24 / 36
【第2章】身の回りの未来予測
300年後の未来
しおりを挟む
N氏はボルトを閉めた。
タイムマシンが、ついに完成した。
まさに歴史的瞬間だった。
「ここ20年やり切った甲斐があった。」
涙ぐむN氏。
彼には目的があった。
恐竜や空飛ぶ車を、見たい等という、
ミーハーなものでは決してなかった。
未来の技術を持ち帰り、
食糧不足 地球温暖化 人口増加
現代の様々な問題を解決しようという、
崇高な目的。
そのために人生の20年、
いやもっとたくさんの時間を
研究に捧げてきたのだ。
生涯を捧げたと言ってもいい。
座席に乗り、年代をセットするN氏。
期待に胸を膨らませながら、
300年後と打ち込んだ。
3時間くらいたっただろうか。
地面に着陸し、ドアを開けたN氏の前に、
1人の男が立っていた。
「今日、あなたが来ることは
ずっと昔に分かっていました。
私が案内させていただきます。」
未来の国とはどんなものだろう。
ひとつでも多くのものを持ち帰ろう。
現代の皆んなのために。
N氏は興奮しながら男とともに、
周りを見て回った。
しかし、N氏の顔は、
次第に落胆へと変わっていった。
それもそのはず。どこを回っても、案内されても
300年前の現代と何も変わらない、
全く同じ街並み、生活スタイル。
服までも変わっていなかった。
電波塔のような高い塔の前に
差し掛かった時、男が立ち止まった。
N氏は、男に尋ねる。
「私はただでは帰れないんだぞ。
少なくとも、
タイムマシンを私が作ったのだから、
これから先の未来の技術も
いくらでも、盗めるのではないか。
なぜ皆変わらない暮らしをしているんだ。」
男は、答える。
「ええ、確かに技術は飛躍的に進みました。
しかしそれを野放しにしておいたところ
戦争 飢餓 食糧不足
結局、同じような問題が起こった。
なので、目の前に見える
この高い塔の中だけで、
個人ではなく、政府が厳重に
管理しているのですよ。」
N氏は青ざめた。
男がなぜ片時も離れず
案内してくれたのかが、
分かってしまったからだ。
塔の中で、
壊されたタイムマシンを見ながら、
幽閉されたN氏は、悲しんでいた。
そのうち私は死刑になるだろう。
せっかくの発明、虚しさが心を覆った。
しかし、
しばらく経って彼は笑い出した。
そう、タイムマシン等、必要なかったのだ。
この状況と現代は、何が違うのだろう。
アフリカの奥地の先住民は、
今でも300年前の暮らしをしている。
水道や水洗トイレでさえ、
2000年前のローマ時代には
すでに発明されていた。
しかし、農村部では、
いまだにバキュームカーが走っている。
つまり、みんなが同じ時代を生きている
という考えこそ、幻想に他ならない。
タイムマシンは、
ずっと昔から我々と共にあったのだ。
俺は無駄な事に20年を注ぎ込んだな。
そう思いながら、
翌日、N氏は絞首台への階段を昇り…
タイムマシンが、ついに完成した。
まさに歴史的瞬間だった。
「ここ20年やり切った甲斐があった。」
涙ぐむN氏。
彼には目的があった。
恐竜や空飛ぶ車を、見たい等という、
ミーハーなものでは決してなかった。
未来の技術を持ち帰り、
食糧不足 地球温暖化 人口増加
現代の様々な問題を解決しようという、
崇高な目的。
そのために人生の20年、
いやもっとたくさんの時間を
研究に捧げてきたのだ。
生涯を捧げたと言ってもいい。
座席に乗り、年代をセットするN氏。
期待に胸を膨らませながら、
300年後と打ち込んだ。
3時間くらいたっただろうか。
地面に着陸し、ドアを開けたN氏の前に、
1人の男が立っていた。
「今日、あなたが来ることは
ずっと昔に分かっていました。
私が案内させていただきます。」
未来の国とはどんなものだろう。
ひとつでも多くのものを持ち帰ろう。
現代の皆んなのために。
N氏は興奮しながら男とともに、
周りを見て回った。
しかし、N氏の顔は、
次第に落胆へと変わっていった。
それもそのはず。どこを回っても、案内されても
300年前の現代と何も変わらない、
全く同じ街並み、生活スタイル。
服までも変わっていなかった。
電波塔のような高い塔の前に
差し掛かった時、男が立ち止まった。
N氏は、男に尋ねる。
「私はただでは帰れないんだぞ。
少なくとも、
タイムマシンを私が作ったのだから、
これから先の未来の技術も
いくらでも、盗めるのではないか。
なぜ皆変わらない暮らしをしているんだ。」
男は、答える。
「ええ、確かに技術は飛躍的に進みました。
しかしそれを野放しにしておいたところ
戦争 飢餓 食糧不足
結局、同じような問題が起こった。
なので、目の前に見える
この高い塔の中だけで、
個人ではなく、政府が厳重に
管理しているのですよ。」
N氏は青ざめた。
男がなぜ片時も離れず
案内してくれたのかが、
分かってしまったからだ。
塔の中で、
壊されたタイムマシンを見ながら、
幽閉されたN氏は、悲しんでいた。
そのうち私は死刑になるだろう。
せっかくの発明、虚しさが心を覆った。
しかし、
しばらく経って彼は笑い出した。
そう、タイムマシン等、必要なかったのだ。
この状況と現代は、何が違うのだろう。
アフリカの奥地の先住民は、
今でも300年前の暮らしをしている。
水道や水洗トイレでさえ、
2000年前のローマ時代には
すでに発明されていた。
しかし、農村部では、
いまだにバキュームカーが走っている。
つまり、みんなが同じ時代を生きている
という考えこそ、幻想に他ならない。
タイムマシンは、
ずっと昔から我々と共にあったのだ。
俺は無駄な事に20年を注ぎ込んだな。
そう思いながら、
翌日、N氏は絞首台への階段を昇り…
10
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
