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17章 再開の約束
29-1 黒炎
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29-1 黒炎
「……ん、なんだぁ?前に見た時とは、姿がちげーな」
セカンドはこちらをじろじろとねめ回す。
「無遠慮な奴だ……しかしまあ、目くじらを立てている場合でもないな。ウィル、行けそうか?」
(ええ!感度良好、いつでも行けます!)
ウィルの声が、耳元で響く。魂となって一体化したウィルの声は、私以外には聞こえない。そして今、私は黒衣を纏った修道士の姿になっている。魂の融合……ソウル・レゾナンスの力だ。
「ペトラ」
私は滑るように宙へ浮かぶと、ペトラを見下ろす。
「私があの炎に風穴を空ける。合わせてくれるか」
「よし」
突然私の姿が変わったにも関わらず、ペトラは少しも驚いた様子を見せない。逆にこちらの方が驚いてしまいそうだ。しかし以前も、彼女は見た目で人を判断することは愚かなことだと言っていた。本質を見抜く彼女の慧眼を前にしては、私の変身など取るに足らない、と言う事か。
「ふふ……いいじゃないか。では、始めるとしよう!」
ローブの裾をはためかせると、五本のロッドが宙を舞った。魔力を集中すると、ロッドに青白い火が灯る。それと同時に、ペトラも走り出しだ。
「無駄無駄ァ!オレの炎は破れねぇよ!」
セカンドが薙ぎ払うように腕を振る。黒煙が目の前の地面を砕いて噴き出し、ペトラの行く手を壁のように覆い尽くした。
(今です!)
「カルマート:フォルテ!」
展開した五本のロッドが高速振動する。フィイィィィィン!
パーン!炎の壁が弾け飛び、大穴が空いた。セカンドが驚愕する。
「なにっ!?」
「いいぞ、桜下!」
ペトラは迷わずに、私が空けた穴に飛び込んだ。
ウィルと融合したこの姿なら、魔法を無効化する必殺技、カルマート:フォルテが使用できる。あの黒炎は魔法をも燃やすが、あの炎自体も魔法であることに変わりはない。
(行けますよ、桜下さん!)
「このままペトラを援護するぞ!」
五本のロッドに意識を集中。カルマート:フォルテの効力は、一瞬だ。あの黒炎を永遠に消すことはできない。タイミングを見極め、ここぞという時に発動させる必要がある。
「ふんっ!」
ペトラが拳を突き出す。セカンドは自身を覆うように黒炎を展開するが、
「そうはさせるか!」
パァーン!再び炎が弾け飛んだ。無防備なセカンドに、ペトラの拳がクリーンヒットする。ドゴッ!
(やった!)
「いや、浅い!」
(え!?)
確かにペトラの一撃は、クリーンヒットした。だがセカンドは、黒い鱗で拳を防いでいた。そしてお返しとばかりに、炎が鞭のようにペトラへ襲い掛かる。たまらずペトラは後ろに跳び退った。
(くあぁ、やったと思ったのに!あの鱗の盾が!)
「だがウィル。一つ、重要なことが分かったぞ」
(え?)
「あの黒炎と磁力魔法は、同時には使えないということだ」
さっきからセカンドは、磁力の魔法を使用していない。強力な引力を生み出すあれまで出されたら、私たちの技をもってしても止めようがない。それをしてこないということはすなわち、したくてもできないということだ。
「重力の全体攻撃が使えず、あの炎をペトラが引き付けていてくれるなら、他が活きてくるというものだ」
(他……?)
「他、呼ばわりとは、言ってくれるじゃないか」
ずざっと、私の下にクラークが立ち並んだ。
(クラークさん!さっきあんなに無茶したばかりなのに……)
彼の顔を見るに、まだ相当きつそうだ。だがそれでも、二本の足でしっかり立っている。
「もう休憩はいいのか、クラーク?後ろで見学していてもいいのだが」
「姿は変わっても、相変わらず君は憎たらしいね……そうしたいのはやまやまだけど、あいにくそうもいかない。幸い、少しは回復できたしね」
クラークの背後には、疲労困憊したミカエルの姿が見えた。彼女はとっくに限界だったはずだが、それでも今までクラークを治療していたようだ。
「僕にできることは、全部やるさ。生きて帰るためにね」
「……なるほど。では、力を貸せ。お前の雷が必要だ」
「言われるまでも!」
クラークの魔法剣が、バチバチと火花を散らし始めた。今セカンドは、ペトラに意識を持っていかれている。好機だ。
「クラーク!遠慮はいらない!思いっきりぶちかませ!」
私の掛け声に合わせて、クラークは白く輝く剣を掲げた。
「行くぞぉ!レイ・ライトニング!」
バリバリバリ!電撃の槍が剣の先端に形作られると、落雷が如く飛び出した。閃光を伴いながら、セカンドへと飛んで行く。
「ッ。ガキどもが、邪魔すんな!」
だが当然、奴も黒炎で守りを固めてきた。
「その盾、砕かせてもらうぞ!」
クラークの一撃、無駄にさせはしない!
「カルマート:フォルテ!」
パーン!炎の盾が弾け飛ぶ。セカンドの目が見開かれた。
(これなら、逃げられません!今度こそ!)
