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十九話 詫び
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椿が梅の前に立つ。
「婆ちゃん、さっきは家を飛び出してごめんなさい!」
椿は梅に深々と頭を下げた。
「けどやっぱり、後悔しても獏を探したい!でも、あたしはまだまだ弱いのも確かだから、今まで以上に魔法の稽古をつけてほしい。お願いします!」
梅は椿をじっと見て、息を吐いた。
「あたしも頭ごなしに反対して悪かったね。ごめんよ」
梅が頭を抱え、考え込む。
「──わかった!あたしの稽古と課題をクリアできたら、獏探しを認める!それでいいかい?」
「うん!」
「じゃあ、明日からビシバシ行くからね!」
「うん!」
二人が話をしていると、丸夫が少し考え込む。
「椿?」
「なんですか?丸夫さん?」
「今って秋休みだっけ?」
「はい!昨日入ったばかりで
あと一週間ほどあります」
「そっか」
丸夫が考え込む。
「なあ、梅?」
「なんだい?変態!」
「変態は余計だ。その椿の稽古と課題に関してなんだが、六日以降ではだめか?」
「どうしてだい?」
「・・・・・・これは椿がよければなんだけど、明日から六日間で獏探しに役に立ちそうな僕の魔法を叩き込めるだけ教えたいと思うんだ」
「あんたがかい?どういう風の吹き回しだい?っていうか仕事は?」
「さっきの詫びの一つさ・・・・・・あと仕事の方は大丈夫。今、有休を取っていてあと一週間は休める──でどうだい?」
「・・・・・・あたしはかまわないけど、どうする椿?」
梅は椿に尋ねる。
「ん~」
「もちろん、君が嫌なら断ってもかまわない」
「・・・・・・いえ!むしろお願いします!」
「そうかい。じゃあ、明日からよろしくね」
「はい!」
丸夫と椿が話をしていると、奥から声がした。
「梅さーん」
梅が後ろを向くと咲が箒に乗ってやってきた。
「咲ちゃんも来たのかい?」
「ええ、梅さんが物凄い勢いで飛び出して行ったので心配で・・・・・・父さん!?」
「来たか。娘」
「話すと少し長くなるんだけど──」
梅が先程、あったことを咲に話す。
「じゃあ、途中妙な魔力を感じるって慌ててどっか行ったのは・・・・・・」
「嘘だ。実際は梅に似た魔力を感じたから、もしかしたらと思って行ったんだ」
「じゃあ、なんでそう言わなかったの?」
「だって、そんなこと言ったら一緒に行くというか止めるでしょ?」
「それはそうでしょうよ!父さんが何するかなんてだいたい想像つくし・・・・・・ってこんなこと言う前に」
咲が椿の前に行く。
「うちの父が大変失礼なことをして申し訳ありませんでした!」
深々と頭を下げた。
「いえ、あたしもいろいろと勉強になりましたし、丸夫さんからも謝罪はいただきましたから、そんな頭を下げないで下さい」
「そうだよ。咲ちゃんが悪いわけじゃないんだから・・・・・・ったくそれと比べて、丸夫ときたら・・・・・・」
「まあ、そう言わんでくれよ。その詫びも兼ねて明日から椿に魔法の稽古をつけるんだし」
「・・・・・・それもそうだね」
梅がため息をつく。
「えっ?父さんが魔法の稽古をつける?詫びも兼ねてとか言ってまたイタズラするつもりじゃあ──」
「そんなつもりはない!真面目に稽古をつけるつもりだ!」
「ほんとに?」
「ああ」
「そう。わかった!でも、私は明後日から仕事だから、また私がいない時にあんなイタズラしたら・・・・・・梅さん!遠慮なくやっちゃって下さいね!」
と咲は梅に話し掛ける。
「ああ、その時は半殺しにしてやるから安心しな!咲ちゃん!」
「ちょっと梅~」
「はは、冗談だよ!丸夫」
「冗談に聞こえないって!」
「まあとりあえず、家に戻ろうかね」
「そうだ梅!」
「なんだい?丸夫?」
「これも先程の詫びの一つとしてだが、夕飯は僕に奢らせてくれないか?出前を頼んでさ」
「ほお。何を奢ってくれるんだい?」
「そうだな・・・・・・じゃあお寿司なんかどうだ?」
地面に落ちていたローブを拾っていた椿の身体がピクッと動き、
「え!お寿司!?」
と言って振り向き、目を輝かせる。
「それは嬉しいね。あたしや貞彦さんもだけど、椿は特にお寿司が大好きなんだ」
「ウニが入ってる特上がいいです!」
「子供なのに随分高い物が好きなんだね・・・・・・まあいいけど」
「よかったね椿!」
「うん!」
「ふふ・・・・・・じゃあ、明日に備えて今日は特上寿司を存分に味わっておくれ!」
「はい!ありがとうございます!」
