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Lesson 20 嘘とキスの境界線
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カイト編ー
秋から冬へ。街は光に彩られ、店はクリスマス一色に染まっていた。
イブ前日、俺はサナの部屋で抱き合ってた。
けれど、指先がなぞった腹筋の硬さ、肩のライン――そこに重なったのは、忘れられない記憶だった。
胸の奥が痛む。
違う人に抱かれているのに、あの夜と同じ余韻が身体に蘇る。
その幻を振り払うように、カイトの首に腕を絡めて囁いた。
「……カイト…………」
でもその言葉さえ、自分をごまかすためのもののように響いた。
その視線の奥には“みのる”の影があるのを、俺は気づいていた。
その温もりを感じながらも、俺は知っていた。
(……こいつ、俺を見てない。まだあいつを追ってる)
けどーー
「サナ、俺は……おまえが好きだ」
サナの目が揺れる。
「え……?」
「おまえが目を赤くして、俺を探して店に来たときの顔――忘れられないだよ」
いつもの天真爛漫な笑みじゃない。
低く、男の声で。
サナはその瞬間、息を呑み、次には笑顔で縋りついてきた。体温が混ざり合う。
(俺は“代わり”でもいい。
でも最後には、俺を本気で見させてやる)
カイトのキスは深く、サナはもう抗えなかった
ベッドの傍ら、テーブルに伏せられたカイトのスマホが震えた。
《なんで連絡ないの?どうした?》
リュウからのLINE。
俺は画面を見ずに、サナの腰を強く引き寄せた。
(ごめん。リュウ……今だけは仮面も外して、俺は男でいたいんだ)
ふたりは、雪の降る夜に溺れていった。
ー出勤前の街はクリスマス一色。
頭上のイルミネーションがチカチカ光り、カップルたちが幸せそうに肩を寄せ合っていた。
「寒っ……」と肩をすくめながら歩いていた俺の視界に、ふと見慣れたシルエットが飛び込んでくる。
白いコートに、ふわりと揺れる金髪の巻き髪。
マフラーの隙間から覗く白い肌は、やけに綺麗で――
(……あれ? この女、どっかで……)
頭の中を必死に検索する。
数秒後、答えが弾けた。
(……うわ、みのるの元カノ!? いやいやいや、なんでここに?)
慌ててもう一度視線を戻すと、その女が腕を絡めている男の顔を見て――俺は目を丸くした。
「……カイト!? は???」
心臓がドクンと跳ねる。
頭の中にでっかい「?」が乱立する。
(待て待て待て。カイトってリュウと……やんな?
で、その隣がみのるの元カノって……え、三角関係どころか四角形?いや五角形?これ数学の問題か?)
混乱で足が止まる。
けれど当の二人は幸せそうに笑い合い、ためらいもなくホテル街へと消えていった。
「……マジかいな」
吐き出した息が白く舞う。
せっかくのクリスマスの華やかさが、急に悪い冗談みたいに思えてくる。
――ホストクラブ
控え室。
「シュウ……俺、まじで“家政婦は見た”って気分やったんや……」
「どうした?マサキ」
コソコソ声で打ち明けると、シュウが眉をひそめた。
「なに言ってんだよ」
「いやだから……見てもたんやって。絶対見んほうがよかったやつ……」
「おまえ、また余計なもん見てきたんじゃねぇの?」
控え室の隅っこで二人だけの世界。
声を潜めるつもりが、逆に目立っているのに気付いてない。
そのとき、ドアが開いた。
「……なに、2人でコソコソしてんだ?」
みのるとレオが並んで出勤してきた。
腕を組んで現れる二人に、場の空気が一瞬ふわっと華やぐ。
レオがにやりと笑って言う。
「よーし、今日はクリスマスイベントだ。気合い入れっぞ!」
控え室が一気にざわめき、シャンパンタワーの準備や衣装合わせに沸き立つ。
笑いも秘密もごちゃ混ぜにして――大きな夜が幕を開けようとしていた。
