妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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Folge 54 デレモード

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 テストが。
 テスト期間が近づいている。
 まだ詰め込み切っていない。
 でも弟妹と一緒に寝たいし。
 それはテストが終わってからゆっくり堪能すればいい。
 分かっているんだけど。

「んー、兄ちゃん。うっふふ。兄ちゃん」

「ツィスカが甘々モードだわ。そういうわたしもだけど」

 両腕を二人にガッチリ掴まれている。
 長女はすっかりデレデレ。
 頬ずりが止まらない。

「ツィスカちゃんって、いつもこうじゃないの?」

「このモードはね、マウント取らないの。すっごく素直よ」

「へえ。ようするにデレのみってこと? いつもそうだと思ってた」

「わたしたち、サダメには当然デレデレよ」

「そうはっきり言われると隙を感じないね」

 苦笑いになってしまった咲乃。
 オレとの距離を縮め始めたところで剥がされてしまった美咲。
 後ろを並んで歩いている。
 このあと離れるポイントがあるんだから、そこまでは我慢してくれ。
 そしていつもニコニコのタケルが最後尾で観覧。

「さて、いつものポイントだぞ~。今日も元気に行ってきな」

「サダメ、今日はしていくわ」

 軽く唇を重ねてひらりとスカートをなびかせ、鞄を後ろ手に持つ。
 決まっているんだよね、その動き。
 カルラさんは今日も美人です。

「さて、次女が先に動いたよ? 長女はどうした」

「長女はねえ、んふふ、怒られるのを待っていまーす!」

「楽しそうに待つなよ。このモードは久しぶりだねえ」

「まだあ? 兄ちゃん怒らないのお? あたしが学校へ行かないんだよ?」

「よーし、兄ちゃんは怒った。怒ったから頭を撫でてやる!」

 なんじゃこりゃ。
 くっそ可愛い。
 これ、演技ってわけじゃないんだよね。
 素でこうなるんだ。
 こんな子が妹だよ。
 なんでも受け入れてしまいそう。

「きゃあ、頭撫でられたよお。でもお、まだ行きませんねえ、悪い子だぞお」

「これは悪い子だなあ。スベスベのほっぺを撫でてやる」

「にゃあ、ほっぺなでなで。でもね、まだくっついているよお」

「それじゃあこれしかないな。お仕置きだあ」

 お外ですが。
 その、もうね、ご近所さんも気にしないぐらいの日常。
 色々と構わず、しちゃいます。

「あらら、凄い。兄妹で自然にしているのを見ていていいのかな」

「サダメちゃんたちは特別じゃないかしら。としか言いようがないじゃない」

 というあちらの姉妹の声も聞こえつつ、まったりと。
 とろんとろんになっているツィスカ相手に止められますかって。
 無理無理。
 どっちみち、これぐらいしないと学校行ってくれないし。
 オレも、久しぶりだから、ね。
 思いっきりしちゃいました。

「兄ちゃん、なんかね、ふわふわしてきた」

 どう見てもそんな感じだな。
 時間があるならもっとしてあげるところだけど。

「フランツィスカは良い子なので、学校へ行ってきます!」

 カルラと手を繋いで中学校へと歩き出した。
 振り向きながらカルラが手を振っている。
 それに答えていると、タケルが登場。
 片手を出してくるからこちらも出す。
 フィスト・バンプからの握手。
 弟もこれでにっこりとして姉についていった。

「妬けるなあ」

「仲が良すぎですよ」

「悪いよりいいでしょ」

 待ち構えている男子生徒が懲りずに妹に近寄っていくのが見えた。
 また鞄で蹴散らすのかなとみていると、しない。
 ツィスカが殴らずに歩みを進めている。
 しかし、男子生徒はその場に立ち尽くす。
 その後しゃがみこんだ。
 どうやら落ち込んでいるらしい。

「いつものように殴らなかったのに、あの子落ち込んでいませんか?」

「たぶん、殴られなかったからじゃないかな」

「サダメ、どういうこと?」

「フラれるのは承知の上で告白していて、殴られに行っているらしい」

「は?」

「いやさ、もう殴られることに快感を覚えてしまったようだよ、男子たちは」

「拗らせてしまったのですね」

 そういうことだ。
 だが今日の妹は二人共ご機嫌。
 攻撃を全くしないようだ。
 今日あの中学校は、静かだろうなあ。

「さて、こんなことしていると遅刻するから、オレたちも行くよ」

「うん」

「はい」

 ライバルがいなくなったとたん、次の双子に両手を繋がれる。
 どうも手ぶらで歩くことはできないらしい。
 一人で歩けばいいんだけどさ、一人で出歩かせてもらえないからね。
 双子に挟まれて歩くスタイルは変わらず自分の学校へ向かう。
 校舎の窓から多数の目線を感じるようになってきた。
 まもなく校門だ。
 そりゃ目立つよなあ。
 双子じゃなくたって、男子一人が女子二人と手を繋いで登校している。
 そんな絵面、どう考えても一般的ではない。
 でもそれがオレの日常。
 以前はなんでこんな目に、なんて思ったりしていたけれど。
 最近はこうじゃなきゃなんて思っている。
 完全に麻痺したな。
 今のところ、直す気は全くありません。
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