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第五話
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「・・・」
私は平日朝のオフィスとは思えない程の空気の重さと静けさに背筋が伸びた。
「で、どういう経緯で体調の悪い前園が石崎と見つめ合ってんのかな?」
不機嫌そうな面持ちで前園柚を見るのは何故か私の同僚・森下和希。
「別に良くないですか、俺が体調悪くて看病してくれてる石崎先輩を見たって。それとも何ですか?俺が石崎先輩と見つめ合ったら森下先輩に何か不都合な事でも?」
前園柚はあくまでも冷静な顔つきで答えた。
「ふーん・・俺には不都合な事しかないよ。ずっと一緒に働いて近くで見守ってきた仲間をそう簡単に新人に奪われちゃ、黙ってられないよね。」
「それは石崎先輩を好きだ、って事でいいんですか」
・・えっ、ちょっと待って。
「森下!?あんた5年も付き合ってる彼女いるじゃない!」
「・・ごめん、俺・・石崎の事がずっと好きだった。彼女は取引先の令嬢で断りきれなくて・・でも石崎との事真剣に考えてるからもしOKしてくれるなら俺断るよ。ここの仕事辞めて他の仕事見つけてでも支えるよ。だから・・・」
「・・・ごめんなさい。もう他の人達出勤してくるよね。椅子片付けよう。
前園くんも体調回復しそうなら念の為休暇取って休みなさい。」
彼は黙って席を立つと椅子を直して鞄を持ち、お疲れ様でした。と一言声をかけて出て行った。
・・・さて、振り切ったつもりだったがこの二人きりの状況。どうしよう
「あの、石崎・・」
「ごめんね。私森下の事そんな風に思った事ないから・・友達でいてくれると嬉しい。」
「・・そっか。わかった。」
私と森下は静かに席につきパソコンを開いた。その後次々に社員が出勤してきて
いつの間にか騒がしいオフィスに戻っていた。
「じゃあ私、お先です。」会社に残った残業の社員達に声をかけ帰ろうとした。
「あっ、石崎。」
今私は完全に油断してた。無防備にゆったり廊下を歩いていた私の背後から声が聞こえた。声の主は
「・・森下どうしたの?」
振り返った私は引きつる笑顔を保って返答した。
「・・・ごめん。今日夜食事でもどうだ?最近残業ばっかみたいでキツそうだったし軽く一杯。」
「ごめん今日はちょっと・・」
私が申し訳なさそうに断った時、一瞬の隙をつかれて私は人気のない休憩室に連れ込まれる。
「ちょっと何するのよっ」
「まだあいつのとこに行くのか、心配だから?お前だって・・惹かれてるんだろ。本当は。」
「何言ってるの離して!私は家に帰りたいだけよ!」
「だめだ、絶対離さない。俺を振り切って男の家に行こうなんて許さない。
本当の事を言ってくれ、俺はもう・・・お前が欲しくて堪らないんだよ。
俺は友達でいたいなんて理由を聞く為に5年も踏ん張ったんじゃない。もし好きなら・・好きな奴がいるって俺が諦められるような理由で振ってくれないか。」
「・・好きなんかじゃないわ。森下と友達でいたい、恋愛対象として見られないのが本音よ。だからごめんなさい。早く・・・離してちょうだい。」
ずっと見つめられていた目が怖くて思わず目を逸らしてしまう。
すると突然、彼は私を強く抱きしめた。
「えっ、あの森下・・」
「ごめん少しだけ。こうしてたいんだ、だめ・・かな。」
「いやあの・・分かった・・。」
恥ずかしくてじっとしてる事しかできなかったがだんだん抱きしめる力が強まる森下が切ない気持ちなのが感じ取れた。
その時、休憩室のドアが勢いよく開いた。
私は平日朝のオフィスとは思えない程の空気の重さと静けさに背筋が伸びた。
「で、どういう経緯で体調の悪い前園が石崎と見つめ合ってんのかな?」
不機嫌そうな面持ちで前園柚を見るのは何故か私の同僚・森下和希。
「別に良くないですか、俺が体調悪くて看病してくれてる石崎先輩を見たって。それとも何ですか?俺が石崎先輩と見つめ合ったら森下先輩に何か不都合な事でも?」
前園柚はあくまでも冷静な顔つきで答えた。
「ふーん・・俺には不都合な事しかないよ。ずっと一緒に働いて近くで見守ってきた仲間をそう簡単に新人に奪われちゃ、黙ってられないよね。」
「それは石崎先輩を好きだ、って事でいいんですか」
・・えっ、ちょっと待って。
「森下!?あんた5年も付き合ってる彼女いるじゃない!」
「・・ごめん、俺・・石崎の事がずっと好きだった。彼女は取引先の令嬢で断りきれなくて・・でも石崎との事真剣に考えてるからもしOKしてくれるなら俺断るよ。ここの仕事辞めて他の仕事見つけてでも支えるよ。だから・・・」
「・・・ごめんなさい。もう他の人達出勤してくるよね。椅子片付けよう。
前園くんも体調回復しそうなら念の為休暇取って休みなさい。」
彼は黙って席を立つと椅子を直して鞄を持ち、お疲れ様でした。と一言声をかけて出て行った。
・・・さて、振り切ったつもりだったがこの二人きりの状況。どうしよう
「あの、石崎・・」
「ごめんね。私森下の事そんな風に思った事ないから・・友達でいてくれると嬉しい。」
「・・そっか。わかった。」
私と森下は静かに席につきパソコンを開いた。その後次々に社員が出勤してきて
いつの間にか騒がしいオフィスに戻っていた。
「じゃあ私、お先です。」会社に残った残業の社員達に声をかけ帰ろうとした。
「あっ、石崎。」
今私は完全に油断してた。無防備にゆったり廊下を歩いていた私の背後から声が聞こえた。声の主は
「・・森下どうしたの?」
振り返った私は引きつる笑顔を保って返答した。
「・・・ごめん。今日夜食事でもどうだ?最近残業ばっかみたいでキツそうだったし軽く一杯。」
「ごめん今日はちょっと・・」
私が申し訳なさそうに断った時、一瞬の隙をつかれて私は人気のない休憩室に連れ込まれる。
「ちょっと何するのよっ」
「まだあいつのとこに行くのか、心配だから?お前だって・・惹かれてるんだろ。本当は。」
「何言ってるの離して!私は家に帰りたいだけよ!」
「だめだ、絶対離さない。俺を振り切って男の家に行こうなんて許さない。
本当の事を言ってくれ、俺はもう・・・お前が欲しくて堪らないんだよ。
俺は友達でいたいなんて理由を聞く為に5年も踏ん張ったんじゃない。もし好きなら・・好きな奴がいるって俺が諦められるような理由で振ってくれないか。」
「・・好きなんかじゃないわ。森下と友達でいたい、恋愛対象として見られないのが本音よ。だからごめんなさい。早く・・・離してちょうだい。」
ずっと見つめられていた目が怖くて思わず目を逸らしてしまう。
すると突然、彼は私を強く抱きしめた。
「えっ、あの森下・・」
「ごめん少しだけ。こうしてたいんだ、だめ・・かな。」
「いやあの・・分かった・・。」
恥ずかしくてじっとしてる事しかできなかったがだんだん抱きしめる力が強まる森下が切ない気持ちなのが感じ取れた。
その時、休憩室のドアが勢いよく開いた。
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