異世界大使館雑録

あかべこ

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大使館2年目・夏(10~11部分)

夏の終わり、秋の手前

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「8月31日って聞くと、いまだに夏が終わる!って気持ちになりますよね」
嘉神と溶解処理に出す書類を詰め込みながらそんな話が出てきた。
「東京だと気候的にはまだまだ夏だろう」
「それもそうなんですけどねえ」
「失礼しまーす、溶解処理用の書類の箱足りないんで箱もう一つ貰えますー?」
納村が挨拶と同時にはいってきた。
今回人が増えるにあたり執務室の交換を行うことになったのだが、その際納村の部屋が書類で埋まりかけてることが分かったので大使館メンバー全員に書類の仕分けを命じていた。
「いくついる?」
「とりあえず2つ貰いますね、あと保険の書類とかも一緒に突っ込んどいていいですか?」
「見られたくない奴全部入れといていいぞ」
俺の方も破棄し忘れてた西の国からの侵攻時に書いたメモ書きなどを紛れ込ませてるのでお互い様だ。メモ書きの内容?ご想像にお任せします。
使わなくなった書類系はシュレッダーで破砕してから焚き付けなどに使ってもらってるが、大使館でよく使う金羊国産の紙は和紙に近い材質のせいか手動式シュレッダーだと上手く破砕できない事や手動式シュレッダーで紙を破砕する面倒臭さや業務の多忙さなどからつい溜め込みがちになる。
「夏休みの話に戻していいですか?」
「8月31日の話だろ?」
「うちの方は25とか27まででしたよ」
「納村のところは少し短めなんだな」
「その分冬休みが長めでしたね、豪雪地帯なんで冬は雪で通学出来なくなるんで」
「失礼します、溶解処理の箱ってどこに集めるんですか?」
ひょっこりと現れたのは柊木医師である。
「1階の台車に積んでおいてください、明日高槻さんに持っていってもらうので」
「柊木先生のとこは夏休みいつまででした?」
突然そんな話をふってきたのは納村である。
「うちは転勤族家庭でしたからその時住んでる場所によりますよ、北海道にいた時は20日まででしたし」
「北海道は夏休み短いとは聞きますけど本当に短いんですね」
「その分向こうは冬休み長いですから。でも防医にいた時は夏休みなんて3週間くらいしか無くて部活からも逃げられないでづからねえ、普通の大学に行った知り合いが夏休み2ヶ月楽しんでたのを聞いた時は本気で進学先間違えたなって思いましたよ……」
やさぐれた目でそう呟いていたのを見るとこちらはもう何も言えなくなる。
うん、それもまた夏の思い出なんだろう……。
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