かぐや姫の事件簿

モカ

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見えない毒

見えない毒(1)

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警視庁捜査一課本部。
今日ここで謎の毒物混入事件の捜査会議が行われる。
会議室では、イカつい男性刑事だらけで、熱気がすごい……。今夏だっけ?と思うぐらい熱い……。
私、竹田園子は4月から都内の警察署から警視庁捜査一課に配属された刑事。
異動して早々、事件が起こるとは……。
しかも、捜査会議には女性は私1人……。
1人寂しくぽつんと部屋の隅で退屈そうに座りながら、窓際の青空を見つめていた……。
この人集りの会議だったら、すぐ捜査に入って帰りそうにないな……。
さっさと終わらせて、今日買ったかぐや姫の『月光の火炎』の続きを読もう。
かぐや姫とは、私が大好きなミステリー作家。
去年、本屋の売り場でおすすめ本とPOPで紹介されていたのを見て、即購入。
家に帰って読んでみたら、こりゃまたドップリハマってね。
事件のトリックに驚いたり、登場人物達に心情移入しちゃって、ファンになっちゃった。
それから、かぐや姫の最新作が発売される日に買ってゆっくり読んでいる。
これが、多忙な刑事の仕事を終えた自分へのご褒美時間よ。
けど、かぐや姫の正体は不明。
サイン会も開催したことがない。
ネットの噂によれば、達筆なことからAIが書いてるとか……。
もし、サイン会が開催されることになったらこう伝えよう。『あなたの作品のおかげで、激務な仕事を乗り越えることができてます!』って。
妄想を膨らませながら考えていたその時。
「あの……。」突然、男性の声が聞こえた。「は、はい!」と私は現実に戻り振り返る。
私の隣に立っている男性。黒のスーツを身にまとい、背丈は180cm以上ありそうなくらい高く、国宝級イケメン並みに顔立ちがいい。
暑ぐるしくて任侠映画に出てきそうな強面の刑事がいるなか、突然のイケメン登場で熱い空気が爽やかな風が入ってきたかのように、少し涼んだ。
警視庁って、こんなイケメンがいるんだ。
しかも、私と同い歳くらいそう。
イケメンを目の前に私は頬を赤らめた。

「今日、捜査一課に配属された、竹田園子さんですよね?」
「はい……。」相手が立って挨拶してるのに座りながらはおかしいので、私は慌ててパイプ椅子から立ち上がった。
男性は優しく微笑んで、
「僕は捜査一課で刑事をやっています。月宮輝と申します。今後、よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします。」私は月宮刑事と握手を交わした。
月宮刑事の手は大きくて、強くとても温かかった。
私達が握手を交わしていると、ガラッと扉が開いた。捜査一課の警部、金田兼憲と警部補の春風悟が入ってくると周りの刑事達が一斉に立ち上がった。
私と月宮刑事も、手を離して金田警部と春風警部補の方へ向き直る。
金田警部と春風警部補は資料をそれぞれの席の上に置き、会議室にいる全員に目を向けた。
「ただいまより、女子大生毒物未遂事件の捜査会議を行なう。礼!」
会議開始の挨拶を春風警部補が始めると、全員2人に向けて頭を下げる。
終わると、再びパイプ椅子に座った。
同時に金田警部も春風警部補もパイプ椅子に座った。
2人の席の横にはホワイトボードがあり、事件現場の風景の写真、被疑者と容疑者の写真が貼られていた。
始めに口を出したのは金田警部だった。

「えー、今日のお昼頃、麗花女子大学で殺人未遂事件が起きた。被疑者は在学中の結城玲奈さん、22歳。バスケの練習が終わったあと、更衣室で体を汗ふきシートで拭いていた時、突然アナフィラキシーを発症。両手と首に赤い湿疹が腫れ上がっていた。」

資料のページをめくると、彼女のりんごのように赤く腫れ上がった両手と首の写真が載っていた。
毒は体内に取り入れると、吐き気、下痢、頭痛、腹痛、呼吸困難、血圧低下、意識レベルの低下、痙攣が一般的だが、湿疹や炎症を起こす中毒疹という皮膚の湿疹がある。
この写真を見て、彼女もそうだろう。

