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第二十夜 松下の駆け引き
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黒猫館の過去を少しだけ教えて貰った俺は、状況の整理の為に雑記帳が来るのを待っていた。
頭の中でぐるぐる考えた所で考えはまとまらない。なら紙に書いて考えをまとめてみようかなという訳だ。
何処か潜むような足音が聞こえて、監獄に近寄る小さな影がいた。
「松下さん」
「亜美さん」
「少し遅くなってごめんなさい。雑記帳と鉛筆を持ってきました。鉛筆は二本用意しました」
「ありがとう、亜美さん」
彼女は手早くそれらを渡すと、監獄から去った。
雑記帳は新品で、鉛筆もすぐに使えるように芯を削ってくれていた。
そして、俺なりに今の状況を整理してみる。
どうやら地下室の隧道事の件は直美様にはバレている様子で、俺に条件を提示してきた。
条件は直美様や雪菜様の愛欲の奴隷になれば、ここにいる男達を解放してやる──とのこと。
そこで俺は意識を失うような激しい快楽を味わい気絶してしまった。
その後、亜美さんと会話をした。
この『黒猫館』の地下室を造ったのは先代の旦那様で、雪菜様に殺されてしまったとのこと。
雪菜様が自身の父親を殺した理由は、近親相姦をされた憎しみで、以来──男達に憎悪の感情を抱いて俺達を虐めている。
直美様は俺に興味を抱いているらしく、このままでは勿体無いと想っている。
では、俺は──?
俺はどうしたい?
──俺はこいつらが無事に外の世界に戻れるなら嬉しい。
だが、俺自身は彼女らの愛欲の奴隷になるのを躊躇っている。
むしろ、こいつらと共に脱出したい。
このまま黒猫館の呪いを受けるくらいなら逃げるべきだしな。
この『黒猫館』の重大な秘密は監獄の男達にも話した。
そして、出された条件の話もした。
すると、多くの男達はこう俺に言った。
「お前だけを犠牲にして逃げても気持ちいいもんじゃない。松下を永遠に奴隷にしようだなんて、とことん嫌な女達だ」
「そんな条件、俺は嬉しくもないな。俺はお前にも逃げて欲しいんだよ。それが役割分担だろう?」
結論は出たかな。
俺は鮎川家の愛欲の奴隷にはならない。
どうにかしてここから脱出する道を模索してやる。
確かにあの美女達とのまぐわいは気持ちいい──。
だが、生命の危機を何度も味わってしまうと素直に奴隷になるなんて言えない。
特に雪菜様に関しては、殺されてしまう恐怖心が強い。
俺も、その行為で殺されるのは冗談ではないからな。
隧道工事の方はそう簡単に話か進めば苦労はないという進捗状況で、やはり掘削道具の不足が一番の懸念事項だろう。
手で掘るにも茶色の煉瓦は重いし、手作りの道具でどうにかやりくりするのも辛いものがある。
そこで逆転の発想をしてみる。
直美様は俺達がここの脱出を企んでいるのは知っている。
なら、直美様に掘削道具を交換条件で貰えないかを頼んでみるのはどうか?
