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番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 メイドズ⭐ブラスト episode2
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「マリン! マリン!」
「エミリ! エミリ!」
観客の興奮した叫び声が闘技場の中でワンワンと反響した。
それは試合時間が近づくにつれ、だんだん強くなっていき──。
「マリン! マリン!」
「マリン! マリン!」
圧倒的なマリンへの叫び声に「エミリ!」という声は掻き消されていく。
ここは──カルゾ・シティ。
カルゾ公の居城、カルゾ城を望むこの町は首都エストに次ぐ、ユッカ国内では大規模な都市である。
そんなカルゾ・シティの東には昔からカルゾ国民に聖地とされる場所があった。
そこは何百年も前から建てられた石造りの遺跡めいた広大な──闘技場である。
本日はカルゾ公国内で行われる予選決勝の最終日。
まだ、試合開始まで少し時間があるというのに、すでに超満員に達した観客のボルテージは最高潮に達してしまっているようだった。
隣国、イスキアで行われる本選に向けての国内予選がはじまって一週間。
向武の国であるこのカルゾ公国にとって一大イベントであった。
この一週間で闘技場だけでなく、カルゾ国内の主だった道場や競技場、広場でも年齢別、階級別のミニ大会が行われ、人々はあらゆる大会に参加し、また観戦していた。
種目は、総合格闘技と呼ばれる花形の「何でもあり」の体術や武器を使ったものから、細剣、斧、モーニングスター、大鎌、大弓や短剣、素手だけの闘拳、足だけの闘脚など様々な試合がほんの街角の公園ですら開催されていた。
単に相手を叩き伏せるだけではなく、アイドルのポスターを塀にどれだけ貼れるか、荷物をどんなスピードで馬車まで運べるか、制限時間内に皿を何枚洗えるか、などというよく分からない勝負もあちらこちらで催されていた。とにかく、国をあげて老いも若きも「チャンピオンになること」に燃えた一週間だったのだ。
そのクライマックスとも言える試合がこれからマリンが出る予定の「総合格闘技、決勝」なのである。
「うひゃ……すごい声援ね。さすが前年度チャンピオン。一番人気じゃないの?」
闘技場の地下の控え室で。
私の肩をポンポンと励ますようにダルバが叩いた。
「何言ってるのよ。今大会の剣部門、ぶっちぎり一位だったチャンピオンさんが……」
私はダルバの頭をツンツン、とつついた。
「てへ。ま、国内予選だからね。勝って当然なんだけどさ。ここで突破しないとお給料だって下がっちゃうし。ほい、マリン」
「まぁね。ありがと」
ダルバから水の入ったコップを受けとると私は一気に飲み干した。
「ふぅ。……私たちはカルゾ邸の看板背負ってるからね。予選では負けられないわ。誰にも──」
「熱いわね、マリン。さすが試合前!」
ダルバが茶化すように言った。
「ん~、モニカもパロマも勝ち残ってるしね。出番が最後の私はプレッシャー、パンパンってわけよ」
そう。
自信がないわけじゃない。
予選の動きを見る限り、今回の相手、エミリは勝てない相手ではなさそうだった。
「あたしもマリンが負けるとは私も思ってはいないけどさ──ほら、パロマが言ってたアレが気になって……」
小さな声でダルバは言った。
「あぁ、パロマが作ったアーマーでしょ? なんか予選から御披露目するとか意気込んでる割に静かよね?」
「……噂をするとやってきそうで怖いのよ~」
「うん、私もそう思う」
パロマは私に同感といった様子で笑いかけ──その笑みを凍りつかせた。
「どうしたの? ダルバ」
「いや、気のせいかも。なんか凄いのが見えた気がした──」
青い顔でダルバは廊下の方を指差した。
私は慌てて廊下に飛び出して辺りを見回す。
誰も、いない──。
突き当たりの通路を忙しそうに走り抜けていくスタッフの姿が見えるばかり。
「何が見えたの?」
恐る恐る、私はダルバに尋ねた。
「めっちゃ真っ赤な際どいアーマーを装着した首なしのマネキンよ。……見えなかった?」
ダルバの言葉にブンブンと私は頭を横に降った。
「まさかだけど、パロマ──あれをマリンに着せるつもりじゃ……」
「え!? やめてよ。縁起でもないこと言わないでくれる?」
