妖戦刀義

和山忍

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九十六話 土を巻き散らした

 結衣は手をかざす。

 すると、手掌しゅしょうの蜘蛛のような口から糸を放った。

「!」

 その糸は風太の右足に張り付く。

 結衣はその糸で風太を引き寄せようとする。

 しかし、風太は風を纏わせた刀で糸を切った。

「!」

「風独楽!」

 風太は刀から風独楽を放った。

「また、それ?そんなの──!」

 風独楽はゆっくり地面を刳り進みながら、土を巻き散らした。

「くっ!」

 結衣は目を両腕で覆いながら、風独楽から左横へと避ける。すると、

「!」

 風蜻蛉が自分に近づいてくるのを感じ、さらに左横へと避けた。

 風独楽と風蜻蛉が消えたのに気づき、腕を覆うのをやめる。

 ・・・・・・なるほど、そういうことか。

 結衣が見たのは、風太が水希を糸の拘束から解放した所だった。

「ここはオイラに任せて水希さんは逃げて下さい!」

「待って!あたしも一緒に戦う!」

「駄目です!奴はこれまで倒した妖怪よりも強い!二人がかりでも倒せるかわかりません」

「だったら、尚更一人じゃ──」

「だから──」

 風太は耳打ちで水希に何かを伝える。

「・・・・・・わかった!」

 水希は手から水を放出し、手の平に収まるくらいの玉の形を作った。

「えっ何?もしかして、それで攻撃するつもり?ぷふっ」

 結衣は手で口を覆いながら笑う。

 水希は水の玉を両手で挟むように思いっきり叩く。

 すると水は爆散し、

「!」

 周りが見えなくなるほどの濃霧になった。

 風太の妖気はわかるけど、あの水希って女の妖気がわからない!

 結衣は周りに警戒しながら体勢を低くして、手に持っていた鍔のない刀を地面に置いた。

 そして体勢を低くしたまま、両手掌の口と後ろの蜘蛛の足から約一寸(約三.〇三センチメートル)の蜘蛛の糸を約二間(約三.六三六メートル)先の地面へと全方向に放つ。

 何もしないよりはマシだろ・・・・・・!

 結衣は風太の風蜻蛉が近づいてるのを感じとる。
 
 結衣は風蜻蛉を避ける。

 風蜻蛉の影響でか濃霧が晴れる。

 やっと晴れたか・・・・・・ん?

 結衣は約三間(約五.四六メートル)先にいる風太に目も向けず、周りをキョロキョロと見る。

「あの水希って女はどこにいる?」

「水希ならここにはいないぞ」

 やはり、逃がしたか。

「そうか・・・・・・まあいいや」

 結衣がそう言うと指を鳴らして、地面に張り付かせた蜘蛛の糸を消した。

「でも、よかったの?二人がかりだったらあたしに勝てるかもよ?」

「オイラが本気で戦ってたと思うか?」

「はっ?」
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