背も胸も小さい仁奈の婚活物語

和山忍

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十三話

「映画、面白かったですね」

「そうですね」

 と二人が永戸駅構内を歩きながら会話をする。

「今さらですけど、周助さんって休みもスーツなんですね」

「そうですね。呼び出された際、そのまま現場に行けるように汚れるような作業をしない限りは外に出かける時は基本スーツですかね」

「なるほど。刑事の仕事も大変ですね」

「そうですね。けど、人の笑顔を守れる仕事なので、苦ではありません」

「そうですか。お昼はどうしますか?」

「そうですね──」

 スマホのバイブ音が鳴る。

「もしや・・・・・・はい風間です」

 周助がスマホに出て、会話を始める。

 周助はスマホの通話を切る。

「すみません。事件が起きたようで・・・・・・」

「大丈夫ですよ。気にしないで下さい」

「じゃあ現場に向いますので、これで失礼します。今日は楽しかったです」

「こちらこそ楽しかったです。気を付けて行って下さい」

「ありがとうございます」

 そう言って周助はその場から走り去る。

(刑事さんは大変だな・・・・・・)

 と思いながら、仁奈は周助を見送るように手を軽く振る。

(ん~どうしようかな?お昼)

 と仁奈は駅構内を見渡す。

 駅構内には本屋、パン屋、カフェ、ハンバーガー屋などのお店があった。

(ん~迷うなぁ)

 と思ってると、何かが胸に当たる。

「つめたっ!?」

 仁奈の長袖上着にコーヒーが付着する。

「あ!?ごめんなさい!」

 茶髪の女性はハンカチを取り出し、仁奈の胸部分を拭く。

「このままじゃあシミになっちゃうかも・・・・・・どうしよう!?」

 茶髪の女性は右手にハンカチ、左手に缶コーヒーと肘に買い物袋をかけて、周りを見渡す。

「そんな気にしなくて大丈夫ですよ」

「いや、でも・・・・・・あ!」

 茶髪の女性は肘にかけてあった買い物袋を見る。

「こちらに来てもらっていい?」

「え!?」

 と仁奈の手を引っ張る。

 そして、仁奈が連れて来られたのはバリアフリートイレであった。

 バリアフリートイレの中に入ると、茶髪の女性は仁奈を座らせ、

「脱がせるね」

「え!?」

 茶髪の女性は仁奈の上着を脱がせた。

 すると、仁奈の白い肌と青いブラジャーが露わになった。

 仁奈は頬を赤くして胸元を両手で隠す。

 茶髪の女性は買い物袋ごと、仁奈に渡して、

「この中に服が入ってるから、着替えて!」

 そう言うと汚れた服を持って手洗い場に向かう。

「でも、これラッピングされてますけど──」

「そんなの気にしなくていいから」

 と茶髪の女性は汚れた服を洗いながら言った。

「分かりました。ありがとうございます」
 
 仁奈はラッピングされた包み紙をとって、服を出した。

 仁奈は黒のフード付き長袖を着る。

 仁奈は服を洗う茶髪女性の隣に行った。

 それに気づいた茶髪女性が仁奈の着た服を見る。

「よかったわピッタリで。親戚の子に買ったプレゼントだったから心配だったの」

 茶髪の女性は服を水洗いしながら、安堵する。

(子供用の服を着れるあたしって・・・・・・)

 と落ち込む仁奈。

「ある程度は落ちたけど、ここでは完全に落ちないか・・・・・・」

 水洗いしてた仁奈の服を見る。

「いいですよ。これだけやってくれれば十分です」

「でも・・・・・・」

「大丈夫ですよ。ありがとうございます」

 と仁奈は笑顔で言った。

「わかったわ。じゃあ、その服は差し上げるわ」

「え!?これって親戚の子に買ったものですよね!?さすがにこれを貰うわけには──」

「いいの。いいの。それはまた買えばいいし。お詫びの品ってことで受け取ってほしいの」

「・・・・・・分かりました。ありがとうございます」

 しばらくして──永戸駅の改札口前

「今日はごめんなさいね。服を汚しちゃって」

「いえ、大丈夫です。でも、いいんですか?ほんとにこの服もらっちゃって?」

「うん。大丈夫よ。それより、私は渡瀬希奈。連絡先を交換しない?こうして会えたのも何かの縁かもしれないし」

「そうですね。あたしは夏山仁奈です。よろしくお願いします」

 仁奈は希奈と連絡先を交換した。

「それじゃあね」

「はい、さよなら」

 希奈はその場から立ち去る。

 仁奈は手洗いした服を入れた買い物袋も持ちながら、改めて黒のフード付き長袖を見る。

(なんだか得した気分)

 と思いながら仁奈は微笑む。
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