私は不吉な予感を振り払うように、自分の頬をたたいて気合いを入れると心配そうなダルバを残して試合会場に向かった。
「エミリ! エミリ!」
観客の興奮した叫び声が闘技場の中でワンワンと反響した。
それは試合時間が近づくにつれ、だんだん強くなっていき──。
「マリン! マリン!」
「マリン! マリン!」
圧倒的なマリンへの叫び声に「エミリ!」という声は掻き消されていく。
ここは──カルゾ・シティ。
カルゾ公の居城、カルゾ城を望むこの町は首都エストに次ぐ、ユッカ国内では大規模な都市である。
そんなカルゾ・シティの東には昔からカルゾ国民に聖地とされる場所があった。
そこは何百年も前から建てられた石造りの遺跡めいた広大な──闘技場である。
本日はカルゾ公国内で行われる予選決勝の最終日。
まだ、試合開始まで少し時間があるというのに、すでに超満員に達した観客のボルテージは最高潮に達してしまっているようだった。
隣国、イスキアで行われる本選に向けての国内予選がはじまって一週間。
向武の国であるこのカルゾ公国にとって一大イベントであった。
この一週間で闘技場だけでなく、カルゾ国内の主だった道場や競技場、広場でも年齢別、階級別のミニ大会が行われ、人々はあらゆる大会に参加し、また観戦していた。
種目は、総合格闘技と呼ばれる花形の「何でもあり」の体術や武器を使ったものから、細剣、斧、モーニングスター、大鎌、大弓や短剣、素手だけの闘拳、足だけの闘脚など様々な試合がほんの街角の公園ですら開催されていた。
単に相手を叩き伏せるだけではなく、アイドルのポスターを塀にどれだけ貼れるか、荷物をどんなスピードで馬車まで運べるか、制限時間内に皿を何枚洗えるか、などというよく分からない勝負もあちらこちらで催されていた。とにかく、国をあげて老いも若きも「チャンピオンになること」に燃えた一週間だったのだ。
そのクライマックスとも言える試合がこれからマリンが出る予定の「総合格闘技、決勝」なのである。
「うひゃ……すごい声援ね。さすが前年度チャンピオン。一番人気じゃないの?」
闘技場の地下の控え室で。
私の肩をポンポンと励ますようにダルバが叩いた。
「何言ってるのよ。今大会の剣部門、ぶっちぎり一位だったチャンピオンさんが……」
私はダルバの頭をツンツン、とつついた。
「てへ。ま、国内予選だからね。勝って当然なんだけどさ。ここで突破しないとお給料だって下がっちゃうし。ほい、マリン」
「まぁね。ありがと」
ダルバから水の入ったコップを受けとると私は一気に飲み干した。
「ふぅ。……私たちはカルゾ邸の看板背負ってるからね。予選では負けられないわ。誰にも──」
「熱いわね、マリン。さすが試合前!」
ダルバが茶化すように言った。
「ん~、モニカもパロマも勝ち残ってるしね。出番が最後の私はプレッシャー、パンパンってわけよ」
そう。
自信がないわけじゃない。
予選の動きを見る限り、今回の相手、エミリは勝てない相手ではなさそうだった。
「あたしもマリンが負けるとは私も思ってはいないけどさ──ほら、パロマが言ってたアレが気になって……」
小さな声でダルバは言った。
「あぁ、パロマが作ったアーマーでしょ? なんか予選から御披露目するとか意気込んでる割に静かよね?」
「……噂をするとやってきそうで怖いのよ~」
「うん、私もそう思う」
パロマは私に同感といった様子で笑いかけ──その笑みを凍りつかせた。
「どうしたの? ダルバ」
「いや、気のせいかも。なんか凄いのが見えた気がした──」
青い顔でダルバは廊下の方を指差した。
私は慌てて廊下に飛び出して辺りを見回す。
誰も、いない──。
突き当たりの通路を忙しそうに走り抜けていくスタッフの姿が見えるばかり。
「何が見えたの?」
恐る恐る、私はダルバに尋ねた。
「めっちゃ真っ赤な際どいアーマーを装着した首なしのマネキンよ。……見えなかった?」
ダルバの言葉にブンブンと私は頭を横に降った。
「まさかだけど、パロマ──あれをマリンに着せるつもりじゃ……」
「え!? やめてよ。縁起でもないこと言わないでくれる?」
私は不吉な予感を振り払うように、自分の頬をたたいて気合いを入れると心配そうなダルバを残して試合会場に向かった。
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