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17章 再開の約束
28-4
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28-4
「だああぁぁ!」
クラークが力任せに剣をフルスイングする。
「クソッ!」
セカンドは腕を黒い鱗で覆ったが、衝撃で腕ごと吹き飛ばされそうになっている。明らかに、さばき切れていない!
(闇雲に魔法を使えば、奴は警戒して、黒炎を展開してくるかもしれん)
戦いの前、ペトラが語ったことだ。
ペトラいわく、セカンドが操る黒炎は、魔法すらも燃やしてしまうという。あれを出されたら最後、物理も魔法も、奴には効かない。俺たちは攻撃手段の一切を失って、一気に苦境に立たされることとなるだろう。
(だからこそ、奴の油断を誘う必要があった)
最初から全力で仕掛けては、奴も当然それに応じようとするだろう。だが、こちらが闇雲に突撃を繰り返したら?
(奴は必ず、私たちを嘲ろうとするはずだ。あいつは他者を見下すことを、何よりの愉悦としているようだからな)
そして、ペトラの読みは当たった。あいつらはペトラやクラーク、フランをいたぶり、弄ぼうとした。だが、そこが勝利への閃光だ。
(奴が絶対の自信を持つ、磁力魔法。俺たちが破れるはずがないと思っているその力こそが、最大のチャンスなんだ……!)
奴は、俺たちの罠に掛かった。最強のカードを切ったつもりだろうが、逆に俺たちは、それを待ち構えていたんだ!
「うおおぉぉぉぉぉ!」
クラークは今までの怒りをぶつけるように、怒涛の勢いで剣を叩き込む。セカンドにこれ以上力を使わせない気だ。実際セカンドは、鱗で身を守るのが精いっぱいだ。黒い鱗が何枚もはがれ、辺りに散らばっている。
キィーン!翻ったクラークの剣が、ついにセカンドの腕を弾き飛ばした。奴の胸が無防備に晒される。チャンスだ!
「クソがっ……!」
だがセカンドも食らいつく。鱗を胸に集中させ、分厚い盾を作り出す。あれだけ厚くされたら、クラークの突きでは貫けない!さっきはペトラの力も借りることで、ようやく小さな傷をつけたくらいなのに……
「……貴様は」
「あ……?」
「貴様は、僕を、舐め過ぎだっ!」
バチバチバチィ!クラークの剣に、青い電撃が迸っている。その剣を、思い切り突き出した。
「くらえぇぇえぇぇぇ!」
ガッ!鱗に突き立った剣先が、爆発したかのような光を放つ。
「ぐああぁぁぁぁ!」
バラバラと鱗をまき散らしながら、セカンドがぶっ飛んでいく!
「や、やった!今のは効いただろ!」
俺は思わず小躍りしたい気分だった。するとライラが、上げていた腕を下ろしたじゃないか。俺はびっくりしたが、ライラは満面の笑みを浮かべている。
「磁力のまほーが消えたよ!あいつ、まほーを維持できなくなったんだ!」
「へ?お、おお!そういうことか。あんだけぶっ飛ばされたんだ、当然だな!」
クラークの渾身の一撃は、さしものセカンドでも耐え切れなかったと。いい気味だ!がっくりと片膝をつきながらも、クラークも安堵の笑みを浮かべている。
「磁力を操れるということは、なにも重力に対抗するしかないわけじゃないってことだよ。剣に磁力を帯びさせて、あいつに引き付けることも可能なのさ」
「ああ、なるほど……それで急に威力が強くなったのか」
「それに、剣が鱗を貫いた瞬間に、ありったけの電撃をもぶっ放してやったんだ。いくら硬い盾を持っていても、黒焦げになる威力だよ」
「うわ、それは痛そうだ」
「ふん。この程度、あの男には手ぬるいくらいだ」
確かにそうかもな。腐っても、セカンドは勇者。それも伝説の勇者だ。これくらいでくたばったとも思えない。それに、死なれても困るのだ。まだロアとコルトの呪いが解けていない。焦げている奴をふんじばってから、呪いの解き方を吐かせねえと。
俺が奴へと近づこうとした、その時……
「っ!!!気を付けろ!」
え?俺は踏み出そうとしたまま硬直して、目だけを声の主、ペトラへと向けた。そのペトラは、まっすぐ一点を見つめている。
「なんだ、あれは……?」
あれ?ペトラの視線の先には、大きな黒い塊が転がっている。なんだ、あれ?あんなもの、さっきまでそこになかったぞ。それに、妙だ。その黒い塊、よく見ると節のついた足や、ゴツゴツした腕が見える。何かの生き物の……死骸か?
