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ジョブってそれまでの人生反映されてますよね
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「ウソつきっ!」
会っていきなりのウソつき呼ばわりは心外です。
「何がです?」
「パーティ全員レベル5だったらアポロ倒せるって言ったじゃん!」
「はい、言いました」
「なのにあのちっこい妖精すら倒せないじゃん!」
パーティ総出で非戦闘員のメイルさんに勝てないのならアポロさんには絶対勝てません。
「あのね、色々言いたいことあるんですが、まずメイルさんはメッセンジャーなので戦わないで下さい」
「勝てそうだったから…」
「勝てませんでしたけどね!」
この人今までどうやってレベル上げたんだろう?
「で魔王、今日はなんなのさっ!」
いらだってますねぇ。
「えっと…今日はパーティの編成についてお話があります」
ちょっと、『また始まったよ…』みたいな顔するのやめて下さい。
「ちゃんと男2、女2にしたじゃん!」
「ジョブがおかしい、というお話です」
「なんで?ギャンブラー、踊り子、占い師。いいじゃん!」
「その職種にした理由はなんですか?」
「だってさぁ、考えても見てよ。戦闘能力が高い職種に魔法使いに僧侶って、『ザ・普通』じゃん!そんなのつまんないよ」
確かに私も「あ~、またかぁ」とは思いますよ?
けど普通って1番バランスが取れてるんです!
だからみんながそのパーティ組むから普通なんです!
「どうしてギャンブラーなんですか?」
「当たったらデカいじゃん」
「ほぼ当たりませんよ?」
「違うよ~。そういうロマンが欲しいの!戦闘に!」
「踊り子は?」
「衣装」
それは、まぁ、私も強くは否定できません。
「じゃあ占い師は?」
「あ~、まぁぶっちゃけて言えば雰囲気。けどこないだご飯食べる時口元隠してる布外したの見たんだけど…」
「出っ歯でした?」
「しゃくれてた」
ちょっとだけ、嫌ですね。
「とりあえずアポロさん倒したいのなら今のパーティは解散です」
「え~、せっかくレベル5まで上げたのにぃ?」
「しゃくれ女占い師と長く旅を続けられるんですか?」
「自信ない。わかった、解散する」
決断が早いですね。
「で、私からのオススメはまず剣闘士ですね」
「なんかゴツゴツした男とずっと一緒に旅すんのやだな~」
「誰が男性だと言いました?」
キラッとエルさんの目が光りました。
「女の、剣闘士…。なんか響きだけでコスチュームがエロい!」
「上はゴーンとした強靭な鎧なのに下は太もも露(あら)わとか、良いですよね?」
「決定!1人目は女剣闘士!」
「性格キツイから気をつけて下さい。次は黒魔術士です。これは間違いなく男性をオススメします」
ですが私の提案にエルさんはあまり良い顔をしませんでした。
「魔王、なんかさ、黒いローブに顔に刺青あしらってて普段口数少ないのに戦闘では活躍する男って…俺よりカッコよくない?」
甘いですね。
「パーティ内恋愛イベントが発生するという前提でお話ししますけど、たとえ黒魔術士さんがカッコよくても絶対に女性はエルさんを選びます」
「なんで!?」
「だって黒魔術士になるくらいですよ?絶対性格暗いに決まってるじゃないですか!休日はトカゲとかカエル捕まえて鍋でグツグツ煮るんですよ?キモいですよね~。普段聞いてる音楽もきっと中島みゆきですよ。無口なのだってアレ絶対ただのコミュ症ですって。詠唱だってブツブツ言ってるからよく聞こえないですけど、多分半分以上は愚痴だと私思ってます」
ものすごい勢いでエルさんがうなづいてました。
