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番外編
おまえのものはおれのもの※
※ルイ視点。
本編4話以降、ルイはハロルドのことを「ハル」呼びです。
冒頭ヤンデレ風味ですが、ただの溺愛です。
◆
大好きな、僕のハル。
彼がいつも纏っている穏やかな空気は、一緒にいるととても心地良い。
兄弟同然のウィルを除けば、僕の周りは下心を持っている者か、僕の機嫌を損ねないように気を遣う者ばかりだった。
ところがハルは、人に流されることもなく、良くも悪くも接し方がフラットだった。
今思えば僕は、そんなハルの特別になりたかったのだろう。
僕は初めてひとりの男に愛を求め、彼は笑って受け入れてくれた。
彼はαの男なのに、身体の負担もかかるのに。
なのに僕は、何度身体を繋げても、項を噛んでも、ふとした瞬間に不安になる。
愛しているのに「番」になれないもどかしさは、αの本能がそうさせるのか。
彼がΩであったなら、「番」にして一生繋ぎ留めるのに。
あるいはβか、もっとαらしいαなら、僕の想いを骨の髄まで刻み込んで、わからせて……支配、できるだろうか…………
いや違う。そんなこと関係ないからこそ彼は、彼の意思で僕を受け入れてくれた。
そんな彼だから、僕はこんなに夢中なのだ。
そんなこと、頭ではわかっているのに。
***
僕たちが付き合っていることは一目瞭然で、僕がハルを溺愛していることも含めて学園にいる人々には周知の事実だ。
だから、僕たちの邪魔をしないことは暗黙の了解となりつつあるのだが、大人の世界ではそう簡単ではないらしい。
元々僕は、ウィル、こと第三王子ウィリアムに婿入りするのだろう、と思われていた節がある。
それがいきなり庶民の男子学生と付き合っているとなれば「優秀なαは相手を選ばない」と都合良く解釈する輩もいるということだ。
僕が好きなのはハルだけなのに、失礼な話だ。
なお僕の両親は「最悪ウィルに婿入りだと思ってたから孫は諦めてたし、ルイが好きな相手ならそれでいい」と非常に緩い回答だったのでこちらは問題ない。
しかし断り切れない大人の事情もいろいろあるらしく、僕はしばしば貴族社会の「食事会」に駆り出されていた。
年頃のお嬢さんやΩの美少年たちは礼儀正しく、僕がハルに出会っていなければ違う展開もあったかもしれない。
僕が本気で不機嫌になれば「食事会」の1つや2つどうにでもできるが、それも後々面倒だ。
何より同世代の彼らも被害者で、僕とハルのことを知っていて、逆に恐縮されるのが何とも言えない。
そんな事情で、今日もまた不毛な食事会に疲れ切っていた。
ああ、ハルに会いたい。
***
「はあ……ハルと『番』になれたらいいのに」
身体は繋がったまま、ハルの項を甘噛みしてひとり言のように吐き出した。
「『番』か……」
「そう。『番』になれば、ハルを本当に僕のものにして、僕はハルのものになれるのに…………はっ……」
僕のすべてをハルに刻み込むように、大げさに動いて強く腰を打ち付ける。
「んっ……それで……いいよ…………ひぁっ……あん……」
「ハル……僕のハル…………」
「ああっ…………はんっ…………んっ………………」
「ねえハル……好き………僕の…………僕だけのハルになって…………」
ハルは何度でも頷いてくれる。
それでも、もっと、もっと伝われ、と夢中で速度を上げながら何度も何度も突き動かす。
「ああ……んっ……ルイ……好き……だよ……はっ……あんっ……はっ……あっ……あああああっ………………」
掠れた声で紡ぎ出す僕の名前と「好き」の言葉、それだけで身体中が熱くなる。
下腹部の温かな感触でハルが達したのには気付いたが、直後に達したはずの自らは既に再び熱を持っており、愛し続けるのを止められなかった。
骨の髄まで支配されているのは、きっと僕の方だ…………
「はぁ…………なあ、ルイ………………」
「…………ハル?」
まだ深く繋がったまま覆い被さるようにして素肌の温もりを感じていたが、ハルに呼ばれる声で顔を上げる。
ハルはゆっくりと呼吸を整えながら、まっすぐに僕の目を見ている。
「はぁ……あのさ…………」
「うん」
「俺は……もうとっくにお前だけのものだよ」
「ハル……!」
「俺だって、今更お前の嫁なんて見たくないしな」
もしかして、ハルが嫉妬してくれた……?
