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大使館1年目・秋(6部分)
大森林を歩く・秋
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秋の大森林は無料の市場だ。
生き物たちは冬眠に向けて蓄え、木の実や果実はたわわに実り、キノコや山菜も採り放題!これを市場と呼ばずに何と呼べばいいのか聞いてみたいくらいだ。
「だとしても取りすぎじゃないんですか?」
ソルヴィ森林保護官が呆れ半分にそう聞いてきた。
「保存食にすればいいかと思って」
「それはそうですが、1カ所から大量に収穫することは立場上あまり推奨できませんので……」
「みんなこの森の恵みを得て暮らしてるんだっけ」
国の周囲を山林に覆われたこの国で、大森林は国民を養う巨大な食糧庫の役割を担っている。
だからこそこの森の恵みが永続的に国民に配分されるよう監督するのは彼の仕事だ。
「1日ぐらい仕事休めれば人の少ないエリアで狩猟採集出来るんだけどねえ」
そう呟きながらいただいた森の恵みを箱詰めして背負子に乗せていく。
「今度北東の木こりさんが多いエリアに行ってみようかな」
***
で、沢山手に入った森の恵みである。
ソルヴィ森林保護管監修のもと、とりあえず確実に食べられるものだけを選んで取ってきたがそれでも結構な量になる。
「でもこの国で出来る保存法って限られてるんだよねえ」
現代日本であれば冷凍・冷蔵・レトルトパウチという方法があるが、こちらで再現するのは難しい。
「まずは定番の燻製かな?」
今回は日本から持ち込んだ金属製の家庭用燻製器と、こちらで手に入ったブナの木を細かくしたものを使う。
こちらにも燻製という調理技術はあるので種類にこだわらなければ燻煙用チップが容易に入手可能で、秋冬になるとみんなこぞって燻製用の木材を入手しに行くという。
燻製器の中で煙を起こしたらお肉を入れて後は待つだけだ。
「それと、定番の塩漬け~」
荒く砕いた岩塩をミルに入れてひたすらゴリゴリして粉末状にする。
いつも使ってる業務用電動ミル×2(太陽光パネルと繋いでる)だけでは追いつかないので手動ミルも併用しているけど、肉や野菜を全部塩漬けしようと思うとさすがにこれだけだと塩の量が心もとない。
「肉だけでも節約しよ」
粉末状の岩塩を摺りこんだだけのものとは別に、粗塩とハーブで作るパンチェッタや塩と砂糖(砂糖はこっちだと全然手に入らないので日本から持ち込んだ)で作る調味液で作るスウェーデン風塩漬け肉も作った。
さらに野菜や山菜も樽に塩と唐辛子(輸入品だから高い)を入れてお漬物にする。
「あっ、砂糖漬けも作らなきゃねぇ」
果実類には日本から持ち込んだ砂糖をまぶし消毒した瓶に詰め込んでおく。
蜂蜜もこちらにあるらしいけど今回は見つけられなかったしその気になれば日本から持ち込めるから省略。
「あとは乾燥野菜や干し肉にしてー‥‥…も一冬分はないよねえ?」
なんせ大使館の食事はほぼ毎日作らないといけない。ここにある分だけどう考えても足りないし、まだまだ保存食が必要だ。
「頑張ろ」
風が冷たくなってきたし、冬も近い。
それまでには保存食を完成させたいところである。
生き物たちは冬眠に向けて蓄え、木の実や果実はたわわに実り、キノコや山菜も採り放題!これを市場と呼ばずに何と呼べばいいのか聞いてみたいくらいだ。
「だとしても取りすぎじゃないんですか?」
ソルヴィ森林保護官が呆れ半分にそう聞いてきた。
「保存食にすればいいかと思って」
「それはそうですが、1カ所から大量に収穫することは立場上あまり推奨できませんので……」
「みんなこの森の恵みを得て暮らしてるんだっけ」
国の周囲を山林に覆われたこの国で、大森林は国民を養う巨大な食糧庫の役割を担っている。
だからこそこの森の恵みが永続的に国民に配分されるよう監督するのは彼の仕事だ。
「1日ぐらい仕事休めれば人の少ないエリアで狩猟採集出来るんだけどねえ」
そう呟きながらいただいた森の恵みを箱詰めして背負子に乗せていく。
「今度北東の木こりさんが多いエリアに行ってみようかな」
***
で、沢山手に入った森の恵みである。
ソルヴィ森林保護管監修のもと、とりあえず確実に食べられるものだけを選んで取ってきたがそれでも結構な量になる。
「でもこの国で出来る保存法って限られてるんだよねえ」
現代日本であれば冷凍・冷蔵・レトルトパウチという方法があるが、こちらで再現するのは難しい。
「まずは定番の燻製かな?」
今回は日本から持ち込んだ金属製の家庭用燻製器と、こちらで手に入ったブナの木を細かくしたものを使う。
こちらにも燻製という調理技術はあるので種類にこだわらなければ燻煙用チップが容易に入手可能で、秋冬になるとみんなこぞって燻製用の木材を入手しに行くという。
燻製器の中で煙を起こしたらお肉を入れて後は待つだけだ。
「それと、定番の塩漬け~」
荒く砕いた岩塩をミルに入れてひたすらゴリゴリして粉末状にする。
いつも使ってる業務用電動ミル×2(太陽光パネルと繋いでる)だけでは追いつかないので手動ミルも併用しているけど、肉や野菜を全部塩漬けしようと思うとさすがにこれだけだと塩の量が心もとない。
「肉だけでも節約しよ」
粉末状の岩塩を摺りこんだだけのものとは別に、粗塩とハーブで作るパンチェッタや塩と砂糖(砂糖はこっちだと全然手に入らないので日本から持ち込んだ)で作る調味液で作るスウェーデン風塩漬け肉も作った。
さらに野菜や山菜も樽に塩と唐辛子(輸入品だから高い)を入れてお漬物にする。
「あっ、砂糖漬けも作らなきゃねぇ」
果実類には日本から持ち込んだ砂糖をまぶし消毒した瓶に詰め込んでおく。
蜂蜜もこちらにあるらしいけど今回は見つけられなかったしその気になれば日本から持ち込めるから省略。
「あとは乾燥野菜や干し肉にしてー‥‥…も一冬分はないよねえ?」
なんせ大使館の食事はほぼ毎日作らないといけない。ここにある分だけどう考えても足りないし、まだまだ保存食が必要だ。
「頑張ろ」
風が冷たくなってきたし、冬も近い。
それまでには保存食を完成させたいところである。
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