背も胸も小さい仁奈の婚活物語

和山忍

文字の大きさ
47 / 50

四十六話

 希奈は仁奈につけられていた拘束具を外した。

「あのオムライスと唐揚げのレシピに何を足したの?」
 
「ターメリックを入れたの」

「ターメリック?」

「そう。レシピを見た時、どちらにも黒胡椒や牛乳が書かれていたから」

「ん?黒胡椒と牛乳が書かれていたからってなんでターメリックなの?」

「ターメリックには脳のゴミを分解して促したり、関節などの炎症を抑える働きなどがあるの。さらに牛乳のような脂質と黒胡椒を加えると吸収率が上がる。それで調理関係の仕事をやってる人は頭も手も使うからピッタリだと思ったの」

「なるほど・・・・・・」

「あたしも昔、父さんのレシピ通り料理を作って、その時に何か物足りない感じがしたことがあったの。父さんに聞いたら、それは未完成だって言ってたんだ」

「未完成?」

「そう─」

 十年前──

「未完成?どういうこと?」

「そのレシピはな、いわば基礎なんだ」

「基礎?」

「そうだ。そこから客の好みに合わせて調味料や具材を変えて作るんだ」

「へぇ~」

「これは料理学校の先輩に教わったやり方でな」

「じゃあ、その人もどこかで料理人として働いてるの?」

「さあな。もう何十年も会ってないからな。今は何をしてるんだか・・・・・・」

 現在──

「って話をしてたの。それでレシピに合う調味料を調べて、その一つがターメリックだったの」

『あそこの店で唐揚げのニオイを嗅いだ。妻が作った唐揚げと全くではないが、それに近かった』

『ここで母さんと初めてあった。後輩が店をやってるとかでな』

 と希奈はふと慎之介の言葉を思い出す。

「そうなの」

 希奈は微笑む。

「私もケーキを作る時にターメリックは使っていたけど、まさかお母さんも使ってるとは思わなかったわ。どうして気付かなかったんだろ?」

 と希奈が下を向く。

「仁奈ちゃん」

「なに?」

感想 0

あなたにおすすめの小説

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

そこは優しい悪魔の腕の中

真木
恋愛
極道の義兄に引き取られ、守られて育った遥花。檻のような愛情に囲まれていても、彼女は恋をしてしまった。悪いひとたちだけの、恋物語。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。