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第二章 剣士となりて
第三十七話 近づく対面と大仕事
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Szene-01 トゥサイ村西端
武具屋主人の手下たちは、東西街道でカシカルド王国の人材調査員と鉢合わせた。
人材調査員はレアルプドルフの町長に話があると言うが、手下たちは信用できないようだ。
そんな手下たちに調査員は同行提案をする。
手下たちは見張るためとの理由で受け入れたが、結果的には護衛する形になってしまった。
「この面子でトゥサイを抜けるのは目立ち過ぎる。別の道を使うぞ」
調査員は手下からの案に賛成する。
「確かにそうですね。トゥサイは双方に付いている気でしょうから」
手下たちは一斉にマントのフードを被る。
調査員は手下たちの行動に驚く間も無く、目の前にマントを差し出された。
「あんたはこれに変えてくれ。そいつでは質の良さでバレちまう。町に入ったら返すよ」
言われるままマントを受け取る調査員。
「色々とすみません」
調査員は急いでマントを変えてフードを被ると、良否を訪ねるように手下を見た。
「顔を隠すために足元を見ながら歩いてくれ。周りを見渡すなよ」
「わかりました」
返事をした調査員の両側に手下二人が付いた。
「徹底していますね」
「それが仕事なんでね」
武具屋店主の手下連中とカシカルド王国の人材調査員は、トゥサイ村を避けてレアルプドルフへと向かった。
Szene-02 ダン家
ダンに呼ばれたエールタインは、次の行動についての指示を聞いていた。
食卓にティーを置いて対面で話している。
「町の外では怪しい動きも確認されている。思い出させてしまうが、エールが巻き込まれた件もその一つだった」
「え!? 単に賊から襲われたってわけじゃないの?」
ダンは軽く頷いて話を続ける。
「どうやらトゥサイ村は頼まれて動いているようだ」
「頼まれて?」
「ああ」
「誰に?」
エールタインは、言う度にダンへ体を近づけながら続けざまに聞く。
「まだそれが分かっていない。俺も一番知りたいところだ。探りを急がせているよ」
身体を元に戻すエールタインに、ヨハナの元からティベルダが近寄る。
エールタインはがっかりしたようで、力を抜いて背もたれに体を預けた。
「企んだのが誰であろうと、敵と見なしていいよね」
「そうなるな」
ティベルダは、隣の椅子をエールタインに近づけて座り、主人の腕に自身の腕を絡ませた。
エールタインはティベルダの顔を覗き込みながら言う。
「それで、ブーズへすぐに行けってこと?」
ダンはその言葉を聞くと、ティーに手を伸ばした。
香りを楽しむようにゆっくりと飲む。
普段では全くと言っていいほどしない飲み方だ。
「ダン、違和感があるのは気のせいかな?」
エールタインだけでなく、様子を見守る他の三人もダンに注目している。
誰から見ても、いつもと違うように感じたのだろう。
「いや、俺の言う事が無くなったから焦らしてみた」
ヨハナとヘルマはクスクスと笑い出す。
ティベルダは主人の腕に絡んだまま、キョトンとしている。
その横でエールタインは、ティベルダの頭を二度ほど撫でてからティーを飲んだ。
ヨハナは、呆れた表情でティーを飲むエールタインを見てダンに言う。
「やはり負けず嫌いでないと、剣聖は務まりませんものね」
クスクス笑いの続いていたヘルマは、我慢できずに声を出して笑った。
「あっははは。ほらご主人様、娘さんはちゃんと成長しているじゃないですか」
「なんだヘルマ。主人を笑うとはどういうことだ」
「私はご主人様に笑わされたのだと思っていますが、違いましたか?」
「お前は優秀だが、優秀ではない所があるな」
ヘルマは立ち上がり、カーテシーをしながら言う。
「お褒めに預かり光栄です。完全な人などいない中で、優秀というお言葉をいただけて幸せです」
「笑いながら言うな。エール、お前の言う通りブーズの件を急ぎたい。頼んだぞ」
改めてダンの口から背中を押されたエールタイン。
ヨハナが新調していた道具を見せながら言う。
「エール様、差し当たり必要な装備が揃いました。間に合って良かった」
ダンに呆れていたエールタインは、ヨハナの嬉しそうな姿を見て一転、表情を緩める。
改めてティベルダを撫でてから、片手を握って言う。
「緊張するけど、いよいよなんだね」
エールタインの大仕事が始まろうとしていた。
Szene-03 レアルプドルフ、西門
武具屋店主の手下とカシカルド王国の人材調査員は、無事に西門へ到着した。
衛兵が顔見知りの手下に話しかける。
「ご苦労さん。伝令から話は聞いている。このまま役場へ行くといい」
「ありがとうございます。では」
衛兵は鋭い目で人材調査員を見つつ、門を通した。
「いやあ、あんな目で見られると緊張しますね」
手下は調査員のマントを差し出し、着替えるように促す。
