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番外編〈第一部 終了ボーナストラック〉
番外編 メイドズ☆ブラスト episode21
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リングで型通りの試合前宣誓が行われた後、用意された武器──自分の得意な獲物、細剣をダルバは受け取って中央へ進んだ。
一方、相手のエルは何も武器をとらず、手ぶらのまま落ち着き払って進み出る。
そして、そのまま互い無言でにらみあった。
遠くから、楽器の調べが風にのって聞こえてくる。
場外の広場で神殿に奉納する楽を奏でているものだろう。それが聞き分けられるほど、闘技会場もシン! と静かに張りつめた空気に満ちていた。
それまで熱狂的に野次を飛ばしていた観客たちも息をのんで無言の二人を見つめていた。
初戦からやたらと喋る闘技士が続いていたので、無言で対峙するこの二人の姿は観客たちにとって逆に新鮮に見えたにちがいない。
「はじめ!」
白旗がふられたと同時に、ダルバは被っていた白い貫頭衣を脱ぎ捨てた。
うおおおお──っ!
ようやくあらわになったダルバの姿を見て、観客席が異様に沸き立った。
「あれは──ヒモか? いや、包帯?」
ダルバのビキニアーマーは緋色の細い布状で、ぐるっと回された細い布が胸の先と股間をかろうじて隠している非常に扇情的なデザインだった。
上半身は、白い短いキモノ──東方の民族が好んで着ている短衣が前で合わせて紐で結ばれていたが、あまりに薄い素材のためほぼ透けてしまっている。
下半身は長目の緋色の袴でおおわれていたが、腰まで深く入ったスリットのため、足を少しでも動かすとほぼ、袴の中身が丸見えになってしまうというシロモノであった。
「どうよ、皆さん! 今回のアーマーのコンセプトは『どうか私を縛ってください、M巫女さんバージョン』よ。SMの女王の相手としてはピッタリでしょ!」
デバガメ──もとい、いつの間にか控え室から抜け出て、観客席の椅子の背もたれに足をのせ、高笑いをしながらパロマが嬉々としてアーマーの解説をする。
「ちなみにこのアーマーは『よいではないか、よいではないか』と言いながら布の端を掴むと『あーれー』と帯回しが楽しめる仕組みになってるのよ! 私って天才でしょ! パロマ、グッジョブ!」
おおーっ!
パロマがたかだかと天に向かって親指を立てると、場内がわぁ!っと地響きのような歓声に包まれた。
「いいぞ! パロマ!」
「やれやれ! エル!」
「裸にむいてやれ! いけ! 帯回し!」
口々に興奮した男たちの声援の嵐で会場は埋め尽くされてしまった。
「うわぁ、ダルバ可哀想──」
「あれは、出たくなかったはずよね」
私はパロマの言葉に真っ赤になって肩を震わせながらも、気丈にレイピアを構えるダルバに同情の眼差しを送った。
「だけどさ、マリン」
頬を染めてモジモジとモニカが言った。
「なによ?」
「ダルバは気の毒だけど、本当にあの格好さぁ……めっちゃエッロ!」
「……なんか襲われた事後みたいだよね」
「あたし、まだ体操着でよかったかも──」
「あぁ、比較論ってやつよ。私のスケスケメイドがアーマーも相当ヒドいからね……」
「うん──」
そんな観客席の騒動を毛ほど気にした様子もなく、白い仮面をつけたエルは騒ぎとは無縁のように静かに立っていた。
何かを振り切るように頭をふると、ダルバは細剣を振りかざし、エルに向かって突進した。
そして、真上に飛び上がると上段から鋭く打ちかかる。
渾身のダルバの攻撃を、落ち着き払ってエルは籠手の金具で受け止め、ふわりと受け流して身をかわした。
休む間もなく、ダルバは気合いを入れて連続で突き入れる。
それもギリギリのところでヒラリとエルに事も無げに受け流された。
「くっ……」
たたらを踏んで崩れた体勢を立て直すダルバ。普段から落ち着いている彼女にしては珍しく、焦燥の色が浮かんでいる。一方的にあしらわれ、何か焦って攻撃しているようにすら見えた。
「ヤバイわねぇ──」
私は拳を握りしめ、隣のモニカに話しかけた。
「え?」
「完全に遊ばれてるわよ、ダルバ──」
リング上では必死にダルバが飛びかかっては打ちかかっているところだった。
「何でエルは反撃しないのかしら」
逃げているようにも見えるエルの動きにモニカも首をかしげる。
体勢を崩して、つっかかりながら汗だくになっているのはダルバだけ。
