ユニークスキル「ダンジョンデザイナー」で町おこし?!

あかべこ

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20××年・夏、地球は突如変貌を遂げた。
目が覚めるとスキルとかいう新しい概念が全生物に付与され、玄関を開ければ緑色の肌をした二足歩行の化け物が闊歩し、シールドと叫べば目前に透明な壁が立ちはだかって襲い来る狼から身を守ってくれる。
まるで漫画かアニメのようになった新しい日常に人々は大いなる当惑とほんの少しの期待を抱きながら新しい日常に適応しようとしていた。
……が、そんな日常においても変わらないものはいくらでもあった。
「新しい街おこし企画はまだ出せんのか」
闊歩する化け物を車で弾き飛ばしながら通勤してきた私へ上司が厳しい一言を放つ。
「世間はそれどころではないのでは?」
「この新しい日常を逆手に取る方法を考えろという意味だよ、結城カンナくん。じゃあ私は市長の手伝いに行くのでよろしくな」
なら最初からむこう行ってくれ。
内心で文句を言いながら私はじっと自分の手を見つめながら「スキルカード」とつぶやく。
スキルカードは自分に与えられたスキルを確認する魔法で、5歳以上であれば全人類が使用可能な唯一の魔法である。
そしてスキルカードに刻まれた唯一のスキルに今日も目を凝らす。

ダンジョンデザイナー:自らの魔力を用いて任意の場所をダンジョン化できる。大きさ・危険度は魔力量に応じて変更可能。

この奇妙なスキルを町おこしに生かす。
ずっと脳裏で考えていたこの案件を上司に報告すべきか、まだ決めあぐねていた。
(そもそもダンジョンを作ったところで観光客が増えるかも微妙だしな)
新しい日常にいち早く適応した人々からダンジョンでの冒険を望む声は多く聞かれていたが、民間への開放は未だなされていない。
そんな状況下で自分のスキルを使った町おこしの手法にひどく悩んでいた。
スキルで作った人工ダンジョンの安全性をどう担保するか、人工ダンジョンに民間人を入れる許可を取れるのか、人工ダンジョンの管理・運営はどこになるのか、考えることは多すぎた。
そんな時、突然ポケットに入れていた携帯電話が鳴り響いた。
「はい、結城ですが」
『防衛省スキル研究局の水戸です、結城さんのスキル報告書拝読しました』
国は新しい日常に置いて誕生したスキルを軍事的要素が大きいと判断し、防衛省の専門部署に報告するように推奨した。
私のような公務員は全員半強制的にスキル報告書を書かされていた。
「スキル報告書に不備が?」
『違います、そのスキルお借りできませんか?』
「……は?」


これは、ユニークスキルで町おこしを目指す女と振り回される大人たちの物語である。
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