「私400年魔王してるから色んな人と会いましたけど社交的な黒魔術士なんて見たことないです。確かに最初はそんな怪しい雰囲気に女性はコロッといきますが、デートでカエル捕まえたりしてたら100年の恋も冷めますって。そうなったらアラ不思議?勇者さんが凄くステキに見える、っていう算段です。だから長い目で見たら黒魔術士は絶対に男性です!」
「決まりだな」
はい、これは400年で得た真理です。
「で、最後は回復系ですけどこれはもちろん女性なのですが…僧侶だけは絶対に避けて下さい!」
「なんで?回復系といえば僧侶じゃん?」
「僧侶の女性は身持ちが堅いんです!」
エルさん、鱗が目から落ちましたよ。
「イヤでしょ?恋愛イベントでいい雰囲気になってるのに『待って…私は神に仕える身ですから…』とかいって拒否られんの。焦らしならまだしもアレ本気ですからね?旅の中盤まで来たのにそれで怒って僧侶さんパーティから外した勇者さんをいっぱい見てきました。なので時間の無駄です!」
レベル40の中1人だけ10の回復系がいると『あぁ、そうだったんだなぁ』って察することにしています。
「なので個人的には白魔術士がオススメです。多少ですが攻撃魔法も使えますし、僧侶よりも断然結婚願望があります」
「おぉっ!」
「ですが…白魔術士って腐女子が多いんですよね。脳内でエルさんと黒魔術士さんのあんなことしてる事とかこんな事してる事とか妄想されてる場合があります」
「やだなぁ」
「あとちょっと可愛い顔した白魔術士さんはオタサーの姫気質なのでチヤホヤしないと急に来なくなることもあります。気付いたら違うパーティにいることも多々ありますし。あと大体そういう人は前髪まっすぐです」
「めんどくさいなぁ。他に回復魔法使える職業ってないの?」
「黒と白の両方使える賢者ってのもいますがある程度のレベルになってから転職しないとなれないですし、それに賢者になると人生悟っちゃうので恋愛に興味なくなっちゃう場合が多いです」
「却下」
「魔法効力が下がりますが同じく黒白両方使える灰魔術師っていうのもアリっちゃアリですが、優柔不断です。きっと男にもそうです」
「却下」
「導師っていうのも白魔法使えますけど、読んで字のごとく自分の色に染めたがるみたいです。たとえ上手くいっても門限とか厳しいですよ?」
「マトモなのいないな」
「自然の法則を真理の言葉で歪ませることを生業とするような職種の人達ですよ?マトモなはずないでしょ」
「まぁそれもそうか」
「消去法でいくと白魔術師がまだマトモな部類です」
「わかった、魔王の言う通りにする」
「良かった。ちゃんと自分でギルドに言えますか?」
「ん~…自信ない」
「もぉ、勇者なんだからそろそろそういうのちゃんとして下さいよ。今回は私が受付のアンちゃんに伝えときますけど、今度からちゃんと自分で申請して下さいね」
「うん、手間とらせてごめんね魔王」
「エルさん、こういう時はありがとうですよ?」
「ありがとう魔王!」
「はい、どういたしまして」
私段々エルが可愛くなってきました笑。
「ところで今日もサディちゃんいないの?」
「いますよ?」
「こないだのこと、謝ろうかなって思って…」
「そうだったんですか?隣の部屋で伝票整理してるから行ってみたらどうです?」
「ちょっと行ってくる」
「口説いちゃだめですよ?」
「…うん、今回はやめとく」
毎回ダメですよ!
エルさん、緊張しながら隣の部屋に入って行ったんです。
ちゃんと謝れるかなぁ?って思いながらも、それよりサディちゃん許してくれるかなぁ?って方が気がかりでしたけど笑。
「魔王!魔王!ちょっと魔王!」
悪い予感がしました。
「サディちゃん怖いっ」
全身黒焦げでした。
「今度は何したんですか?」
「スリーサイズ聞いただけなのに」
謝るんじゃなかったんですか!
