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マリーゴールド
第1話 黄金の匂いに誘われて
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フワッと甘いような、爽やかないい香りが風の中に混じっている。
グゥゥゥゥゥ。大きな音が響いた。
「腹、減ってきた」
黒髪オールバックにツンツン頭。おでこにゴーグルをつけている青年はウィリアムである。膝まであるコートを羽織り、革製のブーツは半分折り返して履いている。腰にはベルトを巻いており小刀が見えている。彼の背にはトレジャーハントに必要なものを詰めた大きなバックパックが見える。バックパックからはツルハシが飛び出ている。
「こんなにいい花の香りで食欲湧くのは君くらいです」
彼の横を歩く赤毛ショートカットの少女は学者のアインだ。地面につきそうなほど丈があるコートに身を包んでいる。ショートパンツに足首ほどの綺麗なブーツを履いている。彼女の体には少し大きな肩がけバックの中は長旅に必要なものが入っている。用意周到な彼女のコート裏には短剣や薬瓶がチラリと見えている。
帝都を出発して1週間、街道沿いに歩いて小さな川を越えると整備されていない道になっていった。その道を1週間歩いて、この小高い丘を越えれば花の町が見えてくる。
「匂いじゃ腹は膨れないからな、にしてもこんなところに伝説の黄金都市があると思うか?」
「ウィルも帝都で聞いていたじゃないですか」
ーー2週間前ーー
帝都のとある酒場
ガンッとコップを机に勢いよく置いてウィルは言った。
「今回も全くのハズレだったなっ」
「だから言ったじゃないですか!」
アインは不貞腐れた顔をして頬を膨らませている。
「そんなに不貞腐れるなよ、それに全部がウソだったわけじゃないだろ。」
ウィルはチャリンチャリンと小袋を振ってニヤついている。
アインが咄嗟に声を荒げる。
「盗んだの!?」
思わず大声が出てしまい慌てて手で口を塞いだ。
「おいおい人聞き悪いぞ、盗んだんじゃなくて宝がもしなかった時の保険としてもらっといたんだよ。」
数日前、黄金都市の在り処が書いてある地図を売っていた行商人がいた。
ウィルたちはその地図通りに進んだが、地図の場所には野原にポツンと黄金の都市と書いてある看板が立っていた。
「しかし、あの商人、口がうまかったなー」
「そんな簡単に人のことを信じてちゃこの先が思いやられますね…」
アインはやれやれと言わんばかりに首を傾げている。
「俺はあいつの話に想いを感じたんだよ」
「またそれですか。歴史上でも見つけた人は1人だけ、そんな簡単に見つかるわけないですよ。」
今回の仕事の話をしていると目の前に、注文していた料理が運ばれてくる。料理を置き終わった店主がニヤニヤと口を開いた。
「またダメでしたか、旦那たちは黄金って聞くと冷静さを欠くんだから。」
「しょうがないだろ」
口いっぱいに料理を頬張りながら返事をしている。店主は顔を近づけて小声で話した。
「ここだけの話、私も噂で聞いてね。北西にある花町に伝説の黄金都市が現れるってんでさ」
ウィルもアインも耳をそばだてた。
「なんでも、そこに住んでる爺さんが、黄金がどうだの女がどうだの言ってたらしくて」
「へー、花町ですか。でも、いくら店主の話でも……」
アインが怪訝な顔で返すと店主はすかさず話した。
「あっちの店主とは顔見知りでね、20年くらいの付き合いか……」
店主が腕を組んで思い出したようにウィルとアインを改めて見つめた。
「確かに、黄金を探している老人が町に住み着いたって話を聞いたんでさ。こいつはあっしの腕に自信をかけた情報だ、信じてくれよ!」
自信満々な顔で、たるんだお腹を叩いている。
店主の話を聞いたアインは納得した顔をしてウィルに話しかけた。
「店主のお墨付きなようですし、花町には世界中の花があると聞いたことがあります。まだ見ぬ花もあると思うと知識欲がそそられます。行ってみませんか」
ウィルは口に頬張った料理を飲み込む。
「花しかない町に黄金伝説がね……」
そう呟くとガンッとコップを机に置いた。
「よし!その爺さんと黄金都市探そう!」
ーー現在ーー
小高い丘を越えると少し遠いが美しい色とりどりの花が町を囲んで咲いているのが見えた。町の奥には象徴のような大きな木が一つある。
アインは町を見渡し、深く息を吸った。
「美しい景色だね、そしてこの花の香りが実にいいよ!」