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秋から冬へ。街は光に彩られ、店はクリスマス一色に染まっていた。
イブ前日、俺はサナの部屋で抱き合ってた。
けれど、指先がなぞった腹筋の硬さ、肩のライン――そこに重なったのは、忘れられない記憶だった。
胸の奥が痛む。
違う人に抱かれているのに、あの夜と同じ余韻が身体に蘇る。
その幻を振り払うように、カイトの首に腕を絡めて囁いた。
「……カイト…………」
でもその言葉さえ、自分をごまかすためのもののように響いた。
その視線の奥には“みのる”の影があるのを、俺は気づいていた。
その温もりを感じながらも、俺は知っていた。
(……こいつ、俺を見てない。まだあいつを追ってる)
けどーー
「サナ、俺は……おまえが好きだ」
サナの目が揺れる。
「え……?」
「おまえが目を赤くして、俺を探して店に来たときの顔――忘れられないだよ」
いつもの天真爛漫な笑みじゃない。
低く、男の声で。
サナはその瞬間、息を呑み、次には笑顔で縋りついてきた。体温が混ざり合う。
(俺は“代わり”でもいい。
でも最後には、俺を本気で見させてやる)
カイトのキスは深く、サナはもう抗えなかった
ベッドの傍ら、テーブルに伏せられたカイトのスマホが震えた。
《なんで連絡ないの?どうした?》
リュウからのLINE。
俺は画面を見ずに、サナの腰を強く引き寄せた。
(ごめん。リュウ……今だけは仮面も外して、俺は男でいたいんだ)
ふたりは、雪の降る夜に溺れていった。
ー出勤前の街はクリスマス一色。
頭上のイルミネーションがチカチカ光り、カップルたちが幸せそうに肩を寄せ合っていた。
「寒っ……」と肩をすくめながら歩いていた俺の視界に、ふと見慣れたシルエットが飛び込んでくる。
白いコートに、ふわりと揺れる金髪の巻き髪。
マフラーの隙間から覗く白い肌は、やけに綺麗で――
(……あれ? この女、どっかで……)
頭の中を必死に検索する。
数秒後、答えが弾けた。
(……うわ、みのるの元カノ!? いやいやいや、なんでここに?)
慌ててもう一度視線を戻すと、その女が腕を絡めている男の顔を見て――俺は目を丸くした。
「……カイト!? は???」
心臓がドクンと跳ねる。
頭の中にでっかい「?」が乱立する。
(待て待て待て。カイトってリュウと……やんな?
で、その隣がみのるの元カノって……え、三角関係どころか四角形?いや五角形?これ数学の問題か?)
混乱で足が止まる。
けれど当の二人は幸せそうに笑い合い、ためらいもなくホテル街へと消えていった。
「……マジかいな」
吐き出した息が白く舞う。
せっかくのクリスマスの華やかさが、急に悪い冗談みたいに思えてくる。
――ホストクラブ
控え室。
「シュウ……俺、まじで“家政婦は見た”って気分やったんや……」
「どうした?マサキ」
コソコソ声で打ち明けると、シュウが眉をひそめた。
「なに言ってんだよ」
「いやだから……見てもたんやって。絶対見んほうがよかったやつ……」
「おまえ、また余計なもん見てきたんじゃねぇの?」
控え室の隅っこで二人だけの世界。
声を潜めるつもりが、逆に目立っているのに気付いてない。
そのとき、ドアが開いた。
「……なに、2人でコソコソしてんだ?」
みのるとレオが並んで出勤してきた。
腕を組んで現れる二人に、場の空気が一瞬ふわっと華やぐ。
レオがにやりと笑って言う。
「よーし、今日はクリスマスイベントだ。気合い入れっぞ!」
控え室が一気にざわめき、シャンパンタワーの準備や衣装合わせに沸き立つ。
笑いも秘密もごちゃ混ぜにして――大きな夜が幕を開けようとしていた。
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