【新作】1分で読める! SFショートショート

Grisly

文字の大きさ
30 / 82

幽霊島【怪談】

しおりを挟む
私は心霊研究家。


日本全国の心霊スポットを、調査して回っている。

今回は、耳寄りな情報を聞きつけた。

ある小さな島の集落は、
出ていく人もおらず、入っていく人もおらず、
全く情報が外に出ない不思議な所らしい。

こういう場所にこそ、
奇妙な風習と、心霊現象があるはずだ。

私は浮かれていた。




特別に渡し船をチャーターし、
島へと向かう。

船頭が忠告した。


「お客さん、悪い事は言わない。
 あの島だけは辞めておきなさい。
 上陸したら最後、出られないよ。

 どうしてもというなら、
 途中まで行くから、降りて泳いで行ってね。」




私が泳いでたどり着いた頃には、
もう日が暮れていた。

すると、15人くらいの村人達が
ご飯を振舞ってくれたのだ。

「遠いところから、よく来たねえ。
 はい、この島では鯛がよくとれるのだよ。
 お腹いっぱい食べてね。」

どんな村かと正直、怯えていたが、
馴染みの食べ物が出てきて安心した。
村人達も温かく、良い人そうだった。





世間話等をし、たくさんお酒も飲んで、
そろそろ眠りに着こうかと思った時、
足元に何やらうごめく黒い影が見えた。

村長が言った。

「いけない、そいつは幽霊だ。
 新しく来た者に取り憑いてしまう。
 さぁ、この棒で叩きのめしなさい。」

私は、村長の持っていた
何やら魔力の高そうな棒で、
黒い影を動かなくなるまで打ち尽くした。





問題の全てが分かったのは、
明るくなってからだった。

私が昨日の現場を見に行ってみると、
そこには血だらけの男が倒れていた。

「これはいけない。死んでるじゃないか。
 さては、私をはめたな。」

パニックになり、泣き叫ぶ私。


すると、村長が答えた、昨日と変わらない笑顔で。

「違う違う、全く違うぞ。
 君は確かに幽霊を倒したのだ。
 皆も見ていたはずだ。
 明らかに幽霊だった。」

頷く村人達。


まだ落ち着けない私。

「そんなはずない、どう見たってこれは…」


村長は言った。

「これは、明らかに幽霊だ。
 皆が見た事は本当だぞ。
 しかし、これが人間に見えるというなら、
 君こそが幽霊なのではないかね。」




私は口を閉ざすしかなかった。
何と言う事だ。
本当にこの島から出られなくなった。


魔女狩り、マヤ文明の生贄、ギロチン、
縛首、打ち首…

「儀式」とは長らく、人間、
ひいては生物達の団結を培ってきた物だが、
まさしく、これ。この儀式こそが、本質なのだ。
最も原始的で、単純で、強力な物だろう。

共犯者になってしまった今、
これがどれ程の力を持つか、理解したが、
もう戻る事は出来ないのだ。


思えば、「儀式」に限ったことではない。
会社、学校、家族、兵隊、部隊、班…
ありとあらゆる集団は
大なり小なりこのような事で結束を高めている。



そこまで考えて、ようやく気づいた。

あの船頭、知りすぎている。
きっと彼も仲間に違いない。

もっと言えば、今回の情報源も怪しい。

都合よくスカウトしてきて、
仲間を増やす、人事班があるらしい。
個人の能力に合わせて。

最初から仕組まれていたのだ。
果たしてどこからだろう。

もう辞めておこう。
考えれば考える程、抜け出せなくなるのだから。



しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

【総集編】未来予測短編集

Grisly
SF
❤️⭐️お願いします。未来はこうなる! 当たったら恐ろしい、未来予測達。 SF短編小説。ショートショート集。 これだけ出せば 1つは当たるかも知れません笑

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【総集編】童話パロディ短編集

Grisly
ファンタジー
❤️⭐️お願いします。童話パロディ短編集

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...