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四十一話
「ん?」
仁奈が目を覚ます。
「おはよう。仁奈ちゃん」
と横になっていた希奈と目が合う。
「・・・・・・おはよう。なにやってるの?」
「仁奈ちゃんの寝顔を見てたの。ふふ」
「・・・・・・そう」
(なんだかもうこんなことぐらいじゃ動じなくなってるな。あたし)
すると、突然仁奈のお腹の音が鳴る。
「!」
「仁奈ちゃんのお腹は限界のようね。ふふ」
「・・・・・・」
仁奈がお腹を押さえて、頬を赤らめる。
「どうする?わたしの作った料理を食べるのは嫌かしら?」
「それは・・・・・・」
さらに仁奈の腹の音が鳴る。
「・・・・・・食べる」
「じゃあ、温め直すから待ってて」
と言って台所に行く。
それから数分後──
「いただきます」
仁奈がシチューを食べる。
「どうかしら?」
「不味くはないけど、何か物足りない感じはする」
「やっぱりね」
「ん?」
「そのクリームシチューはね。母のレシピを元に作ったのだけれど、なぜか物足りない感じがするの」
「・・・・・・」
「私の父も母のレシピを元にいくつか料理を作ったんだけど、どれもが物足りない感じでね。だから、私らにも作らせたんだけど、それでも駄目だった。その度に父はちゃぶ台ひっくり返して暴れていたわ」
(そういえば、昨日そんな話をしていたな)
「わたしね。こう見えてもケーキ屋以外にも株とかでかなり稼いでるの。だから、そのお金でいろんな料理を食べたりしてたの。最初はそれで満足してたんだけど、段々に満足できなくなってきてね。いくら美味しい料理を食べても心が満たされなくなったの」
「・・・・・・」
「そんな時にね、仁奈ちゃんを見かけたの。驚いたわ。完ぺきというわけじゃないけど、顔と背の大きさがほぼそっくりでね。でも、胸は妹のほうがワンランクあったかしらね」
(つまり、Bはあったと・・・・・・)
「その時に仁奈ちゃんの跡をこっそりつけて食堂をやってることを知ったの。それで監禁の計画をそこから立てたの」
(見かけてすぐに監禁しようと考えてたの・・・・・怖いなこの人)
「まずは仁奈ちゃんと知り合いになりたくて、偶然を装う為に服を買って、コーヒー持って食堂近くに行こうとしたんだけど、駅の構内で歩いてる仁奈ちゃんを見つけてね。これはチャンスと仁奈ちゃんにわざとぶつかったの」
(周助さんと別れてすぐか。それと親戚の子にあげるというのは嘘だったのね)
「ほんとは服を汚したのを理由に家に上がり込んで、こっそり盗聴器を仕掛けるつもりだったんだけど、まあトイレでチラッとだけど、仁奈ちゃんの下着姿を見れたからまあいいかって思って、盗聴器を仕掛けるのを諦めたの」
(危なっ!下着見られたのはあれだけど、盗聴器仕掛けられなくてよかった!)
「でもね、車に発信器はつけられたから、それで水族館からビュッフェまで跡をつけることができたの」
「発信器!そんなのつけてたの!?」
「うん。けど、もう外しちゃった」
「そう・・・・・・」
(もし、まだ発信器ついてたなら、それをきっかけに事件に巻き込まれたと警察が判断して捜査してくれたかもしれないのに・・・・・・)
「ついでに言うと、私ね、動物園や居酒屋でも跡をつけてたのよ」
「え!?」
「けど、一緒にいた男の人が私を何度か見てるようだったから、居酒屋で跡をつけるのをやめたの」
「・・・・・・そう」
(茂さんのおかげで最後まで跡をつけられずに済んでいたのか)
「って、ごめんなさいね。話がそれちゃって」
「別にかまわないよ。ごちそうさま」
テーブルにスプーンと空になったお椀を置く。
(それにしても、これってなんだか昔、あたしがお父さんのレシピを元に作った時となんか似てる・・・・・・あ!)
