妖戦刀義

和山忍

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五話 希望の光

 数日後、申刻の一ツ時(十五時から十五時半)。

 風太が住む農村は田植えを終えていた。風太が座って休んでいると、

「お疲れ」

「ありがとう」

 咲が声掛けながら、水を渡す。

 風太は水を飲みながら、子供達が風車を口で拭いて回したり、竹トンボを飛ばしたりしてる姿があった。それを見て風太は咲に話し掛ける。

「オイラも名主さんに作ってもらったな」

「そうね」

「二人ともここにいたか」

 宗太が野菜と酒を入れた籠を背負って、二人に話掛ける。

「もう、祠に行くの?お父」

「ああ、暗くならない内に行こうと思ってな」

「うん、気をつけてね」

「ああ」

 風太は宗太を少しじっと見て、話し掛ける。
  
「オイラも一緒に行きましょうか?籠持ちします」

 風太が言うと宗太は、

「いや、大丈夫だ。ありがとな。それより、宴の準備の間、陽子さんの所にいてやれ」

 少し、嬉しそうに応えた。

「わかりました。ありがとうございます」

「じゃあ、行ってくるな・・・・・・そうだ、言い忘れてた。風太!」 

「はい?」

「もし、俺のいない時に陽子さんを治せる者が来て、佐吉が一緒じゃなかったら、手紙を預かってるはずだ。その手紙の最後に『火水木金土 佐吉より』と書かれるはずだ。そしたら、俺を待たずに陽子さんを治してもらえ」

「わかりました。ありがとうございます」

 宗太がお供えの野菜や酒を持って、祠へと行った。その間に村人は宴の準備をする。
 
 それから、約小半刻(約三十分)が経った。

「風太、母ちゃんはもう眠くなったから、寝るね、楽しいお話ありがとう」

「うん、わかった」

 陽子は眠り、風太は宴の準備をしようと外に出る。

「風太!」

 咲が風太に駆け寄る。

「どうしたの!?咲姉?」

「この家か?佐吉の妻がいるのは・・・・・・」

「はい」

「その人は?」

「わっちは九尾の玉穂だ。佐吉の妻の病気を治すためにここに来た」

「さっき、村の入口で声を掛けられたの」

「父ちゃんが見つけた病気を治せる妖怪・・・・・・」

「おまえが風太か?佐吉から話を聞いていたが・・・・・・食べちゃいたいくらいかわいいな」

 その言葉に咲はムッとする。玉穂はそれに気づき、

「冗談だ。すまない」

 申し訳なさそうな顔をして言った。風太はあたりを見渡し、玉穂に質問する。

「父ちゃんはいないの?」

「佐吉はまだ、こっちに向かってる途中だ。わっちは足が早いから、佐吉に早く行って治してやってくれと言われた」

「そうか、まだ、向かってる途中か・・・・・・でも、玉穂さん、本当に母ちゃんの病気本当に治せるんですか?川次郎さんが探して見つけた人魚でも治せないって言われたのに」

「ああ、もちろん・・・・・・そうだ、これ、名主か風太に渡して読んでもらえと言っていた」

 玉穂は手紙を渡す

「しかし、字なんか読めるのか?」

「昔は父ちゃんに平仮名、カタカナを。今は名主さんに漢字は教えてもらってるから多分大丈夫。もし読めないのがあったら咲姉に読んでもらう」

 風太は手紙を読み始める

『宗太もしくは風太へ

 ここにいる九尾の玉穂は、陽子の病気を治して貰う為に連れてきた。少し偉そうな話し方に少し笑えない冗談も言うが、悪い妖怪ではないと思う。現に私が膝をついて倒れかけ、それでも村に帰ろうとした時、身体の心配をして必死で止めてくれた。まあ、その後すぐに術で朝まで眠らされたが、そのお陰で身体の調子も良くなった。しかし、玉穂は元々悪さをし、封印術で妖力を封印されてた妖怪だ。宗太と風太は知ってると思うが、私は陰陽術が使える。だから、念の為、封印解除の前に使役術をかけた。もちろん、今もかかっている。もし、玉穂が人に危害を加えようとすれば、首と手首にある鎖の絵が締め上げ最悪、首がとれて死ぬ。だから、玉穂が危害を加えることはない。だから、すぐにでも治してもらってくれ

          火水木金土 佐吉より』

「この字は確かに父ちゃんだ。しかも、名主さんの言った『火水木金土 佐吉より』が書かかれてる。けど、鎖の絵か・・・・・・」

 玉穂の首を見る。そこから豊満な胸の谷間を凝視する。少し顔を赤くすると

「風太!」

 咲がそれに気づいたのか、風太の名を怒り気味に呼んだ。風太は身体がビクっとなり、

「えっ?あ、何?」

 咲の方に慌てて顔を向けた。

「もういい!それより陽子さんの病気治してもらおう!」

「うん・・・・・・わかった。玉穂さん、お願いします」

「ああ、任された!」

 風太は玉穂に希望の光を感じた。
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