「どうしてあんなものが、急に……」
「……嫌な予感がする。おい、誰でもいい!あれを破壊しろ!」
「え、え?死骸をか?」
「そうだ!急げ!」
よ、よく分からないが、とにかくペトラに従おう。俺は焦って仲間たちに振り返る。だが……すでに、時は遅かった。
「イーター・ケルベロス!」
ズ、ズズズズ。
な、なんだ……?死骸がどす黒くなっていく。すると、死骸がびくりと動いて、苦しそうに呻いたじゃないか。びっくりした、死んでなんていないぞ。だけど、どうして急に……?
「ふぅー……やれやれ。まさか、コイツまで使う羽目になるとはな」
え!?俺たちは、張り詰めたように硬直した。いち早く立ち直ったのは、クラークだ。
「な……なぜだ!僕の一撃を喰らって、どうして立てる!」
クラークが驚愕の表情で叫ぶと、ペトラが苦々し気にこぼす。
「イーター・ケルベロス……他者の生命力を吸い取り、自らの命とする、闇の魔法だ」
「命を、吸い取る……?」
なら、まさか……まさか!
俺は震えながら、そいつの方を向く。奴の体は、すっかり元通りになっていた。傷の一つも見当たらない。首をゴキゴキと曲げてから、奴は憎悪の籠った目で俺たちを睨む。
「あー。やってくれたな、カスどもが」
ボウッ。
復活したセカンドの周りを、黒い炎が舞った。
つづく
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読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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「だああぁぁ!」
クラークが力任せに剣をフルスイングする。
「クソッ!」
セカンドは腕を黒い鱗で覆ったが、衝撃で腕ごと吹き飛ばされそうになっている。明らかに、さばき切れていない!
(闇雲に魔法を使えば、奴は警戒して、黒炎を展開してくるかもしれん)
戦いの前、ペトラが語ったことだ。
ペトラいわく、セカンドが操る黒炎は、魔法すらも燃やしてしまうという。あれを出されたら最後、物理も魔法も、奴には効かない。俺たちは攻撃手段の一切を失って、一気に苦境に立たされることとなるだろう。
(だからこそ、奴の油断を誘う必要があった)
最初から全力で仕掛けては、奴も当然それに応じようとするだろう。だが、こちらが闇雲に突撃を繰り返したら?
(奴は必ず、私たちを嘲ろうとするはずだ。あいつは他者を見下すことを、何よりの愉悦としているようだからな)
そして、ペトラの読みは当たった。あいつらはペトラやクラーク、フランをいたぶり、弄ぼうとした。だが、そこが勝利への閃光だ。
(奴が絶対の自信を持つ、磁力魔法。俺たちが破れるはずがないと思っているその力こそが、最大のチャンスなんだ……!)
奴は、俺たちの罠に掛かった。最強のカードを切ったつもりだろうが、逆に俺たちは、それを待ち構えていたんだ!
「うおおぉぉぉぉぉ!」
クラークは今までの怒りをぶつけるように、怒涛の勢いで剣を叩き込む。セカンドにこれ以上力を使わせない気だ。実際セカンドは、鱗で身を守るのが精いっぱいだ。黒い鱗が何枚もはがれ、辺りに散らばっている。
キィーン!翻ったクラークの剣が、ついにセカンドの腕を弾き飛ばした。奴の胸が無防備に晒される。チャンスだ!
