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Lesson 1 気づけば、お前にだけ壊されるのを望んでた
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夏が近づく大学キャンパス
日向はじりっと肌を焼くような暑さなのに、木陰に入るとまだ涼しい風が頬を撫でる。
芝生には昼休みの学生たちが腰を下ろし、笑い声とスマホのシャッター音が交じり合う。
カフェテリアの前からは甘いアイスの香りが漂い、遠くの体育館からはバスケットボールの弾む音が響いていた。
俺は、塚本蓮――レン。大学4年の春。
最近、自分の感情がおかしくなってきているのを感じる。
気づけば目で追ってしまうのは、新しく入ってきた1年、七瀬巧(タクミ)。
タクミと初めて会ったのは、去年の秋。
当時、俺が密かに想いを寄せていた同級生、ユウヤの恋人――ハルの親友としてだった。
まさか、この俺様が、また男に心を奪われるなんて、あの時は思いもしなかった。
「レン先輩、おはようございます♡」
廊下ですれ違いざまに絡んでくる女の子たち。
軽く笑って応じるのも、俺の日常の一部。
けれど最近は、その視線の先にタクミがいるかどうかばかりを気にしている――そんな自分に気づき始めていた。
女子たちとの軽い挨拶を終え、ふと足が向いたのは、タクミが受けている教科の教室がある棟だった。
別に用事があるわけじゃない。ただ……今日もちゃんと来てるか、見てみたくなった。
廊下を歩くと、授業中の静けさが耳に届く。
教室の窓からは、春の光が机に落ちていて、ページをめくる音がかすかに響いている。その中に、タクミの横顔があった。
真剣な表情でノートを取っている。
いつも明るく笑っている顔とは違う、少し大人びた横顔。
(……なんだよ、こんな顔もするんだ)
見つからないように視線を逸らしながらも、足はしばらくその場から動けなかった。
授業終了のチャイムが鳴り、学生たちが一斉に席を立つ。
タクミが教室のドアから出てきて、すぐに俺を見つけた。
「おはよ!レンさん!」
「おはよう。大学はもう慣れたか?」
「慣れましたよ~。サークルも楽しいし、最高っす♡」
明るい笑顔と軽い口調。その無邪気さに、なぜか胸がざわつく。
「あ、今日一緒に帰りますか?帰りに寄りたい店あるんすよ」
「……おう。いいぜ」
返事は短く。それでも、口元が少しだけ緩んでしまう自分に気づいた。
「やった!じゃあ、待ってますね」
タクミは軽く手を振って、また教室に戻っていく。
その背中を目で追いながら、胸の奥に小さなざわめきが残った。
ただの後輩。そう思えば楽なのに。
なのに、気づけばさっきの笑顔や声の響きを何度も思い出している。
(……おかしいな、俺)
その時はまだ知らなかった。
この感情が、やがて俺の中で形を変えていくことを――。
続くー♡
日向はじりっと肌を焼くような暑さなのに、木陰に入るとまだ涼しい風が頬を撫でる。
芝生には昼休みの学生たちが腰を下ろし、笑い声とスマホのシャッター音が交じり合う。
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「レン先輩、おはようございます♡」
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けれど最近は、その視線の先にタクミがいるかどうかばかりを気にしている――そんな自分に気づき始めていた。
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真剣な表情でノートを取っている。
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(……なんだよ、こんな顔もするんだ)
見つからないように視線を逸らしながらも、足はしばらくその場から動けなかった。
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タクミが教室のドアから出てきて、すぐに俺を見つけた。
「おはよ!レンさん!」
「おはよう。大学はもう慣れたか?」
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「あ、今日一緒に帰りますか?帰りに寄りたい店あるんすよ」
「……おう。いいぜ」
返事は短く。それでも、口元が少しだけ緩んでしまう自分に気づいた。
「やった!じゃあ、待ってますね」
タクミは軽く手を振って、また教室に戻っていく。
その背中を目で追いながら、胸の奥に小さなざわめきが残った。
ただの後輩。そう思えば楽なのに。
なのに、気づけばさっきの笑顔や声の響きを何度も思い出している。
(……おかしいな、俺)
その時はまだ知らなかった。
この感情が、やがて俺の中で形を変えていくことを――。
続くー♡
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