妖戦刀義

和山忍

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百三話 瞬戻の術

「ん?」

 水希がキョロキョロし始めた。

「どうした?水希?」

「なんか羽音のようなのが聞こえて──あ!」

 水希が空を見て叫ぶ。

 風太達もそれに釣られ空を見た。

「空雄さん!?」

 空雄が地面へと降りる。

「空雄さん⁉どうしてここに・・・・・・?」

 風太が空雄の後ろを見る。

「夏海さん!?」

「風ちゃん、川次郎、ごめんね。私も来ちゃった」

 と夏海が笑顔で言った。

「別に構わないけど・・・・・・」

「オラも人のこと言えた義理じゃないし・・・・・・」

 川次郎がチラッと風太を見る。

「お義母さん、水希、ひさしぶり!元気してた?」

 と夏海が川美と水希に両手で手を振りながら近づいた。

「元気してたよ。ほんとしばらくだね」

「あたしも元気してたわ。お義母かあ

「そう、ならよかった」
 
 と笑顔で答える。

「それでなんで空雄さんと夏海さんがここに?」

 風太が訊ねる。

「ああ、実はな康男があることを思い出してな」

「あること?」

「そう。その話を聞いたら夏海がこの村も大丈夫か不安になってな」

 空雄が夏海を見る。

「そんな不安になるような話だったの?」

「そうなの風ちゃん!前に風ちゃんが玉穂と佐吉さんが一瞬でその場からいなくなった話をしたでしょ?」

「はい」

「それね、瞬戻しゅんれいの術っていう瞬間的に前いた場所に戻れる術らしいのよ」

「え!」

「康夫が言うにはね。自分と同じくらいもしくはそれ以上の大きさの岩や木などに妖力を込めて置いて、そこから約二十里(約七十八キロメートル)圏内であれば、人差し指と中指を立ててその場所に戻ることを願えば戻れるんだって」

「・・・・・・そうなんだ」

「その話を聞いてね。ないとは思うんだけど、この村にも玉穂もしくはその仲間が近くの岩や木にその仕掛けをしてないか確認したかったのと川美さん達に伝えたくて」

「そっか・・・・・・って夏海さん、ごめん!空雄さんに頼みたいことがあるんだ」

 風太が空雄の方を見る。

「なんだ?」

「実は──」

 風太は先程の出来事を空雄と夏海に話した。

「なるほど、そんなことがあったのか・・・・・・」

「ちょっと!その絡新婦許せない!というより水希は大丈夫なの!?糸を巻きつけられた上に蹴られたって!?」

「大丈夫。お父に治してもらっ・・・・・・うような傷ではなかったから!」

 水希が夏海の目を凝視する。

「今、明らかに治してもらったと言いそうになって言い直してたわよね!?」

 夏海が鬼気迫る顔で水希の両肩を掴んで訊ねる。

 風太はそんな夏海と水希の様子を見るが、直ぐに空雄の方を向いて、

「それでまずなんだけど、刀の場所を感知の方法を教えてほしいのとその場所がわかったらそこに連れて行ってほしいんだ」

 と真剣な顔で頼んだ。

「わかった。感知の方法は康夫から瞬戻の術と一緒に話を聞いた。人差し指と中指を立てながら目をつぶって頭の中で刀の場所はどこにあるか的なことを思えばいい」

「うん。わかった」

 風太は人差し指と中指を立てながら目をつぶる。

 オイラの刀、今どこにある?・・・・・・・・・・・・・・・

 風太の頭の中でここから北へ遠く遠くまるで自らが行ってるような感覚に陥る。

 なぜかはわからないけど、どの方角でどのくらいの距離なのかもわかる。なんか不思議な感覚だ・・・・・・・・・!

「あった!ここから北に約十三里(約五十.七キロメートル)あたりから刀の妖気を感じる!」

 風太は刀の妖気を感じる方角を指さして言った。

「よしわかった。俺に乗れ!」

 空雄が風太に背中を向ける

「ありがとう」

 風太は空雄の背中におぶさる。

「空雄、風ちゃん!ちょっと待った!」

 空雄と風太が夏海の方を向く。
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