「必要あります?」
「お詫びに下着プレゼントしようと思ったから…」
ホストでもハードルの高いプレゼント贈ろうとするのやめて下さい。
「はい、ポポイ。もう…早く帰って下さい」
「うん、そうする」
「はい、テレポ」
エルさんの全身が揺れ始めました。
「始まりの村に戻ったらギルドによって下さいね。あとメイルさんには攻撃しちゃダメですからね!」
「わかったぁ~」
素直なのはいいんですけどねぇ。
「またねぇ、魔王~」
「ハイ。また」
揺れが激しくなって、そして消えていきました。
「あ!また装備のこと言うの忘れてた…」
やっぱり思い出した時にすぐやっとかなくちゃだめですよね。
大切なことなら特に。
「サディちゃ~ん!キクさん呼んでもらって良いですか?」
隣の部屋から自分でやればと叫ばれました。
仕方がないのでテレパスでキクさんにご来場願いますと送るとしばらくして白髪の人型をしたキクさんがやって来ました。
見た目の通り私より歳上で、特殊能力をもつ一族の集落で村長をしているおばぁちゃんです。
「ご無沙汰してますキクさん」
「そんな挨拶するくらいならたまにはウチの集落に顔出しな。で、今日はこんなババアに何の用?婿ならいらないよ?」
私どちらかといえばロリコンなので遠慮します。
「キクさんの所にいるお人形さんお借りできますか?」
「そりゃ魔王から言われたら貸すしかないけどねぇ」
「ありがとうございます」
「けどヒトからモノを借りるときは理由が必要だよ。あれかい?最近活動始めた勇者の…エルって言ったっけ?そいつに使うのかい?」
「…………」
「あんたを最初に倒した勇者の名前だねぇ」
「…………」
「うちのトコでも噂になってるよ、勇者が最近頻繁にこの城に出入りしてるの。あんた一体何考えてるんだろうって思ってたけど…そうかい。お人形ねぇ笑」
「キクさん…ご足労ありがとうございました。気をつけてお帰りくださいね」
「話勝手に終わらせるんじゃないよ。…あんた、魔王だろ?私ら含むモンスター全てを束ねる長だろ?この城はそこらの上級モンスターでも気楽に入れない場所だってのにナニ1桁レベルの雑魚勇者なんか出入りさせてんのさ。あれかい?親交深めて油断させるのが狙いかい?」
「………」
「まぁそれはいいさね。で?そのお人形使って何しようとしてんだい?」
「言わないとダメですかねぇ?」
「貸すからには理由くらい聞く権利はあるんじゃないのかねぇ?」
「…………」
「言えないのかい?」
「………」
「しかしお人形とは…魔王ともあろうものが、随分と衰えたもんだねぇ」
「お言葉を返すようですがお人形を使ったからといって戦闘が有利になるとは限りませんよ?」
「そりゃ使い方次第だろ?あんたなら今すぐにでもこの世界をモンスターだけの楽園に変えちまうこともできるだろうさ。私が知りたいのは、どうしてこのタイミングでお人形を使いたいのかっていう理由さ。誰のために使うのか、と言い換えてもいいねぇ」
「サディちゃんっ!キクさん今すぐお帰りですっ!お見送りして!」
「そうかいそうかい。じゃ、お人形は貸せないね」
「キクさん、、、」
「ウチらは先代魔王に仕えた一族だ。特別あんたに義理はない。ましてや勇者とお友達ごっこするような情けない魔王に仕えるなんて誇り高い我が一族の恥だよ。あんたと袂を別つ餞別にそのエルって勇者の首でも持ってきてやろうか?1桁レベルの勇者なんざウチの若いもんでも簡単に殺せ、、、」
「メテオ」
特別最上級魔法なんて久しぶりです。
ちゃんと撃てますかねぇ?
「わかりました。お人形の件は結構です。ご足労ありがとうございました。気をつけてお帰りください。帰る場所があるならですけど」
「あ…あんた何をする気だい?」
わぁ~、お山の向こうに小さな太陽があるみたいに明るい…って、そのままですね笑。
「お人形さんは貸さないっていうし、キクさんとこは抜けるっていうし、じゃああの集落なんて灰になれば良いと私思うんです」
「ちょ、ちょっと待っとくれ」
「いや、もう良いです。待てば待つだけデカくなるし、そうなるとよそのところまで被害が及ぶんですよ。それにメテオ維持するのめっちゃ疲れるんですよね」
「わかった、貸すから。貸すからやめな!」
「いや、もういいです。そこで集落の長として自分の里が消滅するのを眺めてて下さい」
「やめとくれっ!頼むから…頼むからやめておくれ!」
「だったら最初から余計な詮索しないで下さいよ」
もうっ!ここまで育ったらキャンセルなんて出来ないじゃないですかっ!
だから私窓から飛び出して自分でメテオ食らいましたよ。
「ケホッ、ケホッ。こんなにMPもHPも減らしたの久しぶりですよまったく」
「…………」
「キクさん」
「はいっっっ」
あ~、すっかり怯えさせてしまいましたね。
「大至急お人形さんよろしくお願いします」
「はいぃっっっ!」
「それから、私これでも魔王なんで。そこんとこお忘れなく」
「はいっっっ」
「帰る場所が残ってて良かったですね。じゃ気を付けてお帰りください」
「し…失礼します魔王さま」
キクさんが帰ったあと部屋の中はタンスの防臭剤のような匂いが残ってました。
どうして年寄りってああいう匂いするんでしょうね?
