色をなくした世界

乃愛

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第2章

貴方と出逢う来世まで

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結局会社に戻っても仕事が手につかず、午後は早退した。
その日の夜、中学の頃の友人に誘われ、飲み会に参加した。

その日あった出来事を伝えると友人は呆れるように笑った。
「それほんとにあんたじゃなくてよかったわ、あんただったら私耐えられないもん。」
「ははっ、ありがと。」
「でも癒姫ってほんとかっこいいと思うよ。柚樹さんが羨ましいわ、私もこんな嫁欲しいもん。」
「羨まれるような人間じゃないよ?…まぁ、あの場で何があっても柚樹さんの妻ですって言えた自分は少しだけ誇りに思う。」
「あんたはさ、絶対後悔しない?この先結婚しなくて。」
「うん。」
「だってこの先実質独身なんだよ?柚樹さんはあんたの幸せ願ってるんじゃないの?」
「…私ね、柚樹さんの妻でいられることが一番の幸せなんだ。側にいるとか触れられるとかじゃなくて純粋に、柚樹さんを愛することができるのが一番の幸せ。
離婚しろとも好きじゃないとも言われてないんだもん、待つのは勝手じゃん?
勿論、待ってたって帰ってこないのは分かってる。柚樹さんに依存してるのかなーとも思う。
でも私、柚樹さんを愛したまま、この気持ちを忘れずに生涯を終えたいって思う。
こんなに人を心から愛せるってこんな幸せなことないと思うからさ。
この大好きな気持ち忘れたくないんだ。
それにこのままずっと好きでいたら…来世で再会できるかなーって…なんちゃって。」
「…良い妻だよ。本当に柚樹さんのこと好きなんだなって伝わってくる。
辛いこともあると思うけどさ、いつでも頼ってよ、柚樹さんほど頼りにはなんないかもしれないけど柚樹さんの代わりに癒姫を守りたい、助けたいよ。」
「ありがとう。お願いします!」
「うん!でも生まれ変わったら私が男になって癒姫嫁に貰いますーーーー!」
「えー!」
「はいかんぱーーーいっ」

柚樹さんへ
元気にしてますか? 私は元気です。
貴方がいなくなって暫く経ちましたが、まだ寂しい気持ちに襲われることがあります。
でも貴方を愛する気持ちは募るばかりでやっぱり貴方以外愛せないと痛いほど実感させられます。
支えてくれる存在といえば、友達がよく一緒にいてくれます。
寂しくないようにと気遣ってくれます。
以前、貴方を恋敵と言っていました。
友達曰く、来世で私と結婚するんだとか。笑
ちなみに私は柚樹さんの妻になりたいなぁと思っています。
来世も2人で幸せな日々を送れることを期待しつつ、これからも頑張ります。
P.S いつも貴方にいってきますって言うといってらっしゃいと貴方の優しい声が
心の中で聞こえます。届いてるんだ!ととても嬉しくなります。
いつも見送ってくれてありがとう。明日大事なプレゼンがあるから応援しててね!

柚樹さん、貴方のいないこの世界は色を失くしたようになってしまいました。
だからこれからは私が貴方と過ごす来世の為にたくさんの色でこの世界を鮮やかにしようと思います。私は何があっても何年経っても、この色褪せない気持ちを抱いて
貴方を待ち続けます。
柚樹さん、愛してるよ。

「いってきます、柚樹さん。」
『いってらっしゃい!癒姫、頑張って!!』
柚樹さんがいてくれる。
だから私は、前を向き続ける。
振り向いても柚樹さんはいない。
でも前を向いて進み続ければ、来世に柚樹さんは必ずいるから。
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