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浦島太郎part3

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海岸警備隊が通りかかった。

子ども3人が、海亀をいじめている。


「おい、何をしている。辞めなさい。」

何とか辞めさせ、半殺し状態の海亀を救出。
海亀にはタトゥーが…
隊員たちは青ざめる。

「あ、おい。この印…
 これは、竜宮王国の亀じゃないか。
 大変な事になったぞ。」




数日後、
地上の国王が、愚かな子ども達を連れ、
竜宮王国を訪れた。

「今回の件、誠に申し訳なく思っている。
 犯人は見ての通りこの3人。
 この場で首を刎ねる。
 
 どうか穏便にすませてはもらえないだろうか。」



すると、竜宮王は落ち着きはらって答えた。

「それはいけない。
 どうか思い留まって下さい。

 地上と海底。
 私達の国の関係は良好ではないですか。

 未来ある子ども達だ。
 処刑してしまっては、国際法にも関わる。
 
 それに、竜宮城は新築したばかり。
 血で汚してもらっては困ります。

 両国の絆は固い。そうでしょう。
 もちろん私としても穏便に済ませたいのです。」



地上の国王、ほっと一安心。

「いや、そう言ってもらえるとありがたい。」






「しかし…」

竜宮王は続けた。
目が先ほどより鋭くなっている。

「困った事に、我が民はいきり立ち、
 私でもどうにも収拾がつかない。
 
 流石に半殺しにまでされてはね。
 民達は、納得できないでしょう。

 私達の友好の証を
 分かりやすく示さねばならない。

 貴方の国にまだ5つの王子がいたはずだ。
 直ちに竜宮王国へ連れてくるのはどうかな。

 いずれは彼と、私の娘を結婚させましょう。
 これで今回の件は丸く収まるはずだ。

 両国の末永い同盟関係に乾杯。」






地上の王。竜宮城からの帰途で嘆く。

「都合良く、人質を取られることとなった。
 私の息子を差し出さねばならぬとは。
 浦島太郎は、
 この国で果たしてうまくやれるだろうか…」



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