会っていきなりのウソつき呼ばわりは心外です。
「何がです?」
「パーティ全員レベル5だったらアポロ倒せるって言ったじゃん!」
「はい、言いました」
「なのにあのちっこい妖精すら倒せないじゃん!」
パーティ総出で非戦闘員のメイルさんに勝てないのならアポロさんには絶対勝てません。
「あのね、色々言いたいことあるんですが、まずメイルさんはメッセンジャーなので戦わないで下さい」
「勝てそうだったから…」
「勝てませんでしたけどね!」
この人今までどうやってレベル上げたんだろう?
「で魔王、今日はなんなのさっ!」
いらだってますねぇ。
「えっと…今日はパーティの編成についてお話があります」
ちょっと、『また始まったよ…』みたいな顔するのやめて下さい。
「ちゃんと男2、女2にしたじゃん!」
「ジョブがおかしい、というお話です」
「なんで?ギャンブラー、踊り子、占い師。いいじゃん!」
「その職種にした理由はなんですか?」
「だってさぁ、考えても見てよ。戦闘能力が高い職種に魔法使いに僧侶って、『ザ・普通』じゃん!そんなのつまんないよ」
確かに私も「あ~、またかぁ」とは思いますよ?
けど普通って1番バランスが取れてるんです!
だからみんながそのパーティ組むから普通なんです!
「どうしてギャンブラーなんですか?」
「当たったらデカいじゃん」
「ほぼ当たりませんよ?」
「違うよ~。そういうロマンが欲しいの!戦闘に!」
「踊り子は?」
「衣装」
それは、まぁ、私も強くは否定できません。
「じゃあ占い師は?」
「あ~、まぁぶっちゃけて言えば雰囲気。けどこないだご飯食べる時口元隠してる布外したの見たんだけど…」
「出っ歯でした?」
「しゃくれてた」
ちょっとだけ、嫌ですね。
「とりあえずアポロさん倒したいのなら今のパーティは解散です」
「え~、せっかくレベル5まで上げたのにぃ?」
「しゃくれ女占い師と長く旅を続けられるんですか?」
「自信ない。わかった、解散する」
決断が早いですね。
「で、私からのオススメはまず剣闘士ですね」
「なんかゴツゴツした男とずっと一緒に旅すんのやだな~」
「誰が男性だと言いました?」
キラッとエルさんの目が光りました。
「女の、剣闘士…。なんか響きだけでコスチュームがエロい!」
「上はゴーンとした強靭な鎧なのに下は太もも露(あら)わとか、良いですよね?」
「決定!1人目は女剣闘士!」
「性格キツイから気をつけて下さい。次は黒魔術士です。これは間違いなく男性をオススメします」
ですが私の提案にエルさんはあまり良い顔をしませんでした。
「魔王、なんかさ、黒いローブに顔に刺青あしらってて普段口数少ないのに戦闘では活躍する男って…俺よりカッコよくない?」
甘いですね。
「パーティ内恋愛イベントが発生するという前提でお話ししますけど、たとえ黒魔術士さんがカッコよくても絶対に女性はエルさんを選びます」
「なんで!?」
「だって黒魔術士になるくらいですよ?絶対性格暗いに決まってるじゃないですか!休日はトカゲとかカエル捕まえて鍋でグツグツ煮るんですよ?キモいですよね~。普段聞いてる音楽もきっと中島みゆきですよ。無口なのだってアレ絶対ただのコミュ症ですって。詠唱だってブツブツ言ってるからよく聞こえないですけど、多分半分以上は愚痴だと私思ってます」
ものすごい勢いでエルさんがうなづいてました。
「私400年魔王してるから色んな人と会いましたけど社交的な黒魔術士なんて見たことないです。確かに最初はそんな怪しい雰囲気に女性はコロッといきますが、デートでカエル捕まえたりしてたら100年の恋も冷めますって。そうなったらアラ不思議?勇者さんが凄くステキに見える、っていう算段です。だから長い目で見たら黒魔術士は絶対に男性です!」