それならすごく嬉しいし、それでも僕にはハルだけだ。
それを伝えると、ハルの口角が少しだけ上がった。
「それで、ルイ…………俺も……お前を……俺だけのものにして、いいんだな?」
「~~~~~~ッッ!!」
「あんっ、ちょっと、おいっ…………」
なんだこの男前。
こんなのずるい、惚れ直すしかないじゃないか。
一瞬で全身の熱を取り戻した僕に、ハルは「嘘だろ?」という顔をしているが……なんならそのままイきそうなのを堪えただけでも上出来だ。
「うん、そうだね、僕だってハルのものだ!」
「ん……じゃあ、噛んでいいか?」
もちろん、と頷くと、重なったままの身体が横に回転する。
ハルが僕を見おろす体勢に変わると、彼自身も熱を取り戻しているのを感じることができた。
壊れものを扱うように、優しく僕の項にふれるハルは、確かに雄の、αの目をしていた。
「ルイ、愛してる」
ゆっくりと近付いてくるハルからは、ほんのり甘くて優しい、とろけるようないい匂いがする。
僕が初めてのときにそうしたように、唇、そして項にそっとキスが落とされた。
項に突き刺さる痛みを感じたのは一瞬で、ずっと足りなかった何かが満たされたような、そんな温かな幸福感でいっぱいだった。
「はあ…………ハル、幸せだ。愛してる」
「ああ、愛してる………んんっ……」
「え?……ちょっと、ハルっ!?……んっ……あっ…………」
「ははっ…………あんっ……んんっ…………」
ハルが……僕の上で動いている……??
僕は夢でも見ているのか……?
いや、確かに夢に見たことがあるのは認めるが……
不慣れでたどたどしく腰を振るハルは、夢なんかよりも何倍もいやらしくて……艶やかで…………気持ちいい…………
正直この絶景だけで何度でもイけそうなのだが、折角ハルが動いてくれているのに勿体ない。
……なんて考える余裕があったのは一瞬だけで、次の瞬間には僕の理性が吹っ飛んだのは不可抗力だったと思う。
身体を重ねた翌朝に、呆れ顔のハルに平謝りするのはもう何度目になるかもわからない。
しかしこの日のハルはニコニコと上機嫌で、僕の髪を優しく撫でていた。
だからつい……軽いキスをしているうちに朝から盛り上がってしまったことは反省したけど、やっぱりハルはご機嫌だった。
結局この日は夕方頃まで部屋でのんびり過ごしたあと、何か食べようと二人で外に出て歩く。
すれ違う女の子たちが口元を隠しながら真っ赤な顔でこちらを見ていたり、αっぽい男たちがギョッとした顔で目を逸らしたりしているのは、僕に抱かれたあとのハルが妙に色っぽいせいだ。
と、思っていたのだが、偶然出会ったウィルに、ものすごく嫌そうな顔で耳打ちされた。
僕が僕ではないαのフェロモンを纏っている……
つまり……ハルのマーキングだ。
……なんだそれ、嬉しすぎるんだが!?!?
僕は本当にハルのものに……ハルが僕を愛して…………ああダメだ。
これって……もう「番」じゃないのか。
思わず髪で隠れた項にふれると、昨日のハルの……艶かしい姿が勝手に脳内で再生される。
「俺は真面目に話してるのに、何ニヤついてんだ……まあ別にどうでもいいが」
ウィルはそう言って、ため息をつきながら行ってしまった。
すまない、条件反射だ。
少し離れたところで待っていたハルの方を見ると、ニコニコしながらこちらに手を振っていた。
ああ~~可愛い、今すぐ抱きたい。
持ち帰りで食べられるものを適当に購入して、もちろんそのままハルもお持ち帰りだ。
ハルは不思議そうな顔をしていたが、仕方ないなと言うような顔で笑っていた。
***
「本当の番になったみたいで嬉しい」と伝えると、それ以来、ハルはときどき僕の項を噛んでくれるようになった。
α同士がお互いにマーキングしている、という状況がハルには少し恥ずかしいようだが、本当は毎回でもいいぐらいだ……というのは今は黙っておこう。
ハルの意思でそうしてくれるのが、嬉しいのだから。
ハルがαであることは、そろそろ貴族たちの耳にも入るだろうし、しばらくは平和になるだろう。
僕にマーキングできるほどのα、なんて……いや、わかる者だけがわかればいいし、ハル自身も知る必要はない。
ただ、多くの人がハルが「穏やかで優しいα」ということに気付いてしまったようだ。
ハルの魅力を知っているのは僕だけでいいのに。