「片付けるわね」
仁奈が使ったお椀とスプーンを下げる希奈。
「ねえ、お姉ちゃん」
「何、仁奈ちゃん?」
「そのお母さんのレシピって今でも持ってるの?」
「持ってるけど、それがどうしたの?」
「もしかしたら、そのレシピを元にお姉ちゃんを満足させられる料理を作れるかもしれない」
「・・・・・・へ?」
と希奈が仁奈のほうを振り向く。
仁奈は真剣な眼差しで希奈を見る。
「ぷっ・・・・・・ははははは」
希奈が突然に笑い出す。
「仁奈ちゃんが私を満足させられる料理を作る?しかも母のレシピを元に?」
「うん」
「馬鹿なことを言わないで!かなり腕のいい料理人だった父でさえ、母のレシピを元には物足りない料理しか作れなかったのよ!」
「絶対とは言わない!けど、作れるかもしれない!だから、あたしにお母さんのレシピを元に料理を作らせて!その代わり、満足できる料理だったら、あたしを監禁するのをやめて、今後人様に迷惑を掛けるようなことはしないで!」
「・・・・・・それは今後人様に迷惑を掛けるようなことはしないでというのは犯罪及び倫理的に問題のあることをするなってことかしら?」
「うん!」
「・・・・・・いいわよ!その代わり、作れなかった時は私の気が済むまで今よりも拘束を多くして、自由を奪うわ。その間はお風呂やトイレも使わせない。私が全介助して、仁奈ちゃんの身体を隅々まで見てあげる。それでいいかしら?」
「それでいいよ」
「決まりね」
仁奈が目を覚ます。
「おはよう。仁奈ちゃん」
と横になっていた希奈と目が合う。
「・・・・・・おはよう。なにやってるの?」
「仁奈ちゃんの寝顔を見てたの。ふふ」
「・・・・・・そう」
(なんだかもうこんなことぐらいじゃ動じなくなってるな。あたし)
すると、突然仁奈のお腹の音が鳴る。
「!」
「仁奈ちゃんのお腹は限界のようね。ふふ」
「・・・・・・」
仁奈がお腹を押さえて、頬を赤らめる。
「どうする?わたしの作った料理を食べるのは嫌かしら?」
「それは・・・・・・」
さらに仁奈の腹の音が鳴る。
「・・・・・・食べる」
「じゃあ、温め直すから待ってて」
と言って台所に行く。
それから数分後──
「いただきます」
仁奈がシチューを食べる。
「どうかしら?」
「不味くはないけど、何か物足りない感じはする」
「やっぱりね」
「ん?」
「そのクリームシチューはね。母のレシピを元に作ったのだけれど、なぜか物足りない感じがするの」
「・・・・・・」
「私の父も母のレシピを元にいくつか料理を作ったんだけど、どれもが物足りない感じでね。だから、私らにも作らせたんだけど、それでも駄目だった。その度に父はちゃぶ台ひっくり返して暴れていたわ」
(そういえば、昨日そんな話をしていたな)
「わたしね。こう見えてもケーキ屋以外にも株とかでかなり稼いでるの。だから、そのお金でいろんな料理を食べたりしてたの。最初はそれで満足してたんだけど、段々に満足できなくなってきてね。いくら美味しい料理を食べても心が満たされなくなったの」
「・・・・・・」
「そんな時にね、仁奈ちゃんを見かけたの。驚いたわ。完ぺきというわけじゃないけど、顔と背の大きさがほぼそっくりでね。でも、胸は妹のほうがワンランクあったかしらね」
(つまり、Bはあったと・・・・・・)
「その時に仁奈ちゃんの跡をこっそりつけて食堂をやってることを知ったの。それで監禁の計画をそこから立てたの」
(見かけてすぐに監禁しようと考えてたの・・・・・怖いなこの人)
「まずは仁奈ちゃんと知り合いになりたくて、偶然を装う為に服を買って、コーヒー持って食堂近くに行こうとしたんだけど、駅の構内で歩いてる仁奈ちゃんを見つけてね。これはチャンスと仁奈ちゃんにわざとぶつかったの」
(周助さんと別れてすぐか。それと親戚の子にあげるというのは嘘だったのね)
「ほんとは服を汚したのを理由に家に上がり込んで、こっそり盗聴器を仕掛けるつもりだったんだけど、まあトイレでチラッとだけど、仁奈ちゃんの下着姿を見れたからまあいいかって思って、盗聴器を仕掛けるのを諦めたの」
(危なっ!下着見られたのはあれだけど、盗聴器仕掛けられなくてよかった!)
「でもね、車に発信器はつけられたから、それで水族館からビュッフェまで跡をつけることができたの」
「発信器!そんなのつけてたの!?」
「うん。けど、もう外しちゃった」
「そう・・・・・・」
(もし、まだ発信器ついてたなら、それをきっかけに事件に巻き込まれたと警察が判断して捜査してくれたかもしれないのに・・・・・・)
「ついでに言うと、私ね、動物園や居酒屋でも跡をつけてたのよ」
「え!?」
「けど、一緒にいた男の人が私を何度か見てるようだったから、居酒屋で跡をつけるのをやめたの」
「・・・・・・そう」
(茂さんのおかげで最後まで跡をつけられずに済んでいたのか)
「って、ごめんなさいね。話がそれちゃって」
「別にかまわないよ。ごちそうさま」
テーブルにスプーンと空になったお椀を置く。
(それにしても、これってなんだか昔、あたしがお父さんのレシピを元に作った時となんか似てる・・・・・・あ!)
「片付けるわね」
仁奈が使ったお椀とスプーンを下げる希奈。
「ねえ、お姉ちゃん」
「何、仁奈ちゃん?」
「そのお母さんのレシピって今でも持ってるの?」
「持ってるけど、それがどうしたの?」
「もしかしたら、そのレシピを元にお姉ちゃんを満足させられる料理を作れるかもしれない」
「・・・・・・へ?」
と希奈が仁奈のほうを振り向く。
仁奈は真剣な眼差しで希奈を見る。
「ぷっ・・・・・・ははははは」
希奈が突然に笑い出す。
「仁奈ちゃんが私を満足させられる料理を作る?しかも母のレシピを元に?」
「うん」
「馬鹿なことを言わないで!かなり腕のいい料理人だった父でさえ、母のレシピを元には物足りない料理しか作れなかったのよ!」
「絶対とは言わない!けど、作れるかもしれない!だから、あたしにお母さんのレシピを元に料理を作らせて!その代わり、満足できる料理だったら、あたしを監禁するのをやめて、今後人様に迷惑を掛けるようなことはしないで!」
「・・・・・・それは今後人様に迷惑を掛けるようなことはしないでというのは犯罪及び倫理的に問題のあることをするなってことかしら?」
「うん!」
「・・・・・・いいわよ!その代わり、作れなかった時は私の気が済むまで今よりも拘束を多くして、自由を奪うわ。その間はお風呂やトイレも使わせない。私が全介助して、仁奈ちゃんの身体を隅々まで見てあげる。それでいいかしら?」
「それでいいよ」
「決まりね」
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