8 / 25
どうして笑っていられるの?
しおりを挟む
「ねぇ、シェイリー」
「どうしたの?」
いつもの如くリルの課題をこっそりと授業の休み時間にせっせと終わらせていた。もう少しって所でバーバラが話しかけてきて目線を合わせる様に前の席へ向ける。なんだかバーバラのぎこちない顔に少しだけ不安になった。
「その…天使様ってさ、本当に貴方の婚約者なの?」
「え?何を今更…」
「だって、こないだ街へ買い物に行った時に女性専用のブティックで綺麗な女の子と一緒に手を繋ぎながら買い物してたわ」
「手を…?」
「こんな事言いたくないけど…良い様に使われているだけじゃないの…?」
一体何を言われているか分からない。手を繋いでた?え?何?
「しかもそれ…貴方の課題じゃないわよね…?」
「自分の勉強にもなるし…その…」
「もういい加減にしなさいよ!一体なにやってるのよ!」
「あは…そう…なのかな?」
自分の為に悲しそうに眉を下げ、泣いてくれてる友人。なに笑ってるのよって本気で怒ってくれてる友人になんて答えたらいいのか分からない。理解が出来ない。良い様に使われるって何?ぐるぐる思考を巡らせ考えても、何から考えたらいいのか分からない。
「課題手伝って、お金あげて、浮気されて…なんで貴方は笑っていられるのよっ!」
「…なんでなのかな…」
自分の分厚い眼鏡の中に小さな水溜まりが出来る頃には、バーバラは号泣していた。こんなに友人に心配されているのに自分の心の中はリルでいっぱいで、見間違いじゃないかって期待してしまっている。
だって、婚約を熱望してくれていたし、額にキスだって…。
でも、だってと理由をつけては現実を受けれたくないと心が悲鳴をあげる。自分がどんなにリルを愛してるかと思い知らされる。
婚約破棄?無理よ…出来ない。
「貴方がそのままでいいっていうなら貴方には何も言わないわ。でも、貴方は私の友人よ。こんな平民と仲良くしてくれた唯一の人。私の友人を傷つけるなら貴方の婚約者に私が言うわ」
「え?ちょ!バーバラ!」
我慢出来ないからと椅子から立ち上がったバーバラはリルの元へ文句言ってやると歩きだした。その後を慌てて追いかける。緊張で足がもつれてしまうけど、ズンズンと進むバーバラを止めることも出来なくて、必死に足を動かした。心臓はバクバクと破裂しそうなほど、鼓動を速めていた。
「どうしたの?」
いつもの如くリルの課題をこっそりと授業の休み時間にせっせと終わらせていた。もう少しって所でバーバラが話しかけてきて目線を合わせる様に前の席へ向ける。なんだかバーバラのぎこちない顔に少しだけ不安になった。
「その…天使様ってさ、本当に貴方の婚約者なの?」
「え?何を今更…」
「だって、こないだ街へ買い物に行った時に女性専用のブティックで綺麗な女の子と一緒に手を繋ぎながら買い物してたわ」
「手を…?」
「こんな事言いたくないけど…良い様に使われているだけじゃないの…?」
一体何を言われているか分からない。手を繋いでた?え?何?