「救急搬送され、命には別状はなかった。現在は葉山総合病院の内科に入院している。」

続けて、春風警部補が事件の説明を口にする。「彼女が所持していた汗ふきシートには、毒物は検出されなかった。毒物のような物も、現場にはなかった。」

私も探したけど、大学の外、体育館、廊下、ゴミ箱にもなかった。

「我々は以前、被疑者とサークル内で揉めた田沢夏美、18歳を殺人未遂事件と関わりがある可能性があるので、現在取り調べをしている。」

「……あれっ?田沢夏美って、どこかで聞いたことあるような……。」

私はテレビや新聞でその名を聞いたような気がした。
「今、注目されているバスケットボール選手ですよ。」私の耳に甘い声が囁いた。
教えてくれたのは月宮刑事だった。
「あっ!そうだった!」私は小声を出す。

「事件の容疑者になってから、彼女はスカウトされたバスケチームから加入保留とされたんです。逮捕されれば、選手人生終わりでしょうね。」

甘いマスクの割には毒舌なんだ。
私も、テレビで何度か観たことあるけど、そうなればせっかく手に入れた夢への切符が、一瞬で消えるんだよな。可愛そうに。

「彼女、アジア代表にも選ばれているんでしょう?」

「ええ。それも事件の影響で、今回の日本代表の合宿は取り消されたそうです。」

「……まだ犯人とは決まってないのに。」

「世の中はそうですよ。あれだからこれだからと人が決めつけて、孤立させる。僕は今までそういう人間の心情を見たことありますから、わかります。」月宮刑事はぼそりとつぶやいた。
その目は何だか寂しそうな目をしていた。

「では、この事件の捜査を……今回は竹田刑事と月宮刑事に頼んでもいいかな?」

金田警部の言葉に私は思わず「ふえ?」と呆けた声を出す。その隣に座っていた月宮刑事は、改めて警部たちに向き直り、「はい!」とよく大きな声で返事をした。

「竹田刑事は今日から警視庁捜査一課に配属されたばかりだからね。わからないことは、月宮刑事に聞いてくれ。」

金田警部は両腕を机に付いて、にこにこと私に視線を送った。
……さらば、私の有意義な読書時間よ……。
私は天井を仰いでいると、「よろしくお願いします、竹田刑事。」と月宮刑事が私に声をかけたが、私の耳には入ってこなかった。


月宮刑事のSUVで麗花女子大学まで走った。
大学は今日は通常で授業を行っているらしい。
尚、容疑者の田沢夏美は自宅待機。
バスケサークルは事件を受けて一時活動休止。夏の大会も棄権となったらしい。
私達は会議室を借りて、事件を目撃したバスケサークルの部員たちに聞きこみ捜査することになった。
最初に会議室に呼んだのは、田沢と同じ学年の小松真澄。バスケサークルのマネージャーを務めている。
メガネをかけて、太いカチューシャを付けてポニーテールの髪型の小柄な女性。
りすのように小さな体を縮こませながら私と月宮刑事と対面でパイプ椅子に座っている。

「事件があったあの日、どんな状況だった?」

余計に怖がらせないように優しい口調で話す。すると、小松が口を開いた。

「……あの日、結城先輩が……息苦しそうにうずくまってて……肌も湿疹が出てて、私、それ見てどうしていいかわからなくて……。」

小松は蚊の鳴くような声で事件があった状況を話す。

「……夏美ちゃんが救急車に連絡するよう、他の部員に声をかけてました。後から監督も来て、その場から離れるように指示されました。」

「なんで?」

「その時、結城先輩が口から泡を吹いていて、もうかなり酷い状態だったからだと思います。」

私の隣に月宮刑事が小松の供述をメモしていく。

「意識はどうだったの?」

「目が虚ろになってて焦点も合わなかったから……私たちが声をかけても反応なかったです。」

「そうか……。」隣でメモを取っていた月宮刑事がペンを止め、小松に目を向けた。

「小松さん、話は変わりますが、結城玲奈さんは夏美さんの他に、部員とトラブルになったことありますか?」

さっきまで肉食動物の目の前に怯える小動物のように震えていた小松の体がぴたっと止まり、唇に強く力を入れた。

「そりゃありますよ!」と小松は椅子から腰を浮かした。今まで小さかった声が、中ぐらいな大きな声を出したので、私と月宮刑事はガコッと椅子が床に擦りむく音を立てて驚いた。