「婆ちゃん、さっきは家を飛び出してごめんなさい!」
椿は梅に深々と頭を下げた。
「けどやっぱり、後悔しても獏を探したい!でも、あたしはまだまだ弱いのも確かだから、今まで以上に魔法の稽古をつけてほしい。お願いします!」
梅は椿をじっと見て、息を吐いた。
「あたしも頭ごなしに反対して悪かったね。ごめんよ」
梅が頭を抱え、考え込む。
「──わかった!あたしの稽古と課題をクリアできたら、獏探しを認める!それでいいかい?」
「うん!」
「じゃあ、明日からビシバシ行くからね!」
「うん!」
二人が話をしていると、丸夫が少し考え込む。
「椿?」
「なんですか?丸夫さん?」
「今って秋休みだっけ?」
「はい!昨日入ったばかりで
あと一週間ほどあります」
「そっか」
丸夫が考え込む。
「なあ、梅?」
「なんだい?変態!」
「変態は余計だ。その椿の稽古と課題に関してなんだが、六日以降ではだめか?」
「どうしてだい?」
「・・・・・・これは椿がよければなんだけど、明日から六日間で獏探しに役に立ちそうな僕の魔法を叩き込めるだけ教えたいと思うんだ」
「あんたがかい?どういう風の吹き回しだい?っていうか仕事は?」
「さっきの詫びの一つさ・・・・・・あと仕事の方は大丈夫。今、有休を取っていてあと一週間は休める──でどうだい?」
「・・・・・・あたしはかまわないけど、どうする椿?」
梅は椿に尋ねる。
「ん~」
「もちろん、君が嫌なら断ってもかまわない」
「・・・・・・いえ!むしろお願いします!」
「そうかい。じゃあ、明日からよろしくね」
「はい!」
丸夫と椿が話をしていると、奥から声がした。
「梅さーん」
梅が後ろを向くと咲が箒に乗ってやってきた。
「咲ちゃんも来たのかい?」
「ええ、梅さんが物凄い勢いで飛び出して行ったので心配で・・・・・・父さん!?」
「来たか。娘」
「話すと少し長くなるんだけど──」
梅が先程、あったことを咲に話す。
「じゃあ、途中妙な魔力を感じるって慌ててどっか行ったのは・・・・・・」
「嘘だ。実際は梅に似た魔力を感じたから、もしかしたらと思って行ったんだ」
「じゃあ、なんでそう言わなかったの?」
「だって、そんなこと言ったら一緒に行くというか止めるでしょ?」
「それはそうでしょうよ!父さんが何するかなんてだいたい想像つくし・・・・・・ってこんなこと言う前に」
咲が椿の前に行く。
「うちの父が大変失礼なことをして申し訳ありませんでした!」
深々と頭を下げた。
「いえ、あたしもいろいろと勉強になりましたし、丸夫さんからも謝罪はいただきましたから、そんな頭を下げないで下さい」
「そうだよ。咲ちゃんが悪いわけじゃないんだから・・・・・・ったくそれと比べて、丸夫ときたら・・・・・・」
「まあ、そう言わんでくれよ。その詫びも兼ねて明日から椿に魔法の稽古をつけるんだし」
「・・・・・・それもそうだね」
梅がため息をつく。
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「そんなつもりはない!真面目に稽古をつけるつもりだ!」
「ほんとに?」
「ああ」
「そう。わかった!でも、私は明後日から仕事だから、また私がいない時にあんなイタズラしたら・・・・・・梅さん!遠慮なくやっちゃって下さいね!」
と咲は梅に話し掛ける。
「ああ、その時は半殺しにしてやるから安心しな!咲ちゃん!」
「ちょっと梅~」
「はは、冗談だよ!丸夫」
「冗談に聞こえないって!」
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「なんだい?丸夫?」
「これも先程の詫びの一つとしてだが、夕飯は僕に奢らせてくれないか?出前を頼んでさ」
「ほお。何を奢ってくれるんだい?」
「そうだな・・・・・・じゃあお寿司なんかどうだ?」
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「それは嬉しいね。あたしや貞彦さんもだけど、椿は特にお寿司が大好きなんだ」
「ウニが入ってる特上がいいです!」
「子供なのに随分高い物が好きなんだね・・・・・・まあいいけど」
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「ふふ・・・・・・じゃあ、明日に備えて今日は特上寿司を存分に味わっておくれ!」
「はい!ありがとうございます!」
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