妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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Folge 37 真相

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「タケル!」

 夕飯の後、洗い物を手伝い始めた美乃咲姉妹。
 なぜかツィスカは指示を出すだけのようだ。
 似合っているから笑える。
 それは置いておいて。
 女子四人がワイワイ始めたことでオレがフリーになった。
 来た、この時間が。
 待っていたタイミングが。
 タケルと話をするにはここしかない!
 タケルに合図を出す。

「うん、いいよ」

 出来るだけさりげなくタケルの部屋へ向かった。

「そういえばこの部屋に入るの久しぶりだな」
「そうだよ! 全然来てくれないもん」

 うん、確かにな。
 でもな、言い訳させてくれよ。
 いつも三人がオレの部屋に来るからだろ?
 だろ!?

「だろ!?」
「あ、肝心な事を脳内で言っていたんでしょ。口に出していないよ?」
「あんぎゃ」

 変な声を出してしまった。
 そっか、声出ていなかったのか。
 言い訳できていない……。
 ん? なんで言い訳?
 オレが悪いわけじゃないよな。

「だろ?」
「またあ?」
「だからさ、オレが言い訳するのは違うだろって」
「気づいたんだ。えらい!」

 うんうん、エライだろ。
 いや、違う!

「そんな話がしたいわけじゃない!」
「怒らないでよ。たまには二人でこんな話をするのもいいじゃん」
「……まあ、いいけどさ。でもな、聞きたいことがあるからこうして――」
「はいはい、わかりましたよ」

 何故にオレが呆れられなきゃならないんだ。

「あのね、美咲ちゃんからの相談は……」
「急に本題に入ったな」
「だって聞きたいんでしょ?」

 大きく頷いてみせた。

「兄ちゃんが咲乃と仲良くなった時に、咲乃が喜んでいるのが嬉しかったんだって」
「ああ、そんなことを言っていたのは覚えている」
「自分が兄ちゃんと付き合うと、咲乃が悲しむ。そう思うと付き合えないって」
「そんな風に考えていたのか」
「それでね、僕と付き合えないかって話になって」
「え!?」

 そんな……。
 そんななんて言える立場じゃないけどさ。

「僕こそそう思ったよ、え!? って。そこから色々話したのさ」
「オレがよく見かけていたのはその頃か」
「美咲ちゃんは兄ちゃんと付き合いたいんだからそれは違うでしょ? って答えたりしてね」
「美咲は納得したのか?」
「なんとかね。やっぱり兄ちゃんが好きだってさ。その気持ちに正直になるって」

 それがあの笑みか。

「仮とは言え、今は兄ちゃんと二人だけの時間が増えるのが嬉しいんだろうね」

 聞いてみれば簡単な話だった、大抵はそんなものだ。
 タケルと二人でいることをなんで気にしたのかな。

「兄ちゃん、入りかけているよ!」
「おっと。危ない危ない」

 ダンジョンに入るところだった。
 タケルは気づくのが早かったな。
 いつもそばからみんなを見ているから気づきやすいんだろうな。
 こいつが一番平和なポジションにいるし。
 平和な中に居て欲しいと思わせる不思議なオーラの持ち主だ。
 この家の明るさも、実はタケルの見えない力が要なのかも。

「そろそろ洗い物も終わるから兄ちゃん行って」
「わかった。……その、タケルは」
「無いよ。美咲ちゃんにどうとか、そういうの無い。僕が好きなのは――」

 オレはタケルの口を手で塞いだ。
 く、くすぐったい。

「舐めるなよ」
「違ったの?」
「兄で遊ぶな」
「楽しいよ?」

 こいつ、否定しなかった。
 オレは遊ばれている……。
 そんなじゃれ合いもそこそこに、再びリビングへ。
 洗い物は済んでいて、全員が食卓に座って話していた。

「あ、サダメ!」

 咲乃はすぐに飛びついてきた。
 可愛いなあ。
 妹じゃない女の子でこのパターンに慣れる時が来るなんてね。

「それじゃあ今日は二人で寝てね。それなら咲乃ちゃん納得できるでしょ?」
「ツィスカ、気持ちってそんな簡単にどうこうできるものじゃないんだぞ」
「だって、兄ちゃんはあたしのだもん。貸してあげてるだけだもん」
「ツィスカちゃん、ボクはサダメの彼女になれないの?」

 クールポーズをキメているモデルのような恰好になった。
 左手甲を腰、右手人差し指の第二関節を曲げて眉間に。
 ま、まあこの美貌ですから、カッコかわいくなっているけれども。

「今はそれを決めるために体験してもらっているのよ」

 左手はそのままに、右手人差し指は美咲姉妹を交互に差した。

「二人共兄ちゃんが好きなんでしょ? 一人なら考えたけどさ」

 ほんとか?
 同じことして結局ダメって言いそうだぞ。

「でもねツィスカちゃん。カルラちゃんと二人で彼女なんでしょ?」
「そ、そうよ。あたし達は特別に決まっているじゃん。妹だもん」

 それは無理があるんじゃないかな、フランツィスカよ。
 妹二人に好かれているのは最高に嬉しいんだけど。
 ああもう! 分からなくなってきた。

「そんなの、勝てないじゃん……」
「ツィスカ、それぐらいにして。咲乃ちゃんを困らせたらダメよ」

 カルラが一言加えてくれた。
 オレがするべき、なんだよな。
 ――情けない。

「わかったわよ。別に困らせる気は無いけど、兄ちゃんとイチャイチャするんだもん」
「そうさせているのは自分でしょ? もう変な事言わないで」
「ぶー!」

 ぶー! じゃないよ!

「そんな姉の監視があるけれど、咲乃ちゃん、美咲ちゃんと交代してみてね」

 咲乃はもう、一言も発さなくなった。
 頭を撫でてやるしかできないオレ。
 こんなヤツでいいのかみんな?
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