当然の結果として、僕の心は全く穏やかではなくなったことは、また別の話だ――――
本編4話以降、ルイはハロルドのことを「ハル」呼びです。
冒頭ヤンデレ風味ですが、ただの溺愛です。
◆
大好きな、僕のハル。
彼がいつも纏っている穏やかな空気は、一緒にいるととても心地良い。
兄弟同然のウィルを除けば、僕の周りは下心を持っている者か、僕の機嫌を損ねないように気を遣う者ばかりだった。
ところがハルは、人に流されることもなく、良くも悪くも接し方がフラットだった。
今思えば僕は、そんなハルの特別になりたかったのだろう。
僕は初めてひとりの男に愛を求め、彼は笑って受け入れてくれた。
彼はαの男なのに、身体の負担もかかるのに。
なのに僕は、何度身体を繋げても、項を噛んでも、ふとした瞬間に不安になる。
愛しているのに「番」になれないもどかしさは、αの本能がそうさせるのか。
彼がΩであったなら、「番」にして一生繋ぎ留めるのに。
あるいはβか、もっとαらしいαなら、僕の想いを骨の髄まで刻み込んで、わからせて……支配、できるだろうか…………
いや違う。そんなこと関係ないからこそ彼は、彼の意思で僕を受け入れてくれた。
そんな彼だから、僕はこんなに夢中なのだ。
そんなこと、頭ではわかっているのに。
***
僕たちが付き合っていることは一目瞭然で、僕がハルを溺愛していることも含めて学園にいる人々には周知の事実だ。
だから、僕たちの邪魔をしないことは暗黙の了解となりつつあるのだが、大人の世界ではそう簡単ではないらしい。
元々僕は、ウィル、こと第三王子ウィリアムに婿入りするのだろう、と思われていた節がある。
それがいきなり庶民の男子学生と付き合っているとなれば「優秀なαは相手を選ばない」と都合良く解釈する輩もいるということだ。
僕が好きなのはハルだけなのに、失礼な話だ。
なお僕の両親は「最悪ウィルに婿入りだと思ってたから孫は諦めてたし、ルイが好きな相手ならそれでいい」と非常に緩い回答だったのでこちらは問題ない。
しかし断り切れない大人の事情もいろいろあるらしく、僕はしばしば貴族社会の「食事会」に駆り出されていた。
年頃のお嬢さんやΩの美少年たちは礼儀正しく、僕がハルに出会っていなければ違う展開もあったかもしれない。
僕が本気で不機嫌になれば「食事会」の1つや2つどうにでもできるが、それも後々面倒だ。
何より同世代の彼らも被害者で、僕とハルのことを知っていて、逆に恐縮されるのが何とも言えない。
そんな事情で、今日もまた不毛な食事会に疲れ切っていた。
ああ、ハルに会いたい。
***
「はあ……ハルと『番』になれたらいいのに」
身体は繋がったまま、ハルの項を甘噛みしてひとり言のように吐き出した。
「『番』か……」
「そう。『番』になれば、ハルを本当に僕のものにして、僕はハルのものになれるのに…………はっ……」
僕のすべてをハルに刻み込むように、大げさに動いて強く腰を打ち付ける。
「んっ……それで……いいよ…………ひぁっ……あん……」
「ハル……僕のハル…………」
「ああっ…………はんっ…………んっ………………」
「ねえハル……好き………僕の…………僕だけのハルになって…………」
ハルは何度でも頷いてくれる。
それでも、もっと、もっと伝われ、と夢中で速度を上げながら何度も何度も突き動かす。
「ああ……んっ……ルイ……好き……だよ……はっ……あんっ……はっ……あっ……あああああっ………………」
掠れた声で紡ぎ出す僕の名前と「好き」の言葉、それだけで身体中が熱くなる。
下腹部の温かな感触でハルが達したのには気付いたが、直後に達したはずの自らは既に再び熱を持っており、愛し続けるのを止められなかった。
骨の髄まで支配されているのは、きっと僕の方だ…………
「はぁ…………なあ、ルイ………………」
「…………ハル?」
まだ深く繋がったまま覆い被さるようにして素肌の温もりを感じていたが、ハルに呼ばれる声で顔を上げる。
ハルはゆっくりと呼吸を整えながら、まっすぐに僕の目を見ている。
「はぁ……あのさ…………」
「うん」
「俺は……もうとっくにお前だけのものだよ」
「ハル……!」
「俺だって、今更お前の嫁なんて見たくないしな」
もしかして、ハルが嫉妬してくれた……?
