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第03話 決意
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「なぜ謝るの? やっぱり、貴方はただ……正義感から同情して助けてくれただけで……」
このくらい予想はできていたことなのに……深く頭を下げる彼を見て、なぜか私の胸は悲しみで締め付けられるようでした。先ほど婚約破棄を言い渡されたときはただただ強いショックを受けただけだったのに、なぜでしょう。
俯く私に、彼は慌てたように続けました。
「違う! 君の家と違って、僕の家はもう……貴族を名乗れるような状況じゃないから……」
拒絶したのはシェリンガム君の方であるはずなのに、なぜか彼の方が傷ついたような顔をしています。
彼がぽつぽつと語ってくれた理由は、今やこの国の多くの貴族が直面している問題と同じものでした。貴族制度が形骸化し、政治は議会、経済は資本家に席を譲ったこの時代──多くの貴族は、経済的な苦境に立たされていたのです。
そんなさなかに若くしてお父様を亡くされた彼には、悲しむ暇もなく莫大な相続税が課されることとなりました。
彼がこのリースデン校の在学中に、周囲からガリ勉と揶揄されるほどわき目もふらずに勉強していたのは……学生のうちにより多くを学び、人々の思い出が残る伯爵城を自分の代で手放さずに済むようになりたい……そんな想いがあったからなのでした。
とうとう卒業を迎えたいま、彼は実家の事業を盛り立てていかなければなりません。しかしそれは、険しい道が予想されるものだということでした。
「弱っているところにつけこんで、田舎で苦労させると分かっている男に嫁がせるわけにはいかない。だからどうか、どうか断ってくれないか……」
苦しそうな表情を浮かべる彼に、私は皮肉げに笑って言いました。
「それを言うのなら……どうやら私の家も、苦しい状況にあるみたいなの。充分な持参金も用意できない女なんて、お役に立てないかしら」
「そんなことはない!」
いつもは涼やかな彼の深い青色の瞳は、熱っぽく光を帯びていて――そこに本当の気持ちを汲み取った私は、彼にどこまでもついて行くことを決めました。
「ならばどうか、私を一緒に連れて行って! たとえ売り言葉に買い言葉だったとしても、貴方が手を引いてくれたとき、私は嬉しかったの。殿下の婚約者に内定したときよりも、何倍も、嬉しかったのよ」
「マクベイン嬢……いや、ミラベル」
彼は決意を込めた表情で、古の騎士のように片膝をつくと。
私に利き手を差し出しました。
「必ず幸せにする。どうか僕と一緒に来てほしい」
「はい!」
このくらい予想はできていたことなのに……深く頭を下げる彼を見て、なぜか私の胸は悲しみで締め付けられるようでした。先ほど婚約破棄を言い渡されたときはただただ強いショックを受けただけだったのに、なぜでしょう。
俯く私に、彼は慌てたように続けました。
「違う! 君の家と違って、僕の家はもう……貴族を名乗れるような状況じゃないから……」
拒絶したのはシェリンガム君の方であるはずなのに、なぜか彼の方が傷ついたような顔をしています。
彼がぽつぽつと語ってくれた理由は、今やこの国の多くの貴族が直面している問題と同じものでした。貴族制度が形骸化し、政治は議会、経済は資本家に席を譲ったこの時代──多くの貴族は、経済的な苦境に立たされていたのです。
そんなさなかに若くしてお父様を亡くされた彼には、悲しむ暇もなく莫大な相続税が課されることとなりました。
彼がこのリースデン校の在学中に、周囲からガリ勉と揶揄されるほどわき目もふらずに勉強していたのは……学生のうちにより多くを学び、人々の思い出が残る伯爵城を自分の代で手放さずに済むようになりたい……そんな想いがあったからなのでした。
とうとう卒業を迎えたいま、彼は実家の事業を盛り立てていかなければなりません。しかしそれは、険しい道が予想されるものだということでした。
「弱っているところにつけこんで、田舎で苦労させると分かっている男に嫁がせるわけにはいかない。だからどうか、どうか断ってくれないか……」
苦しそうな表情を浮かべる彼に、私は皮肉げに笑って言いました。
「それを言うのなら……どうやら私の家も、苦しい状況にあるみたいなの。充分な持参金も用意できない女なんて、お役に立てないかしら」
「そんなことはない!」
いつもは涼やかな彼の深い青色の瞳は、熱っぽく光を帯びていて――そこに本当の気持ちを汲み取った私は、彼にどこまでもついて行くことを決めました。
「ならばどうか、私を一緒に連れて行って! たとえ売り言葉に買い言葉だったとしても、貴方が手を引いてくれたとき、私は嬉しかったの。殿下の婚約者に内定したときよりも、何倍も、嬉しかったのよ」
「マクベイン嬢……いや、ミラベル」
彼は決意を込めた表情で、古の騎士のように片膝をつくと。
私に利き手を差し出しました。
「必ず幸せにする。どうか僕と一緒に来てほしい」
「はい!」
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