日に限って、戻ったのは夜遅くになってから。学園の寮は規制が厳しくないとはいえ、さすがに、寮監も心配しながら待っていたくらいだ。
夜の寮に寮監の声が響いた。
その声で光流は目を覚まし、そっと、ドアを開けて廊下に顔を出す。
ちょうどそこへ、寮監に謝りながら、和人が部屋へ戻ってきた。
遠目でも、廊下の薄暗い灯の下だというのに、和人の表情が硬く、顔色もよくないことがわかった。手足が青白いのに対し、顔は熱っぽくほんのりと赤く、目が少し虚ろに泳いでいるようにも見える。
光流はとっさに、廊下に出て和人に声をかけた。
「おかえり
遅かったね、大丈夫?」
「あ、あぁ ただいま」
和人は光流の姿を確認すると、安心したように緩んだ笑顔を見せる。それから、スッと手を伸ばし、光流を抱きしめ、彼の耳元でつぶやいた。
「………」
「え?」
和人の言葉を、光流は聞き直そうとする。が、和人はそれに答えず、ゆっくりと腕を緩め、体を離した。
「起こして、ゴメン」
それだけを言って、和人は自室へ入ってしまった。
翌朝、昨夜の様子が気になった光流は、朝食には少し早い時刻に、和人の部屋を訪ねることにした。
ドアを軽くノックし、和人の反応を待つ。
が、返事が、ない。
「和人くん、起きてる?」
声をかけ、ドアの前で待ってみる。しかし、やはり、反応がない。
昨夜が遅かったので、今朝はまだ、ゆっくり熟睡しているのかもしれない。そう考え、光流が自室へ戻ろうとした時、ガタンと屋内から大きな音が響いた。
驚いて、ドアを勝手に開いて中の様子を確認する。
ベッドの横に、和人が倒れているのが目に入った。
「和人!」
光流が、慌てて彼を抱き上げる。
パジャマ越しに和人に触れただけで、高熱を発しているのがわかった。光流は急いで和人を抱き上げ、ベッドに戻し、寮監を呼ぼうと立ち上がる。その、右腕を、和人が掴んだ。
「今、寮監さんを」
「…… ミツル ホンモノ? …」
「え?」
戸惑う光流の右手を、和人が両手で包むように優しく包み、頬ずりをした。
熱に浮かされているのだろう。そんな和人の手を振り解けなくなり、光流はポケットからスマートフォンを取り出して寮監へ電話をかけた。
すぐに寮監が現れ、対応をするのを、光流はただ眺めていた。それから、寮監に促されて仕方なく、光流は和人を残して、登校したのだ。
和人が発熱したことは、すぐに寮監から教員たちにも伝えられた。
学園に常駐する医師の診断結果を受け取り、ミシェルが前日の和人の行動をチェックさせる。
間もなく、和人の日曜午後の行動がトレースされ、ミシェルに報告された。学園内の覚醒者、特にガイドの統括はミシェルが受け持ち、重大なトラブルがあれば、タワーに報告するのも彼の役割でもある。
報告に目を通し、ミシェルはヨーコを呼び出した。
「ストレス性高体温症、とはねぇ」
ヨーコが、ミシェルから手渡された診断書を読んで、眉をしかめる。
「いわゆる、知恵熱、ってヤツだ
問題は、その原因だろう」
ミシェルがノートPCを動かし、ヨーコに防犯カメラの画像を見せる。
「ヨーコに確認してもらいたいのは、この人物だ」
ミシェルが最初に見せたのは、商店街を行き交う人混みを斜上横から写す白黒の荒い画像。和人のバイト先の書店の向かいにあるパチンコ屋の出入口を店内から映す防犯カメラのものだ。この映像は動画ではなく、3秒毎の静止画で、画面の右上には、撮影された日時がはっきりと残されている。
この連続した静止画に、バイトを終え、駅方向へ歩いて行く和人が映っていた。時間は、16時12分。
それから、ミシェルが次の画像、和人が書店を出た2枚後、6秒後の画像を拡大する。そこに、淡色のダボダボのスタジアムジャンパーを羽織り、濃色の、サイズが1回り大きな野球帽を目深に被った人物が映っている。
次に、商店街中程にあるコンビニの防犯カメラの画像が示された。この店舗はパチンコ店からは駅向かって70mほど離れた場所にある。こちらも秒毎の連続静止画だが、映像はカラーで、先ほどのものより人物の全体像が少しだけわかりやすい。
