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三話 母が・・・・・・
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病院の治療室前──
祖母と椿と父が待合ベンチソファに座っていた。祖母が静かに話す。
「治安で追っていた盗賊の一人がワイバーンを召喚したんだそうだ」
「ワイバーンって確か、頭がドラゴンのようで手がコウモリのような翼で、尻尾が蛇のような幻獣でしたっけ?」
「そうだね。だいたいそんな感じかね」
「でも、盗賊がワイバーンを召喚できるものなんですか?」
「どんな方法使ったのかはわからないが、春子と共にいた国家魔法治安士がそう言ってたんだ」
「・・・・・・」
「まあ、そのワイバーンと春子が相討ちになって、ワイバーンは死んで、春子は重症でこの病院に搬送されたわけさ。ちなみに盗賊は全員お縄になったそうだ」
扉が開き、医療スタッフ三人が出てきた。
「!」
ベンチソファに座っていた三人が立ち上がり、医療スタッフに駆け寄る。
「春子は!?」
祖母が医療スタッフに訊ねた。医療スタッフ三人は険しい顔をし、その内の男性一人が口を開く。
「一命を取り留めましたが、意識不明の状態で・・・・・・」
「意識はどれくらいで戻るんだい?」
「それは、なんとも言えません。ただ、贔屓ではありませんが、我々も梅さんには魔法薬でお世話になってるので力にはなりたいです。けど、これ以上は力及ばずで・・・・・・」
「・・・・・・そんなこと言うんじゃないよ!国家魔法医療士三人で治療をしてくれたんだ!死ななかっただけよかったよ。まだ希望はある。ありがとう」
国家魔法医療士の男が頭を下げた。後に続くように残りの国家魔法医療士二人も頭を下げた。
「では、春子さんのことで話があるので、梅さんはあちらの部屋で・・・・・・」
「わかったよ」
梅はそのまま国家魔法医療士達の後について行った。椿はただ、呆然と立ち尽くしていた。
数日後──病院の病室。
椿と梅が春子のベッドの前に立つ。
「お母さん。お見舞いにきたよ!」
「・・・・・・」
「なんとか言ったらどうだい春子?」
声をかけるが、呼吸器などを取付けられた春子は目を閉じたまま、返事はない。しかし、それでも、椿は声をかける。
「今日、箒でね・・・・・・」
椿はその日、あったことを話した。
「じゃあ、また来るね」
「・・・・・・」
椿と梅は病室を後にした。
一年後──
「今日、学校でね・・・・・・」
「・・・・・・」
寝ている春子に笑顔で話す椿を見て、心苦しいのか梅は険しい顔をした。
その次の日──自宅。
「婆ちゃん!」
椿は梅を呼ぶが、返事がなかった。椿は家の中を捜し始める。梅の部屋に行くと梅が何か本を読んでいた。
「婆ちゃん、今日の魔法の訓練は?」
「ああ、そうだったね。今からやろうか。ごめんよ」
本を閉じて、立ち上がる。
椿は本の表紙を見る。そこには魔法病気学と書かれていた。
さらに一年後──病院。
祖母と一緒に母の見舞いに行くと、病室には父がいた。
「今日は仕事を早退したんだ。たまにはいいと思ってね」
「・・・・・・」
仕事を早退して来たようだ。
「春子ごめんな。今、春子の意識を回復させられる医師や国家魔法医療士をいろんな方法使って探しているんだけど、なかなか見つからなくてね」
そう言いながら貞彦は眼鏡を外して、涙を手で拭いた。
「・・・・・・帰ろう、婆ちゃん」
「いいのかい?」
「うん」
椿はそう言って病室には入らず、離れて行った。
祖母と椿と父が待合ベンチソファに座っていた。祖母が静かに話す。
「治安で追っていた盗賊の一人がワイバーンを召喚したんだそうだ」
「ワイバーンって確か、頭がドラゴンのようで手がコウモリのような翼で、尻尾が蛇のような幻獣でしたっけ?」
「そうだね。だいたいそんな感じかね」
「でも、盗賊がワイバーンを召喚できるものなんですか?」
「どんな方法使ったのかはわからないが、春子と共にいた国家魔法治安士がそう言ってたんだ」
「・・・・・・」
「まあ、そのワイバーンと春子が相討ちになって、ワイバーンは死んで、春子は重症でこの病院に搬送されたわけさ。ちなみに盗賊は全員お縄になったそうだ」
扉が開き、医療スタッフ三人が出てきた。
「!」
ベンチソファに座っていた三人が立ち上がり、医療スタッフに駆け寄る。
「春子は!?」
祖母が医療スタッフに訊ねた。医療スタッフ三人は険しい顔をし、その内の男性一人が口を開く。
「一命を取り留めましたが、意識不明の状態で・・・・・・」
「意識はどれくらいで戻るんだい?」
「それは、なんとも言えません。ただ、贔屓ではありませんが、我々も梅さんには魔法薬でお世話になってるので力にはなりたいです。けど、これ以上は力及ばずで・・・・・・」
「・・・・・・そんなこと言うんじゃないよ!国家魔法医療士三人で治療をしてくれたんだ!死ななかっただけよかったよ。まだ希望はある。ありがとう」
国家魔法医療士の男が頭を下げた。後に続くように残りの国家魔法医療士二人も頭を下げた。
「では、春子さんのことで話があるので、梅さんはあちらの部屋で・・・・・・」
「わかったよ」
梅はそのまま国家魔法医療士達の後について行った。椿はただ、呆然と立ち尽くしていた。
数日後──病院の病室。
椿と梅が春子のベッドの前に立つ。
「お母さん。お見舞いにきたよ!」
「・・・・・・」
「なんとか言ったらどうだい春子?」
声をかけるが、呼吸器などを取付けられた春子は目を閉じたまま、返事はない。しかし、それでも、椿は声をかける。
「今日、箒でね・・・・・・」
椿はその日、あったことを話した。
「じゃあ、また来るね」
「・・・・・・」
椿と梅は病室を後にした。
一年後──
「今日、学校でね・・・・・・」
「・・・・・・」
寝ている春子に笑顔で話す椿を見て、心苦しいのか梅は険しい顔をした。
その次の日──自宅。
「婆ちゃん!」
椿は梅を呼ぶが、返事がなかった。椿は家の中を捜し始める。梅の部屋に行くと梅が何か本を読んでいた。
「婆ちゃん、今日の魔法の訓練は?」
「ああ、そうだったね。今からやろうか。ごめんよ」
本を閉じて、立ち上がる。
椿は本の表紙を見る。そこには魔法病気学と書かれていた。
さらに一年後──病院。
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「今日は仕事を早退したんだ。たまにはいいと思ってね」
「・・・・・・」
仕事を早退して来たようだ。
「春子ごめんな。今、春子の意識を回復させられる医師や国家魔法医療士をいろんな方法使って探しているんだけど、なかなか見つからなくてね」
そう言いながら貞彦は眼鏡を外して、涙を手で拭いた。
「・・・・・・帰ろう、婆ちゃん」
「いいのかい?」
「うん」
椿はそう言って病室には入らず、離れて行った。
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