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菜乃⑤
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「あなた達にそんな過去があったなんて。しかも、この猫達は女神だったのね。色々、本当にごめんなさい」
真面目な性格故か、猫達にも真剣に頭を下げる菜乃。
そんな菜乃の様子に気を良くしたのか、猫達は「まぁ、私達の偉大さに気付いたならいいんにゃよ」等と言い出し始めた。
こうして、互いのことを知り、友好を深めた私達。
けれどーー不意に事態は一変する。
着物姿の菜乃の召使が、慌てた様子で室内に入って来た。
彼女は青ざめた顔でこう告げる。
「お嬢様、大変です!あの花子さんが街に現れました!彼女は、七瀬という生徒を筆頭に、女子高生数名を攫い、学校に向かったそうです!」
「何ですって……?!」
間違いない、きっと攫われたのは愛美という生徒をいじめていた女生徒達だ。
今直ぐ止めに行かなければ、きっと、花子さんは容赦なく女子高生達を血祭りに上げることだろう。
(いや、それだけじゃないーー)
死霊伯爵が身の内に取り憑いている今の彼女は、人間への憎しみが増幅された状態だ。
「もしかしたら……最悪の場合、いじめグループ以外にも危害を加える可能性があるな」
私の言葉に頷く王真と菜乃。
「止めにいかねぇと……!」
王真が、強い決意を滲ませた瞳で、そう語り、拳を握る。
「ああ。死霊伯爵はこの世界に来たのは、元はと言えば女神の……いや、私たちが原因だ。だからこそ、彼女は私たちで止めなくては。もうこれ以上、あの子に罪を重ねさせてはいけない」
私もそう告げると、几帳にかけてあった自分の洋服を手に取った。
真面目な性格故か、猫達にも真剣に頭を下げる菜乃。
そんな菜乃の様子に気を良くしたのか、猫達は「まぁ、私達の偉大さに気付いたならいいんにゃよ」等と言い出し始めた。
こうして、互いのことを知り、友好を深めた私達。
けれどーー不意に事態は一変する。
着物姿の菜乃の召使が、慌てた様子で室内に入って来た。
彼女は青ざめた顔でこう告げる。
「お嬢様、大変です!あの花子さんが街に現れました!彼女は、七瀬という生徒を筆頭に、女子高生数名を攫い、学校に向かったそうです!」
「何ですって……?!」
間違いない、きっと攫われたのは愛美という生徒をいじめていた女生徒達だ。
今直ぐ止めに行かなければ、きっと、花子さんは容赦なく女子高生達を血祭りに上げることだろう。
(いや、それだけじゃないーー)
死霊伯爵が身の内に取り憑いている今の彼女は、人間への憎しみが増幅された状態だ。
「もしかしたら……最悪の場合、いじめグループ以外にも危害を加える可能性があるな」
私の言葉に頷く王真と菜乃。
「止めにいかねぇと……!」
王真が、強い決意を滲ませた瞳で、そう語り、拳を握る。
「ああ。死霊伯爵はこの世界に来たのは、元はと言えば女神の……いや、私たちが原因だ。だからこそ、彼女は私たちで止めなくては。もうこれ以上、あの子に罪を重ねさせてはいけない」
私もそう告げると、几帳にかけてあった自分の洋服を手に取った。
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