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中学生の頃 side凛花
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高谷凛花は中学3年まで髪は短めのショートで背も高く、遊ぶ相手も男子が多かった。
運動神経も良くすらっとした体型で少年とよく間違えられたしそれを気にしたこともなかった。
凛花の中学には制服があるものの運動系の部活に所属している子はジャージで登校する習慣があり、制服を着用するのは始業式などの時だけだった。
凛花がスカートを履くのはその時だけなので気恥ずかしかったしスカスカするためいつも早く脱ぎたいと思っていた。
そんな凛花が中3の時、自分が女子なのだ、と強く意識する出来事が起こった。
恋に落ちたのだ。
相手は隣の中学の手塚圭。
市内の大きな公園にあるストリートバスケコートで出会い、いつの間にか仲良くなっていた。
凛花はバスケ部の仲間(もちろんほとんどが男子である)と部活のない週末などに行くことが多かった。
圭は隣の中学の生徒でやはりバスケ部に所属していてその仲間と来ていることが多かった。
グループ同士でいつの間にか仲良くなり、顔を合わせるといつも一緒にバスケをした。
グループの中でも圭はバスケがずば抜けて上手だった。はじめは技を盗むつもりで圭の動きを観察していたのだが、そのうちスリーポイントを決めた後の笑顔やゴールを狙う時の真剣な眼差しにドキドキするようになり凛花は初恋を自覚した。
恋を自覚してからはもうダメだった。バスケで相手からプレッシャーをかけられる時、それが圭だといつもの調子が出なかったし、圭に見られていると思うとうまく手に力が入らずパスもシュートも外しまくった。
そんな調子が一ヶ月も続いた頃、一学期の期末テストがあった。
凛花はテストも散々だった。
テスト期間は当然圭とは会えずさみしい思いをしていた。
テスト最終日、誰と約束をしているわけじゃなかったけれど、ふらふらとバスケコートに行ってみた。すると、一人でシュート練習をしている圭がいた。
圭が凛花に気付いて手を挙げ笑いかけてくれる。
心がぎゅーっとなった。
「どうしたの?一人?」
圭との会話はいつもさりげない。
声変わりしたばかりの少ししゃがれた声も可愛くて凛花は思わずとんでもないことを口にしていた。
「ねぇ、もし良かったら二人で花火大会に行かない?」
と。
どうしてそんな事を言ってしまったのかは分からない。
その日、期末テストが終わった解放感からクラスメイトたちが誰と花火大会に行くかというネタで盛り上がっているのを聞いた時に圭と行けたら素敵だなとは確かに思った。
二人きりで行けたらさらにサイコーだと。
圭を見た時、その事が頭を掠めたからかもしれない。
しかし、その後、圭の口から紡がれた言葉は残酷だった。
「ごめん。俺、そういうのはちょっと。可愛い女の子が好きだから。」
可愛い女の子が好きだから。
なんと残酷な言葉だろうか。つまり、凛花は可愛くないし圭の好みじゃないのだと通告されたのだ。
別に告白したわけではない。いや、二人で花火大会なんて告白したみたいなものだろうか。
つまるところ、凛花は圭に振られたのである。
凛花は「そ、そうだよね」と言うのが精一杯でなんとか涙を流さずにその場を立ち去った。
それから、凛花はしばらく落ち込み、一度もバスケコートのある公園に行くことはなかった。
ただ、期末テストの点数がめっぽう悪く、このままでは行ける高校がないと先生に言われたため、周りは落ち込んでいるのはそのせいだと解釈した。
それに、その後すぐ親から夏期講習に強制的に参加させられ、友人達と公園で遊ぶ時間もなくなったので公園に行かなくても不自然ではなかった。
部活をやっていた子が本格的に勉強しだすと成績が伸びると言われる通り、凛花は二学期以降成績を伸ばし、文武両道を謳うそれなりの学校に入学することが決まった。