調査員は逆らわず、言われるままにマントを着替えた。
レアルプドルフの町長とカシカルド王国人材調査員との対面が迫っていた。
武具屋主人の手下たちは、東西街道でカシカルド王国の人材調査員と鉢合わせた。
人材調査員はレアルプドルフの町長に話があると言うが、手下たちは信用できないようだ。
そんな手下たちに調査員は同行提案をする。
手下たちは見張るためとの理由で受け入れたが、結果的には護衛する形になってしまった。
「この面子でトゥサイを抜けるのは目立ち過ぎる。別の道を使うぞ」
調査員は手下からの案に賛成する。
「確かにそうですね。トゥサイは双方に付いている気でしょうから」
手下たちは一斉にマントのフードを被る。
調査員は手下たちの行動に驚く間も無く、目の前にマントを差し出された。
「あんたはこれに変えてくれ。そいつでは質の良さでバレちまう。町に入ったら返すよ」
言われるままマントを受け取る調査員。
「色々とすみません」
調査員は急いでマントを変えてフードを被ると、良否を訪ねるように手下を見た。
「顔を隠すために足元を見ながら歩いてくれ。周りを見渡すなよ」
「わかりました」
返事をした調査員の両側に手下二人が付いた。
「徹底していますね」
「それが仕事なんでね」
武具屋店主の手下連中とカシカルド王国の人材調査員は、トゥサイ村を避けてレアルプドルフへと向かった。
Szene-02 ダン家
ダンに呼ばれたエールタインは、次の行動についての指示を聞いていた。
食卓にティーを置いて対面で話している。
「町の外では怪しい動きも確認されている。思い出させてしまうが、エールが巻き込まれた件もその一つだった」
「え!? 単に賊から襲われたってわけじゃないの?」
ダンは軽く頷いて話を続ける。
「どうやらトゥサイ村は頼まれて動いているようだ」
「頼まれて?」
「ああ」
「誰に?」
エールタインは、言う度にダンへ体を近づけながら続けざまに聞く。
「まだそれが分かっていない。俺も一番知りたいところだ。探りを急がせているよ」
身体を元に戻すエールタインに、ヨハナの元からティベルダが近寄る。
エールタインはがっかりしたようで、力を抜いて背もたれに体を預けた。
「企んだのが誰であろうと、敵と見なしていいよね」
「そうなるな」
ティベルダは、隣の椅子をエールタインに近づけて座り、主人の腕に自身の腕を絡ませた。
エールタインはティベルダの顔を覗き込みながら言う。
「それで、ブーズへすぐに行けってこと?」
ダンはその言葉を聞くと、ティーに手を伸ばした。
香りを楽しむようにゆっくりと飲む。
普段では全くと言っていいほどしない飲み方だ。
「ダン、違和感があるのは気のせいかな?」
エールタインだけでなく、様子を見守る他の三人もダンに注目している。
誰から見ても、いつもと違うように感じたのだろう。
「いや、俺の言う事が無くなったから焦らしてみた」
ヨハナとヘルマはクスクスと笑い出す。
ティベルダは主人の腕に絡んだまま、キョトンとしている。
その横でエールタインは、ティベルダの頭を二度ほど撫でてからティーを飲んだ。
ヨハナは、呆れた表情でティーを飲むエールタインを見てダンに言う。
「やはり負けず嫌いでないと、剣聖は務まりませんものね」
クスクス笑いの続いていたヘルマは、我慢できずに声を出して笑った。
「あっははは。ほらご主人様、娘さんはちゃんと成長しているじゃないですか」
「なんだヘルマ。主人を笑うとはどういうことだ」
「私はご主人様に笑わされたのだと思っていますが、違いましたか?」
「お前は優秀だが、優秀ではない所があるな」
ヘルマは立ち上がり、カーテシーをしながら言う。
「お褒めに預かり光栄です。完全な人などいない中で、優秀というお言葉をいただけて幸せです」
「笑いながら言うな。エール、お前の言う通りブーズの件を急ぎたい。頼んだぞ」
改めてダンの口から背中を押されたエールタイン。
ヨハナが新調していた道具を見せながら言う。
「エール様、差し当たり必要な装備が揃いました。間に合って良かった」
ダンに呆れていたエールタインは、ヨハナの嬉しそうな姿を見て一転、表情を緩める。
改めてティベルダを撫でてから、片手を握って言う。
「緊張するけど、いよいよなんだね」
エールタインの大仕事が始まろうとしていた。
Szene-03 レアルプドルフ、西門
武具屋店主の手下とカシカルド王国の人材調査員は、無事に西門へ到着した。
衛兵が顔見知りの手下に話しかける。
「ご苦労さん。伝令から話は聞いている。このまま役場へ行くといい」
「ありがとうございます。では」
衛兵は鋭い目で人材調査員を見つつ、門を通した。
「いやあ、あんな目で見られると緊張しますね」
手下は調査員のマントを差し出し、着替えるように促す。
調査員は逆らわず、言われるままにマントを着替えた。
レアルプドルフの町長とカシカルド王国人材調査員との対面が迫っていた。
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