エルは殆んど動かず、汗一つかく様子もなく、子どもをかわすように無言でかかってくるダルバをあしらい続けていた。
「実力が違い過ぎるのよ──」
私は唸り声をあげた。
「何者なの? エルって……」
エルの動きからダルバに勝ち目がないことをモニカも悟り、私の隣で呆然と呟く。
ガキッと鈍い音がした瞬間、ダルバのレイピアは半ばから折れ、切っ先は闘技場の空高く貴賓席の方まで飛んでいった。
それに怯んだダルバが僅かに足を滑らしてバランスを崩した瞬間、エルの姿がふっと消えた、ように見えた。
観客が気がついた時にはダルバの半分に折れたレイピアはその手から撥ね飛ばされ、足を払われたダルバはなすすべもなく、リングにひっくり返されていた。
エルはダルバの胸にそのガチャガチャした鎖がついたブーツをのせて完全に押さえ込むと、その首もとに折れたレイピアをズッ! と深緑のキャンバスに突き立ててみせた。
「ま、参った!」
ダルバが叫ぶより早く、白い審判の旗が北のゲンメ方に向かって振られていた。
「勝負あり! 勝者、ゲンメのエル」
わぁぁぁぁ! と怒号のような歓声があがった。
「うわっ! 強いぞ──!」
「なんだ、なんだ? 何が起こったんだ!」
「すげえ、あのエルって奴! 武器も何にも持たないうちにあっという間に勝っちゃったぞ!」
観客たちもあっけなく幕切れとなった勝負に呑まれて呆然と棒立ちになっていた。
いつものように絶叫のような歓声をあげるのではなく、ヒソヒソとした波のようなざわめきが広がっていく。
「カルゾメイドが負けた──」
「何者だ? あの仮面の女……」
しかし、その囁き声はいつの間にか、
「いいぞ! エル!」
「エル! エル!」
遠慮がちな歓呼の声に変わり、勝者を讃える拍手となって爆発した。
「エル! エル! 仮面を外して」
「こっち向いてくれよ!」
そんな観衆にエルはやはり仮面を外すことはなく、無言のまま喝采を浴びながらゲンメの控え室へ引きあげていく。
破れたダルバも係から上着を受けとると、それを素早く身につけ退場していった。
「ダルバ──」
「負けちゃったね」
「……うん」
試合には負けたが、私にはダルバがスッキリした表情をしているように見えた。
「あのクリスって女が言ってた『あのお方』って──」
「おそらく、エルのことだと思う。まだ、ガヴィとやってみないとわからないけど」
「マリン、気をつけてね」
「うん……」
私は四戦目に出場するべく、衣装部屋へ戻りながらも先程見たエルの動きを脳内で反芻していた。
あの、動き……。
もしかして──。
エルは私の良く知っている人物、かもしれない……。
一方、相手のエルは何も武器をとらず、手ぶらのまま落ち着き払って進み出る。
そして、そのまま互い無言でにらみあった。
遠くから、楽器の調べが風にのって聞こえてくる。
場外の広場で神殿に奉納する楽を奏でているものだろう。それが聞き分けられるほど、闘技会場もシン! と静かに張りつめた空気に満ちていた。
それまで熱狂的に野次を飛ばしていた観客たちも息をのんで無言の二人を見つめていた。
初戦からやたらと喋る闘技士が続いていたので、無言で対峙するこの二人の姿は観客たちにとって逆に新鮮に見えたにちがいない。
「はじめ!」
白旗がふられたと同時に、ダルバは被っていた白い貫頭衣を脱ぎ捨てた。
うおおおお──っ!
ようやくあらわになったダルバの姿を見て、観客席が異様に沸き立った。
「あれは──ヒモか? いや、包帯?」
ダルバのビキニアーマーは緋色の細い布状で、ぐるっと回された細い布が胸の先と股間をかろうじて隠している非常に扇情的なデザインだった。
上半身は、白い短いキモノ──東方の民族が好んで着ている短衣が前で合わせて紐で結ばれていたが、あまりに薄い素材のためほぼ透けてしまっている。
下半身は長目の緋色の袴でおおわれていたが、腰まで深く入ったスリットのため、足を少しでも動かすとほぼ、袴の中身が丸見えになってしまうというシロモノであった。
「どうよ、皆さん! 今回のアーマーのコンセプトは『どうか私を縛ってください、M巫女さんバージョン』よ。SMの女王の相手としてはピッタリでしょ!」
デバガメ──もとい、いつの間にか控え室から抜け出て、観客席の椅子の背もたれに足をのせ、高笑いをしながらパロマが嬉々としてアーマーの解説をする。
「ちなみにこのアーマーは『よいではないか、よいではないか』と言いながら布の端を掴むと『あーれー』と帯回しが楽しめる仕組みになってるのよ! 私って天才でしょ! パロマ、グッジョブ!」
おおーっ!
