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大使館3年目・春(15部分)
獣人信仰と獣人たち
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「ファンナル、入って大丈夫?」
「拒む理由はない」
入室の許可を得てファンナルの家に入ると、珍しく何かを悩んでいるようだった。
隣に腰を下ろしつつ「何悩んでんの?」と聞いてみる。
「いや、今度のハルトル宰相の訪日の際にどう断ろうかと思って……」
今度の訪日と言うのはこの秋に予定されている北の国の王家訪日に合わせてハルトル宰相の訪日が行われることになり、それに合わせてある国がファンナル訪日の要望を出したのである。
「エジプトの大統領が会いたいってラブコール出してたんだっけ」
「ああ。ハルトル宰相不在を狙って西の国に動かれた場合が怖いからと素直に書いていいのかと思って」
「素直に書いちゃっていいと思うけどねえ」
そもそもエジプト側が会いたがってる理由と言うのも割としょうもない。
ファンナルは顔が鷹なのだが、ハルトル宰相訪日時に同行していたファンナル隊長の姿がエジプト神話のホルスのようだと話題になったのだ。
以降エジプトでは妙にファンナルは人気になっていて、折に触れてコンタクトしたがるのである。
「やはりここは素直に書くしかないか……」
「あとそういえば、黄金の羊の女神がギリシャ神話由来って言う説が出てるらしいね」
最近友人から聞いた話を思い出して切り出すとファンナルは不思議そうに「ギリシャは確かそっちの世界の国だろう?」と聞いてくる。
「そうなんだけどね。ギリシャ神話に翼を持つ金色の羊の毛皮っていうのが出てくるんで、これはどういう合致なんだって神話の研究者が色々調べたがってるらしいよ」
「黄金の羊の女神さまに翼はないんだがな?」
「みんないろいろこじつけたいのかもね」
実際地球上の神話にはいくつか獣人の神様がおり、神話の成り立ちに異世界人が関わってるのでは?と唱える人が出て来たんだそうである。
そんな話をしているとファンナルは本来の手紙のことを思い出してハッとした顔でペンを取った。
「手紙の返事を書くんだった」
「ごめんごめん、私のことは気にせず書いてていいよ」
真面目な顔をして返信を書きはじめたファンナルを眺めてみると、確かにちょっと神様っぽい気もする。
(……古代人と異世界人の出会いか。まあ夢想する分には面白いよねぇ)
そんなことを考えながら手紙を書く横顔を眺めて過ごすのだった。
「拒む理由はない」
入室の許可を得てファンナルの家に入ると、珍しく何かを悩んでいるようだった。
隣に腰を下ろしつつ「何悩んでんの?」と聞いてみる。
「いや、今度のハルトル宰相の訪日の際にどう断ろうかと思って……」
今度の訪日と言うのはこの秋に予定されている北の国の王家訪日に合わせてハルトル宰相の訪日が行われることになり、それに合わせてある国がファンナル訪日の要望を出したのである。
「エジプトの大統領が会いたいってラブコール出してたんだっけ」
「ああ。ハルトル宰相不在を狙って西の国に動かれた場合が怖いからと素直に書いていいのかと思って」
「素直に書いちゃっていいと思うけどねえ」
そもそもエジプト側が会いたがってる理由と言うのも割としょうもない。
ファンナルは顔が鷹なのだが、ハルトル宰相訪日時に同行していたファンナル隊長の姿がエジプト神話のホルスのようだと話題になったのだ。
以降エジプトでは妙にファンナルは人気になっていて、折に触れてコンタクトしたがるのである。
「やはりここは素直に書くしかないか……」
「あとそういえば、黄金の羊の女神がギリシャ神話由来って言う説が出てるらしいね」
最近友人から聞いた話を思い出して切り出すとファンナルは不思議そうに「ギリシャは確かそっちの世界の国だろう?」と聞いてくる。
「そうなんだけどね。ギリシャ神話に翼を持つ金色の羊の毛皮っていうのが出てくるんで、これはどういう合致なんだって神話の研究者が色々調べたがってるらしいよ」
「黄金の羊の女神さまに翼はないんだがな?」
「みんないろいろこじつけたいのかもね」
実際地球上の神話にはいくつか獣人の神様がおり、神話の成り立ちに異世界人が関わってるのでは?と唱える人が出て来たんだそうである。
そんな話をしているとファンナルは本来の手紙のことを思い出してハッとした顔でペンを取った。
「手紙の返事を書くんだった」
「ごめんごめん、私のことは気にせず書いてていいよ」
真面目な顔をして返信を書きはじめたファンナルを眺めてみると、確かにちょっと神様っぽい気もする。
(……古代人と異世界人の出会いか。まあ夢想する分には面白いよねぇ)
そんなことを考えながら手紙を書く横顔を眺めて過ごすのだった。
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