大人になっても、恋は止まらない。──独占と余裕のあいだで

氷月

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Lesson 27.5 月光に抱かれる君へ

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テーブルにはキャンドルの灯り、窓の外には夜の海に浮かぶ月。

白いクロスの上に並べられたお皿からは、彩り鮮やかな前菜や沖縄食材を使った料理が湯気を立てている。

「悠哉、すごいね……こんなの初めてだよ」

悠哉は赤ワインのグラスを差し出しながら、ゆっくりと微笑む。

「ハルと一緒やからや。俺ひとりやったら、こんな贅沢いらん」

「……もう、本当にずるい」

照れながらグラスを合わせると、ワインの澄んだ音が部屋に響いた。

キャンドルの炎に照らされる悠哉の横顔は、どこまでも色気に溢れていて――

ハルは胸の奥で何度も(好きだ)と繰り返した。

そのあとー バルコニーに出ると、夜風が頬を撫で、遠くに波の音が響く。

ハルは赤ワインのグラスを片手に持ちながら、もう片方の手に小さな紙袋を抱えていた。

「……悠哉、誕生日だから」

差し出すと、悠哉は驚いたように目を見開く。

中から現れたのは、ハルが銀座で選んだブランドのベルト。

「……お前……俺のために」

言葉を失い、瞳が滲む。

ハルは慌てて笑った。

「泣かないでよ。……悠哉が大好きで、これからもずっと一緒にいたいな。23歳おめでとう」

その笑顔に、悠哉は堪えきれず、ぐっと抱き寄せる。

「アホやな……俺のほうが、お前に救われとんのに。……一生離さへん」

夜風に揺れるカーテンを背に、ふたりの唇が重なる。

最初は優しく、けれどすぐに深く。

溶けるほど甘く、甘い甘い幸せが流れ込む。

星空の下、ただ二人だけの時間が流れていた。

そのままベッドルームに入ると、白いシーツが月明かりに照らされていた。

悠哉はワイングラスをテーブルに置き、ハルの手を取ると、そっとベッドに導く。

額にやさしくキスを落とし、囁く。

「……愛してる。ずっと、お前だけや」

ハルは瞳を閉じ、静かに頷いた。

その仕草に、悠哉の呼吸が少しずつ荒くなっていく。

「……僕も。悠哉、大好きだよ」

その答えに、悠哉の喉が震え、堪えきれずにもう一度。

「愛してる……お前だけや」

「僕も……愛してる」

互いの言葉が重なるたびに、唇が重なり、息が更に荒くなる。

「もっと言え……愛してるって。俺だけに」

「……ん…愛してる……愛してるよ、悠哉……」

ハルが震える声で繰り返すと、悠哉の目尻が熱く潤む。

「……あかん。そんなに言われたら、もう離されへん」

キスは深く、甘く、溶けるように続く。

「愛してる」

「僕も愛してる」――何度も何度も。

その言葉でしか互いを確かめられないほど、夜は熱を帯びていった。

翌朝ー 

白いカーテン越しに、柔らかな朝日が差し込む。

まだ夢の中にいるような甘さの中で、ハルはふと目を覚ました。

隣には、腕枕をしたまま眠る悠哉。

その横顔に、そっと唇を近づけて――軽くキスを落とす。

「……ん、おはよう」

かすれた低い声で目を開けた悠哉が、ゆっくりと笑う。

「おはよう、悠哉」

二人の声が重なり、同時に小さく笑った。

悠哉はそのままハルを胸に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。

「……朝になっても、まだ離したくないわ。ずっとこうしてたい」

「ふふ……欲張りだなぁ」

「当たり前や。俺のやろ? 絶対に離さへん」

「……うん。僕も離れない」

互いの言葉にまた笑い合い、朝の光に包まれながら――

沼るように、何度も小さなキスを交わした。


Lesson28へ続く
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