妖戦刀義

和山忍

文字の大きさ
87 / 105

八十七話 川次郎の姉さん

「水希さんって人間なんですよね?」

「!」

 川次郎の目が一瞬大きく開いた。

 それを見た風太は、感に触ってしまったと思い、

「すみません!変な意味じゃなくて・・・・・・川次郎さんからは人間の娘と聞いてたのにさっきすれ違った時、妖気を感じたから・・・・・・」

 と焦りながら話す。

「・・・・・・そっか。風太も妖気を感知できるようになったんだね」

 と川次郎が穏やかに話す。

「まあ、それなりに近ければですけど」

「・・・・・・水希は人間だけど、風太と同じ妖力持ちさ」

「え!?」

「そういえば水希との出会いに関しては詳しく話してなかったね」

「・・・・・・はい」

「あれはだいたい五年近く前だったかな──佐吉が水希を連れて村に来たんだ」

「父ちゃん、この村に来てたの!?っていうか、なんで父ちゃんが水希さんと一緒に?」

「それに関しても含めて話すよ」

「はい」

「佐吉が言うには、水希は数十年前に旅へと出たオラの姉さんの連れだったらしい」

「川次郎さんって姉さんいたんですか!?」

「うん・・・・・・それで話は戻るけど、姉さんは旅の途中で背後から陰陽師にやられたんだ」

「え!?どうして陰陽師に!?」

「理由なんてない。妖怪を見たら善悪関係なく殺す・・・・・・そういう考えの奴だったらしい」

「なんだよ。それ・・・・・・」

「その陰陽師はあろうことか、妖怪と仲良くする奴は人間じゃないと言って水希も殺そうとしたんだ」

「はあ!?そんなめちゃくちゃな!」

「だろ?でも、そこに佐吉が現れて水希を助けたんだ」

「さすが父ちゃん!」

「佐吉は姉さんが心の臓をやられ助からないと知って、陰陽術で姉さんの妖力と一緒に記憶も読み取ったんだ」

「そんなことができるんですか!?」

「死にかけてる妖怪にだけできるらしい。しかもかなりの高度な術だそうだ」

「へぇ~」

「それで事の事情を知った佐吉はその陰陽師にお前に陰陽師を名乗る資格はないと言って陰陽術が使えないように封印術をかけたんだ」

「父ちゃんやさしいな・・・・・・オイラだったらその陰陽師をこれでもかっていうくらい殴ってたな・・・・・・」

「そうだね。オラだったら・・・・・・口では言うのも憚れるくらいに半殺しにして、治療しての繰り返しをやるかな・・・・・・」

 と言いながら、川次郎は冷酷な目つきになっていた

「川次郎さん?」

「ああ、ごめん。思わず・・・・・・」

 と言って川次郎は目つきが柔らかくなる。

「それで話の続きなんだけど、その陰陽師も術が使えなくなって慌てて逃げたらしい」

「いい気味だ」

「で・・・・・・姉さんは水希を自分の生まれた村に連れて言ってほしいと言って死んで消えたらしい」

「・・・・・・」

 風太の顔が険しくなる。

「でも、その後に佐吉が陰陽術で取っていた妖力を水希の体内に入れたんだ。もちろん水希の気持ちを聞いてね」

「それで妖力持ちになったんですね」

「うん」

「でも、川次郎さんの姉さんはなんで水希と一緒に旅してたんですか?」

「それなんだけどね。水希は元々何者かに壊滅させられた村の唯一の生き残りだったんだ」

「生き残り?・・・・・・」

「そう・・・・・・生きてたのが奇跡なくらい重症だったらしい。しかもそのせいなのか、水希も誰にやられたのかはっきり覚えてないらしい」

「・・・・・・そうなんですか」

 風太は思わず、玉穂と佐吉に村を壊滅させられたことを思い出す。

「姉さんは直ぐ様、水希を治療して治したんだけど、そのまま放って置くことができなかったんだね。だから、一緒に旅へと連れて行くことにしたんだ」

「そっか。姉さんも優しかったんですね」

「うん・・・・・・でも、優しかっただけじゃない!姉さんはオラなんかより腕っぷしも強かったんだ!さっきの陰陽師にだって、背後から不意打ちされなければ余裕で叩きのめしてただろうしね」

「・・・・・・そうなんですか。オイラも会ってみたかったな」

「・・・・・・」

 
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話