それならすごく嬉しいし、それでも僕にはハルだけだ。
それを伝えると、ハルの口角が少しだけ上がった。
「それで、ルイ…………俺も……お前を……俺だけのものにして、いいんだな?」
「~~~~~~ッッ!!」
「あんっ、ちょっと、おいっ…………」
なんだこの男前。
こんなのずるい、惚れ直すしかないじゃないか。
一瞬で全身の熱を取り戻した僕に、ハルは「嘘だろ?」という顔をしているが……なんならそのままイきそうなのを堪えただけでも上出来だ。
「うん、そうだね、僕だってハルのものだ!」
「ん……じゃあ、噛んでいいか?」
もちろん、と頷くと、重なったままの身体が横に回転する。
ハルが僕を見おろす体勢に変わると、彼自身も熱を取り戻しているのを感じることができた。
壊れものを扱うように、優しく僕の項にふれるハルは、確かに雄の、αの目をしていた。
「ルイ、愛してる」
ゆっくりと近付いてくるハルからは、ほんのり甘くて優しい、とろけるようないい匂いがする。
僕が初めてのときにそうしたように、唇、そして項にそっとキスが落とされた。
項に突き刺さる痛みを感じたのは一瞬で、ずっと足りなかった何かが満たされたような、そんな温かな幸福感でいっぱいだった。
「はあ…………ハル、幸せだ。愛してる」
「ああ、愛してる………んんっ……」
「え?……ちょっと、ハルっ!?……んっ……あっ…………」
「ははっ…………あんっ……んんっ…………」
ハルが……僕の上で動いている……??
僕は夢でも見ているのか……?
いや、確かに夢に見たことがあるのは認めるが……
不慣れでたどたどしく腰を振るハルは、夢なんかよりも何倍もいやらしくて……艶やかで…………気持ちいい…………
正直この絶景だけで何度でもイけそうなのだが、折角ハルが動いてくれているのに勿体ない。
……なんて考える余裕があったのは一瞬だけで、次の瞬間には僕の理性が吹っ飛んだのは不可抗力だったと思う。
身体を重ねた翌朝に、呆れ顔のハルに平謝りするのはもう何度目になるかもわからない。
しかしこの日のハルはニコニコと上機嫌で、僕の髪を優しく撫でていた。
だからつい……軽いキスをしているうちに朝から盛り上がってしまったことは反省したけど、やっぱりハルはご機嫌だった。
結局この日は夕方頃まで部屋でのんびり過ごしたあと、何か食べようと二人で外に出て歩く。
すれ違う女の子たちが口元を隠しながら真っ赤な顔でこちらを見ていたり、αっぽい男たちがギョッとした顔で目を逸らしたりしているのは、僕に抱かれたあとのハルが妙に色っぽいせいだ。
と、思っていたのだが、偶然出会ったウィルに、ものすごく嫌そうな顔で耳打ちされた。
僕が僕ではないαのフェロモンを纏っている……
つまり……ハルのマーキングだ。
……なんだそれ、嬉しすぎるんだが!?!?
僕は本当にハルのものに……ハルが僕を愛して…………ああダメだ。
これって……もう「番」じゃないのか。
思わず髪で隠れた項にふれると、昨日のハルの……艶かしい姿が勝手に脳内で再生される。
「俺は真面目に話してるのに、何ニヤついてんだ……まあ別にどうでもいいが」
ウィルはそう言って、ため息をつきながら行ってしまった。
すまない、条件反射だ。
少し離れたところで待っていたハルの方を見ると、ニコニコしながらこちらに手を振っていた。
ああ~~可愛い、今すぐ抱きたい。
持ち帰りで食べられるものを適当に購入して、もちろんそのままハルもお持ち帰りだ。
ハルは不思議そうな顔をしていたが、仕方ないなと言うような顔で笑っていた。
***
「本当の番になったみたいで嬉しい」と伝えると、それ以来、ハルはときどき僕の項を噛んでくれるようになった。
α同士がお互いにマーキングしている、という状況がハルには少し恥ずかしいようだが、本当は毎回でもいいぐらいだ……というのは今は黙っておこう。
ハルの意思でそうしてくれるのが、嬉しいのだから。
ハルがαであることは、そろそろ貴族たちの耳にも入るだろうし、しばらくは平和になるだろう。
僕にマーキングできるほどのα、なんて……いや、わかる者だけがわかればいいし、ハル自身も知る必要はない。
ただ、多くの人がハルが「穏やかで優しいα」ということに気付いてしまったようだ。
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