向こうは多分、出来る訳ないと高を括っているから、油断して道具くらいは貸して貰えるのではと考えた。
皆にも、それを話してみる。
「直美様に頼んで掘削道具を調達する!? 本気か」
「直美様には俺達がやろうとしている事はバレているんだ。なら、コソコソする必要も無いだろう? ならピッケルとか用意してくれないかなって」
「確かに道具があれば楽になるが、その為にお前の身体を張るなんて」
「今更な話じゃないか? 鳴川。俺達の役割は直美様や雪菜様の気をひく事だろう? なら──気をひくついでに道具を調達するのも役に立つだろう」
「そりゃあそうだがさ」
「やるだけやってみようぜ。今から腰を抜かしていたら脱出できるものも出来ない」
「──松下。直美様が気に入る理由が分ったよ。お前のそういう所が好きなんだな、きっと」
階段を降りる靴音が聴こえた。多分、その直美様だろう。大体、降りる靴音で判別がついてきた。
監獄に姿を表したのは直美様だ。
相も変わらぬ、妖艶な瞳で、今宵の戯れ相手を選んでいる。
俺はそこで自分を選ぶように頼む。
「直美様──。今夜は私を選んでください」
「松下!」
「──良いわ。私も気になっていたし。亜美」
皆が心配そうな視線を送る中、亜美さんが鉄の手枷を着ける。
そして、俺を監獄から出して、地下の世界を歩いた──。
地下の廊下を歩き、たどり着く部屋は、この間使ったであろう見覚えがある部屋だった。
直美様は俺に聞いてくる。
「それで腹は決まったかしら? 鮎川家の愛欲の奴隷になってくださるのかしら?」
「頼みがあります。直美様──」
「何かしら?」
「あの地下で監獄に囚われている者達が脱出を企んでいるのをご存知なら、掘削道具を借りる事は出来ないでしょうか?」
「フフッ……フフッ……面白い人。まさか、幽閉している人間に脱出の手伝いを頼むなんて」
「直美様はこう想ってらっしゃるのでは? あの地下から脱出なんて出来る筈ない。なら──怖くないでしょう? 我々に道具を渡した所で」
「そうね──絶望を味合わせるのも良いわね。その代償は? 何で支払うのかしら?」
「今夜は俺を弄んでください」
「代償はあなたの身体ね。良いわ。亜美」
「は、はい」
「シャベルとかを何本か用意してあげて? それを監獄の奴隷に渡してあげなさい」
「私はその間、松下さんと愉しむから」
亜美さんがその部屋から去ると、直美様は妖艶な声で俺を誘惑してきた。
「松下さん。今夜は私のお願いも聞いて欲しいのよ?」
「──はい」
「雪菜を殺してみたくない?」
「──何ですって!?」
驚愕する俺の身体の上に伸し掛かると直美様は荒縄で俺を縛り上げて、そして拷問を始めた。
頭の中でぐるぐる考えた所で考えはまとまらない。なら紙に書いて考えをまとめてみようかなという訳だ。
何処か潜むような足音が聞こえて、監獄に近寄る小さな影がいた。
「松下さん」
「亜美さん」
「少し遅くなってごめんなさい。雑記帳と鉛筆を持ってきました。鉛筆は二本用意しました」
「ありがとう、亜美さん」
彼女は手早くそれらを渡すと、監獄から去った。
雑記帳は新品で、鉛筆もすぐに使えるように芯を削ってくれていた。
そして、俺なりに今の状況を整理してみる。
どうやら地下室の隧道事の件は直美様にはバレている様子で、俺に条件を提示してきた。
条件は直美様や雪菜様の愛欲の奴隷になれば、ここにいる男達を解放してやる──とのこと。
そこで俺は意識を失うような激しい快楽を味わい気絶してしまった。
その後、亜美さんと会話をした。
この『黒猫館』の地下室を造ったのは先代の旦那様で、雪菜様に殺されてしまったとのこと。
雪菜様が自身の父親を殺した理由は、近親相姦をされた憎しみで、以来──男達に憎悪の感情を抱いて俺達を虐めている。
直美様は俺に興味を抱いているらしく、このままでは勿体無いと想っている。
では、俺は──?
俺はどうしたい?
──俺はこいつらが無事に外の世界に戻れるなら嬉しい。
だが、俺自身は彼女らの愛欲の奴隷になるのを躊躇っている。
むしろ、こいつらと共に脱出したい。
このまま黒猫館の呪いを受けるくらいなら逃げるべきだしな。
この『黒猫館』の重大な秘密は監獄の男達にも話した。
そして、出された条件の話もした。
すると、多くの男達はこう俺に言った。
「お前だけを犠牲にして逃げても気持ちいいもんじゃない。松下を永遠に奴隷にしようだなんて、とことん嫌な女達だ」
「そんな条件、俺は嬉しくもないな。俺はお前にも逃げて欲しいんだよ。それが役割分担だろう?」
結論は出たかな。
俺は鮎川家の愛欲の奴隷にはならない。
どうにかしてここから脱出する道を模索してやる。
確かにあの美女達とのまぐわいは気持ちいい──。
だが、生命の危機を何度も味わってしまうと素直に奴隷になるなんて言えない。
特に雪菜様に関しては、殺されてしまう恐怖心が強い。
俺も、その行為で殺されるのは冗談ではないからな。
隧道工事の方はそう簡単に話か進めば苦労はないという進捗状況で、やはり掘削道具の不足が一番の懸念事項だろう。
手で掘るにも茶色の煉瓦は重いし、手作りの道具でどうにかやりくりするのも辛いものがある。
そこで逆転の発想をしてみる。
直美様は俺達がここの脱出を企んでいるのは知っている。
なら、直美様に掘削道具を交換条件で貰えないかを頼んでみるのはどうか?
向こうは多分、出来る訳ないと高を括っているから、油断して道具くらいは貸して貰えるのではと考えた。
皆にも、それを話してみる。
「直美様に頼んで掘削道具を調達する!? 本気か」
「直美様には俺達がやろうとしている事はバレているんだ。なら、コソコソする必要も無いだろう? ならピッケルとか用意してくれないかなって」
「確かに道具があれば楽になるが、その為にお前の身体を張るなんて」
「今更な話じゃないか? 鳴川。俺達の役割は直美様や雪菜様の気をひく事だろう? なら──気をひくついでに道具を調達するのも役に立つだろう」
「そりゃあそうだがさ」
「やるだけやってみようぜ。今から腰を抜かしていたら脱出できるものも出来ない」
「──松下。直美様が気に入る理由が分ったよ。お前のそういう所が好きなんだな、きっと」
階段を降りる靴音が聴こえた。多分、その直美様だろう。大体、降りる靴音で判別がついてきた。
監獄に姿を表したのは直美様だ。
相も変わらぬ、妖艶な瞳で、今宵の戯れ相手を選んでいる。
俺はそこで自分を選ぶように頼む。
「直美様──。今夜は私を選んでください」
「松下!」
「──良いわ。私も気になっていたし。亜美」
皆が心配そうな視線を送る中、亜美さんが鉄の手枷を着ける。
そして、俺を監獄から出して、地下の世界を歩いた──。
地下の廊下を歩き、たどり着く部屋は、この間使ったであろう見覚えがある部屋だった。
直美様は俺に聞いてくる。
「それで腹は決まったかしら? 鮎川家の愛欲の奴隷になってくださるのかしら?」
「頼みがあります。直美様──」
「何かしら?」
「あの地下で監獄に囚われている者達が脱出を企んでいるのをご存知なら、掘削道具を借りる事は出来ないでしょうか?」
「フフッ……フフッ……面白い人。まさか、幽閉している人間に脱出の手伝いを頼むなんて」
「直美様はこう想ってらっしゃるのでは? あの地下から脱出なんて出来る筈ない。なら──怖くないでしょう? 我々に道具を渡した所で」
「そうね──絶望を味合わせるのも良いわね。その代償は? 何で支払うのかしら?」
「今夜は俺を弄んでください」
「代償はあなたの身体ね。良いわ。亜美」
「は、はい」
「シャベルとかを何本か用意してあげて? それを監獄の奴隷に渡してあげなさい」
「私はその間、松下さんと愉しむから」
亜美さんがその部屋から去ると、直美様は妖艶な声で俺を誘惑してきた。
「松下さん。今夜は私のお願いも聞いて欲しいのよ?」
「──はい」
「雪菜を殺してみたくない?」
「──何ですって!?」
驚愕する俺の身体の上に伸し掛かると直美様は荒縄で俺を縛り上げて、そして拷問を始めた。
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