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見合い歩き

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「さ、目を閉じてください?」
「は、はい。」
「我斗我嫁花李世界行笥...
 價嘉糯釐癒憂樋…!」
う…?


「大丈夫ですか?」
「は、はい…ここは…?」
「此処は花都世。花の都です!」
そう言ってニコっと笑う彼を見ると、なぜだか心がなだめられる…
「凄い…どうやって?」
「えっ!?うーん…説明するのは難しいですね。えと…狼の血を感じながら…呪文を早口で唱える…ですかね。」
「おお…かっこいい…」
呪文とか、私もやりてー!
「えっ!?はっ!あ、ありがとう…ございます…」
「私もそういう呪文憧れちゃいますー!」
「あ、呪文…もうすぐ稲荷様も使えるようになりますよ。」
「…」
稲荷様…って…
「?」
なんか距離感遠い…って私、何考えてるの!?別にこんなやつと距離感が近いことなんて望んでいない…のに…



「今日は楽しかったです。ありがとうございました。」
「いえ。楽しんでもらえたならば良かったです!」
まあ、楽し…
「では、また来週…」
「?」
「あの…妹と…仲良くしてあげてくれたら…嬉しいです…」
「…まー、気が向いたらねっ…」
「あ、ありがとう…ござ」
「もう、ありがとうでいいです。私、敬語って嫌いなんです。」
「そ、そうでしたか!」
「私も敬語辞めるんで。」
「…💦」
「後、
私にどんな期待してんのか知らないけど、嫁入りの日みたいに、おしとやかで可愛いお嫁さんじゃないから。」
「…ふふっ。」
「な、何笑ってんのよ!」
「じゃあ、おんなじですね。」
「え、おんなじって…」
「では、また来週!」
「うわっ!?」




「…目の前に家…あいつ、逃げやがったな!」
ったく…おんなじってなんだよ…
「ただいまー」
「おかえり」
「おかえりー!」
あっ!
「とーさん!」
「よっ!先週ぶりっ!」
「ありょー?まだそれしか経ってないのー?」
「うっそピョーン!一ヶ月経ってまーす!」
「あっ!嘘ついたー!いけないんだ~w!」
「ごめんちゃい。テヘペロ」
「許さんぞーwww」
「ヒエ~ッ!こえーこえー(・∀・)」
こんなふざけたとーさんだけど、職業 医者で、なかなか帰ってこれない…のだが、とーさんは小さい頃から私に寂しい思いをさせたくなかったみたいで、とんとんと昇進していったため、私が物心ついた頃からとーさんが、二ヶ月以上家を空けていた記憶がない。
「今日はとーさんが料理作ったんだぞー!」
「えー!」
「ありがたく思えー!」
「ははーw」
「もう、ふたりとも早く椅子に座りなさいっ!」
「「へーい」」

「ごっちゃま!」
「ごっそーさん。」
「はいはーい」
「とーさん!くまくまカートやろ!」
「いいぞー。父さん強いからな!」
「私、シロクマ・アイスにするー!」
「じゃ、お父さんは、テディーベア・チャイにしようかなー。」
「お母さんは…モチクマ・スアマにするわ!」
「車どうするー?私はね…」



「また勝ったー!」
「うわー…負けまくりじゃん。」
「もう私は視界になしでしょう?」
「てか、このAIの時間クマ・チクタクマ強すぎだろw」
「キャラの問題?」
「いや…これはこのタイヤと車体で、速さと小回りの利きやすさのバランスが…」
「はっ!もうこんな時間!?明日は学校があるでしょう?早く寝なきゃ!」
「ワーッ!」



「そんじゃ、お休みぃ。」
「「お休み~」」

は~♡やっぱお父さんといる時間は国宝級の価値があるな…
あ、そういえば…明日学校で、神夜みやに声かけるの、忘れんようにしなきゃだな…
ふ、ふぁ~…もうねよ…
「むにゃむにゃ…すぅ…すぅ…」
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