「選手だけじゃありません!マネージャーにもきつく当たるんです!スポーツ飲料をスポーツジャッグに入れたんですけど、「温い!入れ直して!」と自分が飲めれる温度になるまで入れ直されたり、それだけじゃない!自分専用のボールを「マネージャーだから私のボールも磨けるよね?」と私達に磨かせたり、ビブスを洗濯する時、こだわった洗濯洗剤じゃないと着れないからって、洗剤を指定されたりして!その洗剤は高くて、私達マネージャーもなくなるたびにお金が減っていくんです!部費も少しずつ減っていって……。私達は、あいつの家政婦じゃないのに!」

メガネの奥から流れる涙が溢れ出し、曇り始めた。小松は手首で流れる涙を拭う。
事情によると、このバスケサークルは、結城玲奈によって支配されているらしい。
マネージャーを下に見る態度……明らかにパワハラにしか見えない。
チーム崩壊寸前でよく活動を続けられたな……。
部員もマネージャーもきつく耐えたんだろうな。

「落ち着いてください。」月宮刑事が優しい声でなだめた。小松は泣きやみ、パイプ椅子に座った。

「辛かったでしょうね。それで、田沢夏美さんが抗議しにいったと。」

小松はしゃくり上げながらうなずいた。

「……夏美ちゃんは悪くないです。ただ、あの人に変わって欲しいとばかりに、私達のために声を上げたんです。だけど、結城先輩は夏美ちゃんにライバル心を持っていたんで、聞く耳持たず。私達の身代わりになって、夏美ちゃんは結城先輩からの嫌がらせを受けられるように……本当に、夏美ちゃんは犯人じゃないです!」

最後の言葉を強調した声で小松は言った。
次に話をしたのは外ハネボブの部員。
大学4年生でバスケサークルの副キャプテンを務めているらしい。

「散々あったよ。あいつは監督のお気に入りだから、何でもやり放題で。」

副キャプテンは肩をすくめた。

「お気に入りとは?」月宮刑事が聞き返す。

「あいつ、うちらよりバスケ上手いし、実力は人並み程度だったよ。高校時代には、インターハイに出たことあるみたいだし。監督は、うちら底辺のやつとは一切関わらないで、玲奈にべったり付いてたし。あ、変なことじゃないから気にしないで!」副キャプテンは右手を振る。
部活でよくあることだな……。お気に入りの選手を自分のものにして、その他は試合にも出さない監督。

「それで、田沢夏美さんが入部してきたら、ますます結城玲奈さんの態度が変わったと。」

「うんうん。」副キャプテンは大きくうなずく。「夏美が入ってきて、チームの雰囲気がガラリと変わったんだ。自分より実力が上の夏美が入ってきて、しかもプロのバスケチームにお呼ばれされて、アジア代表にも選ばれて、メディアにも引っ張られて、今まで自分が上だったのに、夏美が目立ち始めたから、玲奈はストレスMAXになった。玲奈、ああいう性格だから、ますますチーム内で孤立しちゃってね。夏美がその空気を変えようと玲奈に抗議しに行ったのはびっくりしたよ。」

「その時、あなたもその場に?」私は聞き返す。

「うん。なんか騒いでるなと思って見てみたら、玲奈と夏美がいがみ合っていた。私と他の部員で止めたんだけど、その後ミーティングになった。監督のお気に入りだから、夏美がキャプテンの言うこと聞かなかったから悪いと話がまとめられた。私はどっちかっていうと、夏美派。あんなのがキャプテンだと、バスケやるのがしんどい。」