パロマがたかだかと天に向かって親指を立てると、場内がわぁ!っと地響きのような歓声に包まれた。
「いいぞ! パロマ!」
「やれやれ! エル!」
「裸にむいてやれ! いけ! 帯回し!」
口々に興奮した男たちの声援の嵐で会場は埋め尽くされてしまった。
「うわぁ、ダルバ可哀想──」
「あれは、出たくなかったはずよね」
私はパロマの言葉に真っ赤になって肩を震わせながらも、気丈にレイピアを構えるダルバに同情の眼差しを送った。
「だけどさ、マリン」
頬を染めてモジモジとモニカが言った。
「なによ?」
「ダルバは気の毒だけど、本当にあの格好さぁ……めっちゃエッロ!」
「……なんか襲われた事後みたいだよね」
「あたし、まだ体操着でよかったかも──」
「あぁ、比較論ってやつよ。私のスケスケメイドがアーマーも相当ヒドいからね……」
「うん──」
そんな観客席の騒動を毛ほど気にした様子もなく、白い仮面をつけたエルは騒ぎとは無縁のように静かに立っていた。
何かを振り切るように頭をふると、ダルバは細剣を振りかざし、エルに向かって突進した。
そして、真上に飛び上がると上段から鋭く打ちかかる。
渾身のダルバの攻撃を、落ち着き払ってエルは籠手の金具で受け止め、ふわりと受け流して身をかわした。
休む間もなく、ダルバは気合いを入れて連続で突き入れる。
それもギリギリのところでヒラリとエルに事も無げに受け流された。
「くっ……」
たたらを踏んで崩れた体勢を立て直すダルバ。普段から落ち着いている彼女にしては珍しく、焦燥の色が浮かんでいる。一方的にあしらわれ、何か焦って攻撃しているようにすら見えた。
「ヤバイわねぇ──」
私は拳を握りしめ、隣のモニカに話しかけた。
「え?」
「完全に遊ばれてるわよ、ダルバ──」
リング上では必死にダルバが飛びかかっては打ちかかっているところだった。
「何でエルは反撃しないのかしら」
逃げているようにも見えるエルの動きにモニカも首をかしげる。
体勢を崩して、つっかかりながら汗だくになっているのはダルバだけ。
エルは殆んど動かず、汗一つかく様子もなく、子どもをかわすように無言でかかってくるダルバをあしらい続けていた。
「実力が違い過ぎるのよ──」
私は唸り声をあげた。
「何者なの? エルって……」
エルの動きからダルバに勝ち目がないことをモニカも悟り、私の隣で呆然と呟く。
ガキッと鈍い音がした瞬間、ダルバのレイピアは半ばから折れ、切っ先は闘技場の空高く貴賓席の方まで飛んでいった。
それに怯んだダルバが僅かに足を滑らしてバランスを崩した瞬間、エルの姿がふっと消えた、ように見えた。
観客が気がついた時にはダルバの半分に折れたレイピアはその手から撥ね飛ばされ、足を払われたダルバはなすすべもなく、リングにひっくり返されていた。
エルはダルバの胸にそのガチャガチャした鎖がついたブーツをのせて完全に押さえ込むと、その首もとに折れたレイピアをズッ! と深緑のキャンバスに突き立ててみせた。
「ま、参った!」
ダルバが叫ぶより早く、白い審判の旗が北のゲンメ方に向かって振られていた。
「勝負あり! 勝者、ゲンメのエル」
わぁぁぁぁ! と怒号のような歓声があがった。
「うわっ! 強いぞ──!」
「なんだ、なんだ? 何が起こったんだ!」
「すげえ、あのエルって奴! 武器も何にも持たないうちにあっという間に勝っちゃったぞ!」
観客たちもあっけなく幕切れとなった勝負に呑まれて呆然と棒立ちになっていた。
いつものように絶叫のような歓声をあげるのではなく、ヒソヒソとした波のようなざわめきが広がっていく。
「カルゾメイドが負けた──」
「何者だ? あの仮面の女……」
しかし、その囁き声はいつの間にか、
「いいぞ! エル!」
「エル! エル!」
遠慮がちな歓呼の声に変わり、勝者を讃える拍手となって爆発した。
「エル! エル! 仮面を外して」
「こっち向いてくれよ!」
そんな観衆にエルはやはり仮面を外すことはなく、無言のまま喝采を浴びながらゲンメの控え室へ引きあげていく。
破れたダルバも係から上着を受けとると、それを素早く身につけ退場していった。
「ダルバ──」
「負けちゃったね」
「……うん」
試合には負けたが、私にはダルバがスッキリした表情をしているように見えた。
「あのクリスって女が言ってた『あのお方』って──」
「おそらく、エルのことだと思う。まだ、ガヴィとやってみないとわからないけど」
「マリン、気をつけてね」
「うん……」
私は四戦目に出場するべく、衣装部屋へ戻りながらも先程見たエルの動きを脳内で反芻していた。
あの、動き……。
もしかして──。
エルは私の良く知っている人物、かもしれない……。
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