その時、凛花の髪は肩に着くくらいまで伸びていた。
運動神経も良くすらっとした体型で少年とよく間違えられたしそれを気にしたこともなかった。
凛花の中学には制服があるものの運動系の部活に所属している子はジャージで登校する習慣があり、制服を着用するのは始業式などの時だけだった。
凛花がスカートを履くのはその時だけなので気恥ずかしかったしスカスカするためいつも早く脱ぎたいと思っていた。
そんな凛花が中3の時、自分が女子なのだ、と強く意識する出来事が起こった。
恋に落ちたのだ。
相手は隣の中学の手塚圭。
市内の大きな公園にあるストリートバスケコートで出会い、いつの間にか仲良くなっていた。
凛花はバスケ部の仲間(もちろんほとんどが男子である)と部活のない週末などに行くことが多かった。
圭は隣の中学の生徒でやはりバスケ部に所属していてその仲間と来ていることが多かった。
グループ同士でいつの間にか仲良くなり、顔を合わせるといつも一緒にバスケをした。
グループの中でも圭はバスケがずば抜けて上手だった。はじめは技を盗むつもりで圭の動きを観察していたのだが、そのうちスリーポイントを決めた後の笑顔やゴールを狙う時の真剣な眼差しにドキドキするようになり凛花は初恋を自覚した。
恋を自覚してからはもうダメだった。バスケで相手からプレッシャーをかけられる時、それが圭だといつもの調子が出なかったし、圭に見られていると思うとうまく手に力が入らずパスもシュートも外しまくった。
そんな調子が一ヶ月も続いた頃、一学期の期末テストがあった。
凛花はテストも散々だった。
テスト期間は当然圭とは会えずさみしい思いをしていた。
テスト最終日、誰と約束をしているわけじゃなかったけれど、ふらふらとバスケコートに行ってみた。すると、一人でシュート練習をしている圭がいた。
圭が凛花に気付いて手を挙げ笑いかけてくれる。
心がぎゅーっとなった。
「どうしたの?一人?」
圭との会話はいつもさりげない。
声変わりしたばかりの少ししゃがれた声も可愛くて凛花は思わずとんでもないことを口にしていた。
「ねぇ、もし良かったら二人で花火大会に行かない?」
と。
どうしてそんな事を言ってしまったのかは分からない。
その日、期末テストが終わった解放感からクラスメイトたちが誰と花火大会に行くかというネタで盛り上がっているのを聞いた時に圭と行けたら素敵だなとは確かに思った。
二人きりで行けたらさらにサイコーだと。
圭を見た時、その事が頭を掠めたからかもしれない。
しかし、その後、圭の口から紡がれた言葉は残酷だった。
「ごめん。俺、そういうのはちょっと。可愛い女の子が好きだから。」
可愛い女の子が好きだから。
なんと残酷な言葉だろうか。つまり、凛花は可愛くないし圭の好みじゃないのだと通告されたのだ。
別に告白したわけではない。いや、二人で花火大会なんて告白したみたいなものだろうか。
つまるところ、凛花は圭に振られたのである。
凛花は「そ、そうだよね」と言うのが精一杯でなんとか涙を流さずにその場を立ち去った。
それから、凛花はしばらく落ち込み、一度もバスケコートのある公園に行くことはなかった。
ただ、期末テストの点数がめっぽう悪く、このままでは行ける高校がないと先生に言われたため、周りは落ち込んでいるのはそのせいだと解釈した。
それに、その後すぐ親から夏期講習に強制的に参加させられ、友人達と公園で遊ぶ時間もなくなったので公園に行かなくても不自然ではなかった。
部活をやっていた子が本格的に勉強しだすと成績が伸びると言われる通り、凛花は二学期以降成績を伸ばし、文武両道を謳うそれなりの学校に入学することが決まった。
その時、凛花の髪は肩に着くくらいまで伸びていた。
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