副キャプテンは悲しげな表情でうつむいた。

「玲奈さんを恨んでた人は?」

「いたと思うよ。サークル内全員ね。」

続いては、バスケサークルの監督の岩下。
スキンヘッドでイカつい男性。50代くらいで巨体な体に赤いジャージを着ている。

「部員たちに呼ばれて見に行ったら、玲奈が倒れてよ。あいつらをその場から離して、ぐったりしてたから、仰向けでタオルで足を高くしたんだ。意識朦朧としてたからよ。」

「それで、玲奈さんの症状は?」

「そりゃ収まらなかったよ。息苦しそうにしてたしね。」

「玲奈さんを恨んでた人とかいますか?心当たりがあれば……。」

「ああ?」岩下が私を睨めあげる

「い、一応、聞いておかないと……監督だし。」

あまりにもヤクザのような目つきで睨まれたので、私は少し引いてしまった。

「いるわけねえだろ!」岩下がテーブルを握りしめた拳で強く殴る。ぶるんと大きい頬が揺れる。

「あいつは俺の大切な部員だ!恨まれるようなことをすることするはずがない!」

してるじゃん。
監督はチーム内はちゃんと見てないのね。


大学をから去って、月宮刑事のSUVに乗った。月宮刑事が「用があるから。」と人通りの少ない住宅街へ走っている。

「結局、犯人への手がかりはなかったですね。ほとんど、結城玲奈さんへの不満だらけだったし。」

「そりゃそうでしょ。あんだけチーム内で問題起こせば、誰だって恨むわよ。私だったら、耐えきれなくて週刊誌に売りそう。」

「やめてください、それは。」月宮刑事が早口でつっこむ。「あ、ごめん。」と平謝りする。

「……はあ~。帰ってきたら、『月光の火炎』の続き読まないと。」

「へっ!?」突然、月宮刑事が声を裏返る。

「な、なになに?どうしたの?」驚いて戸惑う。

「竹田刑事、『月光の火炎』読んでるんですか?」

「え、ええ……。月宮刑事も読んでるの?かぐや姫の『月光の火炎』。」

「ええ。だって、あの小説は妹が書いているから。」

「へえー。妹さんがね……ってええっ!?」

私はさらに目を大きく見開いて声を上げた。

「月宮刑事の妹さんが、かぐや姫ぇぇぇ!?」

まさか、すぐに推しのお兄様がいるとは……。

「だ、誰にも言わないでくださいよ?妹が竹田刑事がファンだと知ると、すごく喜びそうです。」

その優しい微笑みは、兄の顔だな。

「これからどこに向かってるんですか?」

「妹のところ。僕らが住んでる家です。」

推しが住んでいる家に向かってるとは……。

「もうすぐ着きます。」

近くの駐車場に車を止め、歩いて3分のところで昭和レトロな朝ドラに出てきそうな大きなアパートに着いた。

「ここが僕たちが住んでいる家、月光館です。」

こんな昔なアパート、まだ残ってるんだ。

「さ、行きましょう。妹が待っている。」

もうすぐ推しに会える緊張感を胸に、月宮刑事と共に、月光館へ入った。
入ってくると、管理人室がすぐ横にあり、奥でお婆さんが椅子に腰を掛けて寝ていた。

「ただいま、道子さん。」月宮刑事はお婆さんに声をかけるが、お婆さんには聞こえてなかった。
リビングに上がると、大階段があり、シャンデリアが吊るされていて、まるで昭和の洋館に来たような雰囲気を醸し出している。
ダイニングテーブルで、1人の女性がテーブルに向かってパソコンを打っていた。
黒いおかっぱで、緑色の着物を着て、顔は少女みたいに可愛らしく、真剣な眼差しでパソコンとにらめっこをしている。
月宮刑事は、女性にそっと近づいた。

「美月、ただいま。」月宮刑事が声をかけた。
『美月』。そう呼ばれた女性が月宮刑事の妹さんだろう。
『美月』と呼ばれた女性は、パソコンを打つ手を止め、袖をめくり、腕時計を見た。

「15時53分。お兄ちゃん、いつもより早い帰宅ですね。」と、聞き取れない早口で話す。

「いや、ちょっと早めに終わってね。あ、紹介するね。この人、お兄ちゃんと同じ、捜査一課に加わることになった、竹田園子さん。」

「よ、よろしくお願いします……。」

 推しに顔を覗き込んだ私は、緊張しながら挨拶をした。が、推しは私に目も合わせてくれなかった。
そんな状況を月宮刑事が「あ……。」と声をこぼし、私の方を向いた。

「すみません。妹が失礼な態度を取って……。改めて紹介します。こちら、僕の妹の月宮美月。ミステリー作家のかぐや姫です。」

推しを紹介された私は口をポカンと開け、緊張で言葉が出なかった。
推しは……AIなんかじゃなかった!実在した!






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