「決まりだな」
はい、これは400年で得た真理です。
「で、最後は回復系ですけどこれはもちろん女性なのですが…僧侶だけは絶対に避けて下さい!」
「なんで?回復系といえば僧侶じゃん?」
「僧侶の女性は身持ちが堅いんです!」
エルさん、鱗が目から落ちましたよ。
「イヤでしょ?恋愛イベントでいい雰囲気になってるのに『待って…私は神に仕える身ですから…』とかいって拒否られんの。焦らしならまだしもアレ本気ですからね?旅の中盤まで来たのにそれで怒って僧侶さんパーティから外した勇者さんをいっぱい見てきました。なので時間の無駄です!」
レベル40の中1人だけ10の回復系がいると『あぁ、そうだったんだなぁ』って察することにしています。
「なので個人的には白魔術士がオススメです。多少ですが攻撃魔法も使えますし、僧侶よりも断然結婚願望があります」
「おぉっ!」
「ですが…白魔術士って腐女子が多いんですよね。脳内でエルさんと黒魔術士さんのあんなことしてる事とかこんな事してる事とか妄想されてる場合があります」
「やだなぁ」
「あとちょっと可愛い顔した白魔術士さんはオタサーの姫気質なのでチヤホヤしないと急に来なくなることもあります。気付いたら違うパーティにいることも多々ありますし。あと大体そういう人は前髪まっすぐです」
「めんどくさいなぁ。他に回復魔法使える職業ってないの?」
「黒と白の両方使える賢者ってのもいますがある程度のレベルになってから転職しないとなれないですし、それに賢者になると人生悟っちゃうので恋愛に興味なくなっちゃう場合が多いです」
「却下」
「魔法効力が下がりますが同じく黒白両方使える灰魔術師っていうのもアリっちゃアリですが、優柔不断です。きっと男にもそうです」
「却下」
「導師っていうのも白魔法使えますけど、読んで字のごとく自分の色に染めたがるみたいです。たとえ上手くいっても門限とか厳しいですよ?」
「マトモなのいないな」
「自然の法則を真理の言葉で歪ませることを生業とするような職種の人達ですよ?マトモなはずないでしょ」
「まぁそれもそうか」
「消去法でいくと白魔術師がまだマトモな部類です」
「わかった、魔王の言う通りにする」
「良かった。ちゃんと自分でギルドに言えますか?」
「ん~…自信ない」
「もぉ、勇者なんだからそろそろそういうのちゃんとして下さいよ。今回は私が受付のアンちゃんに伝えときますけど、今度からちゃんと自分で申請して下さいね」
「うん、手間とらせてごめんね魔王」
「エルさん、こういう時はありがとうですよ?」
「ありがとう魔王!」
「はい、どういたしまして」
私段々エルが可愛くなってきました笑。
「ところで今日もサディちゃんいないの?」
「いますよ?」
「こないだのこと、謝ろうかなって思って…」
「そうだったんですか?隣の部屋で伝票整理してるから行ってみたらどうです?」
「ちょっと行ってくる」
「口説いちゃだめですよ?」
「…うん、今回はやめとく」
毎回ダメですよ!
エルさん、緊張しながら隣の部屋に入って行ったんです。
ちゃんと謝れるかなぁ?って思いながらも、それよりサディちゃん許してくれるかなぁ?って方が気がかりでしたけど笑。
「魔王!魔王!ちょっと魔王!」
悪い予感がしました。
「サディちゃん怖いっ」
全身黒焦げでした。
「今度は何したんですか?」
「スリーサイズ聞いただけなのに」
謝るんじゃなかったんですか!