探すまでもなく、野球帽の人物が、和人の後ろを歩いているのがはっきりとわかった。時刻は16時13分。
その次は、商店街組合がアーケードに設置している防犯カメラ。商店街の人の流れを把握するための、俯瞰で通り全体を奥へ向かって映すカラー動画だ。駅側天井付近からの画像で、サイトで実況公開されているためか、顔まではわからない。が、それでも、服装からある程度は人物の判定ができる。
この動画にも、濃紺の野球帽を目深にかぶり、サイズの合わない銀色のスタジアムジャンパーで体型のわからない人物が、あまり距離を取らずに、和人を追って歩いているのが映っていた。
記された時刻は、16時14分から17分にかけての3分間。
「コイツ」
ヨーコがつぶやいた。
「間違いない、空港で千葉と藤塚に接触したヤツだ」
意図してやっているだろう、空港の時と全く同じ服装なのが、ヨーコたちの気に障った。
「やはり、狙いは風見和人か」
「コイツは、どうなった?」
ヨーコの問いに、ミシェルが首を振った。そして、彼は防犯カメラの映像を時系列に並べ、次の動画をヨーコに示す。公園近くの街頭防犯カメラの動画だ。
16時21分、駅に向かっていた和人が、追跡に気づいて公園脇の小道に入る。それを追って、この人物も小道に入った。が、その先、小道で何があったのかは、防犯カメラの死角と暗闇で、わからない。
17時25分、少し足元のおぼつかない和人が小道から出てきた姿が、公園横の防犯カメラに映る。和人は、そのまま公園のベンチに長時間座り、空を見上げて動かなかった。
20時57分、ようやく彼はベンチを立ち、寮への帰路に着いた。
しかし、銀ジャンパーの人物は、その前後、周囲の防犯カメラには一切映っていない。
そもそも、この人物が和人のバイト先へ現れる前の映像がない。周辺から集めた、書店から駅への道のりにある防犯カメラの映像のどこにも、シラミ潰しにあたったというのに、その姿が全く映ってないのだ。
「あの時と同じ、か」
ヨーコの言葉を聞いて、ミシェルが溜息をついた。
「知恵熱、で済めばいいな」
放課後、急いで帰寮した光流は、まっすぐに隣室へ向かった。寮監から、うつる病気ではない、と聞き出していたので、ためらう事なく、でも、音が響かないよう、小さくドアをノックする。
反応は、ない。
ゆっくりとノブを回し、そっと中を覗く。額に冷感ジェルシートを貼った和人が、ベッドで眠っていた。
光流は、小声で「入るよ」と告げ、和人のベッドに近づいた。
今朝よりは顔色が良くなっているようにも見える。光流は左手の甲を、そっと、和人の右頬にあてた。
熱も下がっているようだ。
安心し、和人を起こさないように、と光流が離れようとする。と、その左手を和人にしっかりと掴まれた。
「和人くん?」
「…………」
和人の唇が動く。が、眠ったままなのか、声は聞こえない。
光流の腕を掴んだのも、寝ぼけて、夢の中の何かを、なのかもしれない。それでも、光流は、今朝と同様、その手を振りほどけずに、中腰の姿勢で動けなくなった。
光流が困っていると、和人がうっすらと目を開いた。が、ぼんやりと天井を見上げたままで、瞳は焦点が合っていないようにも見える。
困りながらも、光流は和人の横顔を見つめていた。すると、和人がゆっくりと横を、光流の方を向く。
「…… よかった、ホンモノだ ……」
そう呟くと、和人はまた、瞳を閉じてしまった。光流を掴んでいた手からも、力が抜ける。
「和人くん?」
繰り返し尋ねても、やはり、返事がない。
光流が、解かれた左手の甲を、今度は、和人の鼻に近づける。
ほんのりと、暖かい息がかかった。
和人が眠ったのを確認し、光流はスポーツドリンクを取り出し、枕元に置く。
少しの間、真上から寝顔を見つめ、ほんの一瞬、光流の唇が和人に触れた。
「ホンモノだよ
ボクのガイドさん」
光流はそのまま、和人の部屋を後にした。
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