「貫け!」
電撃が直撃し、真っ白な閃光が走った。ズガガガーン!
つづく
====================
読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。
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セカンドはこちらをじろじろとねめ回す。
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(ええ!感度良好、いつでも行けます!)
ウィルの声が、耳元で響く。魂となって一体化したウィルの声は、私以外には聞こえない。そして今、私は黒衣を纏った修道士の姿になっている。魂の融合……ソウル・レゾナンスの力だ。
「ペトラ」
私は滑るように宙へ浮かぶと、ペトラを見下ろす。
「私があの炎に風穴を空ける。合わせてくれるか」
「よし」
突然私の姿が変わったにも関わらず、ペトラは少しも驚いた様子を見せない。逆にこちらの方が驚いてしまいそうだ。しかし以前も、彼女は見た目で人を判断することは愚かなことだと言っていた。本質を見抜く彼女の慧眼を前にしては、私の変身など取るに足らない、と言う事か。
「ふふ……いいじゃないか。では、始めるとしよう!」
ローブの裾をはためかせると、五本のロッドが宙を舞った。魔力を集中すると、ロッドに青白い火が灯る。それと同時に、ペトラも走り出しだ。
「無駄無駄ァ!オレの炎は破れねぇよ!」
セカンドが薙ぎ払うように腕を振る。黒煙が目の前の地面を砕いて噴き出し、ペトラの行く手を壁のように覆い尽くした。
(今です!)
「カルマート:フォルテ!」
展開した五本のロッドが高速振動する。フィイィィィィン!
パーン!炎の壁が弾け飛び、大穴が空いた。セカンドが驚愕する。
「なにっ!?」
「いいぞ、桜下!」
ペトラは迷わずに、私が空けた穴に飛び込んだ。
ウィルと融合したこの姿なら、魔法を無効化する必殺技、カルマート:フォルテが使用できる。あの黒炎は魔法をも燃やすが、あの炎自体も魔法であることに変わりはない。
(行けますよ、桜下さん!)
「このままペトラを援護するぞ!」
五本のロッドに意識を集中。カルマート:フォルテの効力は、一瞬だ。あの黒炎を永遠に消すことはできない。タイミングを見極め、ここぞという時に発動させる必要がある。
「ふんっ!」
ペトラが拳を突き出す。セカンドは自身を覆うように黒炎を展開するが、
「そうはさせるか!」
パァーン!再び炎が弾け飛んだ。無防備なセカンドに、ペトラの拳がクリーンヒットする。ドゴッ!
(やった!)
「いや、浅い!」
(え!?)
確かにペトラの一撃は、クリーンヒットした。だがセカンドは、黒い鱗で拳を防いでいた。そしてお返しとばかりに、炎が鞭のようにペトラへ襲い掛かる。たまらずペトラは後ろに跳び退った。
(くあぁ、やったと思ったのに!あの鱗の盾が!)
「だがウィル。一つ、重要なことが分かったぞ」
(え?)
「あの黒炎と磁力魔法は、同時には使えないということだ」
さっきからセカンドは、磁力の魔法を使用していない。強力な引力を生み出すあれまで出されたら、私たちの技をもってしても止めようがない。それをしてこないということはすなわち、したくてもできないということだ。
「重力の全体攻撃が使えず、あの炎をペトラが引き付けていてくれるなら、他が活きてくるというものだ」
(他……?)
「他、呼ばわりとは、言ってくれるじゃないか」
ずざっと、私の下にクラークが立ち並んだ。
(クラークさん!さっきあんなに無茶したばかりなのに……)
彼の顔を見るに、まだ相当きつそうだ。だがそれでも、二本の足でしっかり立っている。
「もう休憩はいいのか、クラーク?後ろで見学していてもいいのだが」
「姿は変わっても、相変わらず君は憎たらしいね……そうしたいのはやまやまだけど、あいにくそうもいかない。幸い、少しは回復できたしね」
クラークの背後には、疲労困憊したミカエルの姿が見えた。彼女はとっくに限界だったはずだが、それでも今までクラークを治療していたようだ。
「僕にできることは、全部やるさ。生きて帰るためにね」
「……なるほど。では、力を貸せ。お前の雷が必要だ」
「言われるまでも!」
クラークの魔法剣が、バチバチと火花を散らし始めた。今セカンドは、ペトラに意識を持っていかれている。好機だ。
「クラーク!遠慮はいらない!思いっきりぶちかませ!」
私の掛け声に合わせて、クラークは白く輝く剣を掲げた。
「行くぞぉ!レイ・ライトニング!」
バリバリバリ!電撃の槍が剣の先端に形作られると、落雷が如く飛び出した。閃光を伴いながら、セカンドへと飛んで行く。
「ッ。ガキどもが、邪魔すんな!」
だが当然、奴も黒炎で守りを固めてきた。
「その盾、砕かせてもらうぞ!」
クラークの一撃、無駄にさせはしない!
「カルマート:フォルテ!」
パーン!炎の盾が弾け飛ぶ。セカンドの目が見開かれた。
(これなら、逃げられません!今度こそ!)
「貫け!」
電撃が直撃し、真っ白な閃光が走った。ズガガガーン!
つづく
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