「必要あります?」
「お詫びに下着プレゼントしようと思ったから…」
ホストでもハードルの高いプレゼント贈ろうとするのやめて下さい。
「はい、ポポイ。もう…早く帰って下さい」
「うん、そうする」
「はい、テレポ」
エルさんの全身が揺れ始めました。
「始まりの村に戻ったらギルドによって下さいね。あとメイルさんには攻撃しちゃダメですからね!」
「わかったぁ~」
素直なのはいいんですけどねぇ。
「またねぇ、魔王~」
「ハイ。また」
揺れが激しくなって、そして消えていきました。
「あ!また装備のこと言うの忘れてた…」
やっぱり思い出した時にすぐやっとかなくちゃだめですよね。
大切なことなら特に。
「サディちゃ~ん!キクさん呼んでもらって良いですか?」
隣の部屋から自分でやればと叫ばれました。
仕方がないのでテレパスでキクさんにご来場願いますと送るとしばらくして白髪の人型をしたキクさんがやって来ました。
見た目の通り私より歳上で、特殊能力をもつ一族の集落で村長をしているおばぁちゃんです。
「ご無沙汰してますキクさん」
「そんな挨拶するくらいならたまにはウチの集落に顔出しな。で、今日はこんなババアに何の用?婿ならいらないよ?」
私どちらかといえばロリコンなので遠慮します。
「キクさんの所にいるお人形さんお借りできますか?」
「そりゃ魔王から言われたら貸すしかないけどねぇ」
「ありがとうございます」
「けどヒトからモノを借りるときは理由が必要だよ。あれかい?最近活動始めた勇者の…エルって言ったっけ?そいつに使うのかい?」
「…………」
「あんたを最初に倒した勇者の名前だねぇ」
「…………」
「うちのトコでも噂になってるよ、勇者が最近頻繁にこの城に出入りしてるの。あんた一体何考えてるんだろうって思ってたけど…そうかい。お人形ねぇ笑」
「キクさん…ご足労ありがとうございました。気をつけてお帰りくださいね」
「話勝手に終わらせるんじゃないよ。…あんた、魔王だろ?私ら含むモンスター全てを束ねる長だろ?この城はそこらの上級モンスターでも気楽に入れない場所だってのにナニ1桁レベルの雑魚勇者なんか出入りさせてんのさ。あれかい?親交深めて油断させるのが狙いかい?」
「………」
「まぁそれはいいさね。で?そのお人形使って何しようとしてんだい?」
「言わないとダメですかねぇ?」
「貸すからには理由くらい聞く権利はあるんじゃないのかねぇ?」
「…………」
「言えないのかい?」
「………」
「しかしお人形とは…魔王ともあろうものが、随分と衰えたもんだねぇ」
「お言葉を返すようですがお人形を使ったからといって戦闘が有利になるとは限りませんよ?」
「そりゃ使い方次第だろ?あんたなら今すぐにでもこの世界をモンスターだけの楽園に変えちまうこともできるだろうさ。私が知りたいのは、どうしてこのタイミングでお人形を使いたいのかっていう理由さ。誰のために使うのか、と言い換えてもいいねぇ」
「サディちゃんっ!キクさん今すぐお帰りですっ!お見送りして!」
「そうかいそうかい。じゃ、お人形は貸せないね」
「キクさん、、、」
「ウチらは先代魔王に仕えた一族だ。特別あんたに義理はない。ましてや勇者とお友達ごっこするような情けない魔王に仕えるなんて誇り高い我が一族の恥だよ。あんたと袂を別つ餞別にそのエルって勇者の首でも持ってきてやろうか?1桁レベルの勇者なんざウチの若いもんでも簡単に殺せ、、、」
「メテオ」
特別最上級魔法なんて久しぶりです。
ちゃんと撃てますかねぇ?
「わかりました。お人形の件は結構です。ご足労ありがとうございました。気をつけてお帰りください。帰る場所があるならですけど」
「あ…あんた何をする気だい?」
わぁ~、お山の向こうに小さな太陽があるみたいに明るい…って、そのままですね笑。
「お人形さんは貸さないっていうし、キクさんとこは抜けるっていうし、じゃああの集落なんて灰になれば良いと私思うんです」
「ちょ、ちょっと待っとくれ」
「いや、もう良いです。待てば待つだけデカくなるし、そうなるとよそのところまで被害が及ぶんですよ。それにメテオ維持するのめっちゃ疲れるんですよね」
「わかった、貸すから。貸すからやめな!」
「いや、もういいです。そこで集落の長として自分の里が消滅するのを眺めてて下さい」
「やめとくれっ!頼むから…頼むからやめておくれ!」
「だったら最初から余計な詮索しないで下さいよ」
もうっ!ここまで育ったらキャンセルなんて出来ないじゃないですかっ!
だから私窓から飛び出して自分でメテオ食らいましたよ。
「ケホッ、ケホッ。こんなにMPもHPも減らしたの久しぶりですよまったく」
「…………」
「キクさん」
「はいっっっ」
あ~、すっかり怯えさせてしまいましたね。
「大至急お人形さんよろしくお願いします」
「はいぃっっっ!」
「それから、私これでも魔王なんで。そこんとこお忘れなく」
「はいっっっ」
「帰る場所が残ってて良かったですね。じゃ気を付けてお帰りください」
「し…失礼します魔王さま」
キクさんが帰ったあと部屋の中はタンスの防臭剤のような匂いが残ってました。
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