妖戦刀義

和山忍

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九十三話 馬鹿な娘

 結衣は滝の裏の洞窟から外へと出た。

 その際、結衣が水希を見る。

 裏の洞窟は水希のいる所から低い位置にあった。
 
 あの女、あたしに気づいてないようだね。

 結衣は背中から蜘蛛の足を出したまま、滝の前で膝を立てて座る水希に近づいた。

「ねえ?」

「ん?」

 水希が顔を上げる。

「!」

 水希はその場から立ち上がり、手を前に出して構える。

「そんな構えないでよ。あたしは絡新婦の結衣。敵じゃないよ」

「・・・・・・」  

 水希は結衣を警戒するようにじっと見る。

「よく考えてみてよ!敵がわざわざ声掛けて襲うような効率の悪いことすると思う?」

「・・・・・・それもそうね」

 水希は構えてた手をゆっくり下ろす。

「・・・・・・疑って悪かったわ。あたしは水希」

 ぷふっ。あっさり信じちゃったよ!なんて馬鹿な

「結衣さんはあたしになんの用で?」

「あたしね、昨日からあそこの滝の裏にある洞窟に寝泊まりしてんだ」

「え?」

 水希が滝を見る。

「あたしね、日本中を旅しててね・・・・・・ってまあ、その話はいいとして洞窟の中にいた時、水希から妖力を感じたんだ」

「ああ」

「水希は人間だよね?」

「・・・・・・うん」

「妖力は妖怪しか持ち得ない力なのになんで人間である水希が妖力を持ってるの?」

「・・・・・・これはね──」

 水希は自分が妖力持ちになった経緯を話した。

「へぇ~その佐吉っていう人が河童の川乃かわのの妖力をあなたに移したんだ・・・・・・」

「うん・・・・・・」

 なるほど、あの佐吉がそんなことをね~。

「佐吉って人も水希にとって恩人なわけだ」

「うん。だから、佐吉さんをどうしても助けたいんだ」

「助けたい?」

「そう・・・・・・玉穂とかいう九尾に非道なことをさせられてるの。だから玉穂から解放してあげたいんだ!」

「へぇ~ちなみにねえ──玉穂の仲間と戦ったりはした?」 

「ううん、してない。むしろお父に反対されてる」

「お父?」

「うん。河童でほんとのお父ではないんだけど、危ないからって許してくれないんだ」

「そうなんだ」

「でも、最近妖力持ちになった佐吉さんの息子に対しては反対どころか修行をつけてるんだ」

「!」

 佐吉の息子・・・・・・

「へぇ~ちなみにその佐吉の息子ってなんてなんて言う名前なの?」

「確か・・・・・・風太だと思った」

「そう、風太か。その風太は今までに何体の妖怪を殺してるの?」

「確か二体だと思った」

「そっか。風太はどんな妖術を使うのかな?」

「聞いた話では、多分風だったと思う」

「風か・・・・・・水希は何の妖術が使えるのかな?」

「あたしは水の妖術に治癒術も使えるけど」

「へぇ~すごいね・・・・・・」

「いや、そんな大したことじゃ──!」
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