【完結】負けヒロインに転生しました

珊瑚

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だが、自分は楽観視しすぎていたようだ。
大人しくしているから安全だなんてそんなのあくまでも自分の願望に過ぎなかったのだとすぐに思い知らされることとなった。ゲームのシナリオ通りに。卒業パーティーという場で。






「フロリア・シェーラー公爵令嬢!貴様にはほとほと愛想が尽きた!お前との婚約を破棄し、ここに貴様の心優しき妹、ミレーヌ・シェーラー公爵令嬢との婚約を宣言する!」


何言ってんだ、こいつ。
…………………………え。何で…………?
本当に何で……?
原作通りに進んでるってことは、ユーゴが私に惚れたってこと……?
だってそんなフラグ、どこにもなかったじゃん……。
お姉ちゃんのことずっとガン見してたじゃん……。
好意的な視線じゃないなとは気づいてたけどさあ……。

絶句。
それもミレーヌだけじゃない。
突然名前を呼ばれたフロリアも、周囲の生徒たちも。
ひいてはパーティーに出席するためにこの場を訪れていた生徒の保護者たちや、ユーゴの両親である国王夫妻まで。

なるほど。彼らの様子から察するに、今回のユーゴによるトンデモ宣言は彼による独断のようだ。
だってフロリアが愛想を尽かされる……?
意味が分からない。
むしろ愛想を尽かされるべきはお前の方だろうが。


「突然のお言葉に戸惑っております。ですが、姉・フロリアが婚約者に愛想を尽かされた挙句婚約破棄された令嬢というレッテルを貼られるほどのことを仕出かしたとは到底考えられません。何かの間違いでは」
「やはりそなたは心優しいな。さすがはわたしが見染めた女なだけあるな。」

内心馬鹿にしながらも一応身分を鑑みて精一杯丁寧に伝えたのだが(なお、システムによる自動変換機能を除くと、『いきなり何言ってんだお前?フロリアがお前なんぞにケチつけられるわけねえだろうが。』である)食い気味に心底気持ち悪いセリフを吐かれてミレーヌのライフはもうゼロよ…………。
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