「町だ!メ~シ~!」
駆け出すウィルに学者は釘を刺した。
「あ、待ってください!食事もですがご老人の話も聞いてくださいよ!」
走り出すウィルに言葉をかけアインも後を追った。
グゥゥゥゥゥ。大きな音が響いた。
「腹、減ってきた」
黒髪オールバックにツンツン頭。おでこにゴーグルをつけている青年はウィリアムである。膝まであるコートを羽織り、革製のブーツは半分折り返して履いている。腰にはベルトを巻いており小刀が見えている。彼の背にはトレジャーハントに必要なものを詰めた大きなバックパックが見える。バックパックからはツルハシが飛び出ている。
「こんなにいい花の香りで食欲湧くのは君くらいです」
彼の横を歩く赤毛ショートカットの少女は学者のアインだ。地面につきそうなほど丈があるコートに身を包んでいる。ショートパンツに足首ほどの綺麗なブーツを履いている。彼女の体には少し大きな肩がけバックの中は長旅に必要なものが入っている。用意周到な彼女のコート裏には短剣や薬瓶がチラリと見えている。
帝都を出発して1週間、街道沿いに歩いて小さな川を越えると整備されていない道になっていった。その道を1週間歩いて、この小高い丘を越えれば花の町が見えてくる。
「匂いじゃ腹は膨れないからな、にしてもこんなところに伝説の黄金都市があると思うか?」
「ウィルも帝都で聞いていたじゃないですか」
ーー2週間前ーー
帝都のとある酒場
ガンッとコップを机に勢いよく置いてウィルは言った。
「今回も全くのハズレだったなっ」
「だから言ったじゃないですか!」
アインは不貞腐れた顔をして頬を膨らませている。
「そんなに不貞腐れるなよ、それに全部がウソだったわけじゃないだろ。」
ウィルはチャリンチャリンと小袋を振ってニヤついている。
アインが咄嗟に声を荒げる。
「盗んだの!?」
思わず大声が出てしまい慌てて手で口を塞いだ。
「おいおい人聞き悪いぞ、盗んだんじゃなくて宝がもしなかった時の保険としてもらっといたんだよ。」
数日前、黄金都市の在り処が書いてある地図を売っていた行商人がいた。
ウィルたちはその地図通りに進んだが、地図の場所には野原にポツンと黄金の都市と書いてある看板が立っていた。
「しかし、あの商人、口がうまかったなー」
「そんな簡単に人のことを信じてちゃこの先が思いやられますね…」
アインはやれやれと言わんばかりに首を傾げている。
「俺はあいつの話に想いを感じたんだよ」
「またそれですか。歴史上でも見つけた人は1人だけ、そんな簡単に見つかるわけないですよ。」
今回の仕事の話をしていると目の前に、注文していた料理が運ばれてくる。料理を置き終わった店主がニヤニヤと口を開いた。
「またダメでしたか、旦那たちは黄金って聞くと冷静さを欠くんだから。」
「しょうがないだろ」
口いっぱいに料理を頬張りながら返事をしている。店主は顔を近づけて小声で話した。
「ここだけの話、私も噂で聞いてね。北西にある花町に伝説の黄金都市が現れるってんでさ」
ウィルもアインも耳をそばだてた。
「なんでも、そこに住んでる爺さんが、黄金がどうだの女がどうだの言ってたらしくて」
「へー、花町ですか。でも、いくら店主の話でも……」
アインが怪訝な顔で返すと店主はすかさず話した。
「あっちの店主とは顔見知りでね、20年くらいの付き合いか……」
店主が腕を組んで思い出したようにウィルとアインを改めて見つめた。
「確かに、黄金を探している老人が町に住み着いたって話を聞いたんでさ。こいつはあっしの腕に自信をかけた情報だ、信じてくれよ!」
自信満々な顔で、たるんだお腹を叩いている。
店主の話を聞いたアインは納得した顔をしてウィルに話しかけた。
「店主のお墨付きなようですし、花町には世界中の花があると聞いたことがあります。まだ見ぬ花もあると思うと知識欲がそそられます。行ってみませんか」
ウィルは口に頬張った料理を飲み込む。
「花しかない町に黄金伝説がね……」
そう呟くとガンッとコップを机に置いた。
「よし!その爺さんと黄金都市探そう!」
ーー現在ーー
小高い丘を越えると少し遠いが美しい色とりどりの花が町を囲んで咲いているのが見えた。町の奥には象徴のような大きな木が一つある。
アインは町を見渡し、深く息を吸った。
「美しい景色だね、そしてこの花の香りが実にいいよ!」
「町だ!メ~シ~!」
駆け出すウィルに学者は釘を刺した。
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