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人類火星移住計画

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K氏は急いでいた。
彼は設計士。
急いでここに基地を建設せねば。



20✖︎✖︎年、気候変動に伴い、
地球表面上に人類の住めるスペースは
どんどん狭くなっていた。

氷河期に伴う、瞬間凍結。
異常気象もまた、依然として続き、
水不足、資源の不足、人口飽和。

必要に迫られた人類は、
火星への移住を決断する。

臨時国債が発行され、
皆買わざるを得なくなった。

工場があちこちに建てられ、
国をあげて、
皆、基地建設ために全力を注ぐ。

生きるか死ぬかがかかっているのだ。
生ぬるいことは言ってられない。



基地の建設は20年で終わった。

かかった時間は、計画の半分で済んだ。
必要に迫られた技術の革新は凄まじかった。

火星表面上に、植物を維持する装置。
また、生存できる植物、動物。
このようなものが次々と開発され、
送られて来た。






これで、人類は救われた。
安心したのも束の間。

悲しいことに、許容量の半分で
地球からの移住者は途絶えてしまった。

なんということだ。
間に合わなかったのだ。
基地は完成したというのに。

技術があれだけ早く進歩したのだ。
それだけ必要に迫られていたのだろう。
K氏達は犠牲になった地球の人たちを思い、
黙祷を捧げ、像を立てた。



一方、その頃の地球。
火星移住がストップしたのは
人類が滅亡したからではなかった。

可哀想なので、
火星に連絡がいってないだけ。

技術は革新を遂げたのだ。

氷河期、異常気象、
水不足、資源の不足、人口飽和

この程度の
地球表面上の環境を
変えることなど、もはや容易く、
最初から
むしろそのために計画されたといっても…

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