「クソがっ……!」
だがセカンドも食らいつく。鱗を胸に集中させ、分厚い盾を作り出す。あれだけ厚くされたら、クラークの突きでは貫けない!さっきはペトラの力も借りることで、ようやく小さな傷をつけたくらいなのに……
「……貴様は」
「あ……?」
「貴様は、僕を、舐め過ぎだっ!」
バチバチバチィ!クラークの剣に、青い電撃が迸っている。その剣を、思い切り突き出した。
「くらえぇぇえぇぇぇ!」
ガッ!鱗に突き立った剣先が、爆発したかのような光を放つ。
「ぐああぁぁぁぁ!」
バラバラと鱗をまき散らしながら、セカンドがぶっ飛んでいく!
「や、やった!今のは効いただろ!」
俺は思わず小躍りしたい気分だった。するとライラが、上げていた腕を下ろしたじゃないか。俺はびっくりしたが、ライラは満面の笑みを浮かべている。
「磁力のまほーが消えたよ!あいつ、まほーを維持できなくなったんだ!」
「へ?お、おお!そういうことか。あんだけぶっ飛ばされたんだ、当然だな!」
クラークの渾身の一撃は、さしものセカンドでも耐え切れなかったと。いい気味だ!がっくりと片膝をつきながらも、クラークも安堵の笑みを浮かべている。
「磁力を操れるということは、なにも重力に対抗するしかないわけじゃないってことだよ。剣に磁力を帯びさせて、あいつに引き付けることも可能なのさ」
「ああ、なるほど……それで急に威力が強くなったのか」
「それに、剣が鱗を貫いた瞬間に、ありったけの電撃をもぶっ放してやったんだ。いくら硬い盾を持っていても、黒焦げになる威力だよ」
「うわ、それは痛そうだ」
「ふん。この程度、あの男には手ぬるいくらいだ」
確かにそうかもな。腐っても、セカンドは勇者。それも伝説の勇者だ。これくらいでくたばったとも思えない。それに、死なれても困るのだ。まだロアとコルトの呪いが解けていない。焦げている奴をふんじばってから、呪いの解き方を吐かせねえと。
俺が奴へと近づこうとした、その時……
「っ!!!気を付けろ!」
え?俺は踏み出そうとしたまま硬直して、目だけを声の主、ペトラへと向けた。そのペトラは、まっすぐ一点を見つめている。
「なんだ、あれは……?」
あれ?ペトラの視線の先には、大きな黒い塊が転がっている。なんだ、あれ?あんなもの、さっきまでそこになかったぞ。それに、妙だ。その黒い塊、よく見ると節のついた足や、ゴツゴツした腕が見える。何かの生き物の……死骸か?
「どうしてあんなものが、急に……」
「……嫌な予感がする。おい、誰でもいい!あれを破壊しろ!」
「え、え?死骸をか?」
「そうだ!急げ!」
よ、よく分からないが、とにかくペトラに従おう。俺は焦って仲間たちに振り返る。だが……すでに、時は遅かった。
「イーター・ケルベロス!」
ズ、ズズズズ。
な、なんだ……?死骸がどす黒くなっていく。すると、死骸がびくりと動いて、苦しそうに呻いたじゃないか。びっくりした、死んでなんていないぞ。だけど、どうして急に……?
「ふぅー……やれやれ。まさか、コイツまで使う羽目になるとはな」
え!?俺たちは、張り詰めたように硬直した。いち早く立ち直ったのは、クラークだ。
「な……なぜだ!僕の一撃を喰らって、どうして立てる!」
クラークが驚愕の表情で叫ぶと、ペトラが苦々し気にこぼす。
「イーター・ケルベロス……他者の生命力を吸い取り、自らの命とする、闇の魔法だ」
「命を、吸い取る……?」
なら、まさか……まさか!
俺は震えながら、そいつの方を向く。奴の体は、すっかり元通りになっていた。傷の一つも見当たらない。首をゴキゴキと曲げてから、奴は憎悪の籠った目で俺たちを睨む。
「あー。やってくれたな、カスどもが」
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