「しかもそれ…貴方の課題じゃないわよね…?」
「自分の勉強にもなるし…その…」
「もういい加減にしなさいよ!一体なにやってるのよ!」
「あは…そう…なのかな?」
自分の為に悲しそうに眉を下げ、泣いてくれてる友人。なに笑ってるのよって本気で怒ってくれてる友人になんて答えたらいいのか分からない。理解が出来ない。良い様に使われるって何?ぐるぐる思考を巡らせ考えても、何から考えたらいいのか分からない。
「課題手伝って、お金あげて、浮気されて…なんで貴方は笑っていられるのよっ!」
「…なんでなのかな…」
自分の分厚い眼鏡の中に小さな水溜まりが出来る頃には、バーバラは号泣していた。こんなに友人に心配されているのに自分の心の中はリルでいっぱいで、見間違いじゃないかって期待してしまっている。
だって、婚約を熱望してくれていたし、額にキスだって…。
でも、だってと理由をつけては現実を受けれたくないと心が悲鳴をあげる。自分がどんなにリルを愛してるかと思い知らされる。
婚約破棄?無理よ…出来ない。
「貴方がそのままでいいっていうなら貴方には何も言わないわ。でも、貴方は私の友人よ。こんな平民と仲良くしてくれた唯一の人。私の友人を傷つけるなら貴方の婚約者に私が言うわ」
「え?ちょ!バーバラ!」
我慢出来ないからと椅子から立ち上がったバーバラはリルの元へ文句言ってやると歩きだした。その後を慌てて追いかける。緊張で足がもつれてしまうけど、ズンズンと進むバーバラを止めることも出来なくて、必死に足を動かした。心臓はバクバクと破裂しそうなほど、鼓動を速めていた。
11
あなたにおすすめの小説
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
クリスティーヌの本当の幸せ
宝月 蓮
恋愛
ニサップ王国での王太子誕生祭にて、前代未聞の事件が起こった。王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を突き付けたのだ。そして新たに男爵令嬢と婚約する目論見だ。しかし、そう上手くはいかなかった。
この事件はナルフェック王国でも話題になった。ナルフェック王国の男爵令嬢クリスティーヌはこの事件を知り、自分は絶対に身分不相応の相手との結婚を夢見たりしないと決心する。タルド家の為、領民の為に行動するクリスティーヌ。そんな彼女が、自分にとっての本当の幸せを見つける物語。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
【完結】親の理想は都合の良い令嬢~愛されることを諦めて毒親から逃げたら幸せになれました。後悔はしません。
涼石
恋愛
毒親の自覚がないオリスナ=クルード子爵とその妻マリア。
その長女アリシアは両親からの愛情に飢えていた。
親の都合に振り回され、親の決めた相手と結婚するが、これがクズな男で大失敗。
家族と離れて暮らすようになったアリシアの元に、死の間際だという父オリスナが書いた手紙が届く。
その手紙はアリシアを激怒させる。
書きたいものを心のままに書いた話です。
毒親に悩まされている人たちが、一日でも早く毒親と絶縁できますように。
本編終了しました。
本編に登場したエミリア視点で追加の話を書き終えました。
本編を補足した感じになってます。@全4話
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
【完結】人形と呼ばれる私が隣国の貴方に溺愛される訳がない
紺
恋愛
「お姉様に次期王妃の責務は重いでしょう?」
実の妹に婚約者と立場を奪われた侯爵令嬢ソフィアは、事実上の厄介払いとも取れる隣国の公爵への嫁入りを勝手に決められた。
相手は冷酷で無愛想と名高いが、むしろ仮面夫婦大歓迎のソフィアは嬉々として相手の元に向かう。が、どうやら聞いていた話と全然違うんですけど……
仮面夫婦の筈がまさかの溺愛?!
※誤字脱字はご了承下さい。
※ファンタジー作品です。非現実な表現がある場合もございます。
幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました
マルローネ
恋愛
ミアスタ・ハンプリンは伯爵令嬢であり、侯爵令息のアウザー・スネークと婚約していた。
しかし、幼馴染の令嬢にアウザーは奪われてしまう。
信じていた幼馴染のメリス・ロークに裏切られ、婚約者にも裏切られた彼女は酷い人間不信になってしまった。
その時に現れたのが、フィリップ・トルストイ公爵令息だ。彼はずっとミアスタに片想いをしており
一生、ミアスタを幸せにすると約束したのだった。ミアスタの人間不信は徐々に晴れていくことになる。
そして、完全復活を遂げるミアスタとは逆に、アウザーとメリスの二人の関係には亀裂が入るようになって行き……。
我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!
真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。
そこで目撃してしまったのだ。
婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。
よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!
長くなって来たので長編に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる