インフィニート!!

桜木雨

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一話目!

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「こんにちは」
できるだけ大きな声で言いながら、僕は大きな会議室へと足を踏み入れた。


今日はあるアイドルグループの初顔合わせの日。
まだ実感は湧かないが、僕はつい先日オーディションに合格し、なぜかグループのリーダーに抜擢された。
リーダーを任されるとは思っても見なかったので、初めは驚きしかなかった。
なぜ僕なんかがと言う気持ちが強かった。
それから数日が経ち、未だ実感の湧かないまま初顔合わせの日がやってきた。

会議室の中にはまだ誰もいなくて、もしかして部屋を間違えてしまったのではないかと、焦ったが時計を見ると集合時間の20分も前だった。
どうやら緊張しすぎて早く着きすぎてしまったようだ。
そうこうしているうちに、オドオドした可愛らしい男の子が入ってきた。
男の子は僕の近くへ来てこう言った。
「あ、あの…リーダーのharuさんですか?」
へ?え、なんでこの子僕のこと知ってるの?僕まだメンバーの顔誰一人と知らないんですけど。
「あっ、僕はtsukiって名前で活動することになった、つきです。音は本名と同じなので分かりにくかったですよね…ごめんなさい」
僕が混乱しているのを見て先に自己紹介をしてくれた。なんて優しい子なんだ。
月くん。その名前は確かメンバーのプロフィールが書いてある紙で見た。今年の春高校1年生になるらしいから僕の一つ下だ。
「そんなことで謝らなくても良いよ。僕の方こそ先に自己紹介させてしまってごめんね。リーダーをすることになった、haruこと春樹はるきです。これからよろしくね?」
「はい!」
ところでなんで僕の顔を知っていたの?と聞こうとしたところで、会議室に大きな声が響いた。
「こんにちは!!」
すごく大きな声だ。耳が壊れるかと思った。
「初めまして!haruさんですよね。俺、mareこと海斗かいとです!mareってラテン語で海って意味なんです。海斗のかいは海って字を書くので、そこから付けました」
え?なんでこの子も僕の顔知ってんの。いや、まあそれは良いんだけどさ。海斗くんって同い年だった気がするんだよね。なんで敬語なの?初めましてだから?取り敢えず僕も敬語で返しておこう、そう思い口を開く。
「初めまして。haruこと春樹です。よろしくお願いします」
「おう!」
あ、そこはタメなんだ。基準がわからなさすぎる…
今度こそなぜ僕の顔を知っているのかと聞こうとしたところで会議室の扉が開いた。
今度は二人の男の子が入ってきて、僕に言った。
「haruさんですか?」
だから、なんでみんな僕のこと知ってるの。ほんとに。すごく気になるんだけど。そんなことを考えているうちに自己紹介が始まった。
「Sakuこと桜介おうすけです。桜介のおうは桜って書くのでSakuです」
「Keiことけいです。音が同じだから分かりにくいですよね。そこの海斗と桜介とは同じ高校に通っています」
待って。待って。桜介くんはまだいい。だけど、慶さんって僕より一個上のはずなんだけど。なんで敬語なの。ほんとになんでみんな僕の顔知ってるの。まず挨拶。うん。第一印象大事。
「haruこと春樹です。未熟者ですがよろしくお願いいたします」
ガチャリ。会議室の扉が開いた。もう、嫌な予感しかしない。きっとまた言われるんでしょ。
「こんにちは。遅くなってしまってごめんなさい。Chikaこと千景ちかげです。よろしくお願いします、haruさん」
はい、来た。フラグを見事に回収したね。もうなんでみんな知ってんの!?
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