【完結】転生王子は、今日も婚約者が愛しい

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「私……ずっとずっと、オリヴィアさんからいじめられていたんです…………！！！」

再び断罪の場。
結局ステファンの願いも虚しく、ジュリーは断罪を強行した。
わざとらしく目にいっぱいの涙を浮かべて震える声で精一杯を装う。その場の人間の同情を誘うために。こちらに同意を求めるかのようにちらちらと視線を寄越してくるのもうざったい。シナリオの強制力が働くだろうとでも思っているのだろうか。


「私はそんな低俗なことはしておりませんわ。」
「いいえ、されたわ！いじめはされた方がされたと受け取ればもう立派に成立するのよ！あなたは、私がステファン様に愛されてるのが気に入らなかったんでしょう……！嫉妬したからってこんなの酷いわ！」

突如として槍玉に上げられたオリヴィアだが、凛として対応するその様に、ジュリーの滑稽さが際立つ。ステファンだけでなく周囲も彼女を冷めた目で見ていたが、同時にジュリーの台詞に小さく体を震わせたオリヴィアが目に入った。


「それは有り得ないな。」
「ステファン様！？」
「いつわたしがお前に名を呼ぶことを許可した？身の程を弁えろ。それからわたしがお前を愛してる？……笑わせるな。我が愛は過去も未来も変わらず、我が婚約者・フェルスター侯爵令嬢に。」
「……ふぇっ！？」


割って入って一息で否定する。突如自分に話が戻ってきたことにオリヴィアは思わず声をあげてしまった。


「ずっと伝えていたはずだ。……まぁ、信じて貰えていなかったのだろうが。それから。ノートン男爵令嬢には迷惑していた。何度注意しても馴れ馴れしい態度や軽率な行動を控えようとはしない。照れ隠し？何故わたしがそのような事をする必要がある？勘違いも自意識過剰も甚だしい。」

正面に立つジュリーはぽかんとしている。本気で自分が好かれていると思っていたのだろうか。